NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・タンク」(30点/サスペンス)

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■■■「ザ・タンク」■■■
(30点/サスペンス)

 2012年、NASAは火星探索ミッションの訓練として、南極に設置された『ICE-SAT5』という閉鎖されたのタンク型の施設に6人の宇宙飛行士たちを滞在させて、宇宙での長期任務のためのシミュレーションを実施する。

 471日間という長期の滞在期間の任務で、最初は順調に任務をこなしていた隊員たちだったが、長期の世界からの隔絶によるストレス、あいつぐ様々なトラブルや人間関係のもつれから彼らの関係は徐々に険悪になっていき、恐るべき事態へと発展していくのだった…



 宇宙開発の訓練として閉鎖環境に隔離された6人の宇宙飛行士たちが長期にわたる過度なストレスから狂気に陥っていく…というSFサスペンス映画。

 宇宙兄弟なんかでも描かれていた、宇宙飛行士の『閉鎖環境でのストレス実験』を題材としたSFサスペンス映画ですね。

 お話としては、『宇宙開発訓練のために閉鎖環境でのシミュレーションに参加した6人の宇宙飛行士たちが、世間から隔絶されたストレスや人間関係の悪化から徐々に狂気に駆られて行き…』といった感じのストーリー。

 「宇宙兄弟」の閉鎖環境実験のエピソードは、科学的な視点から実験やシミュレーション内容が描かれていたりと興味深くてSFとしても面白い内容でしたが、本作に関しては何というか色々とツッコミどころばかりが目に付くうえにあんまり面白くも無いという困った作品です。

 お話のメインとしては、隊員たちが隔離された施設で過ごすうちに『徐々にストレスによって正気を失っていく』という過程が描かれるのですが、『長期のストレス』を題材としているため当然ながらたいした事件が起こる訳でもなく、延々と任務をこなすシーンがダラダラと描かれるために、とにかく退屈です。

 それでも登場人物のキャラが深く魅力的に掘り下げられていて、ドラマとして面白いのであれば良いのですが、キャラも特に魅力的ではなくて掘り下げも浅く、むしろ全員影が薄いレベルなのが困りもの。

 主人公たちが精神的に追い詰められていく様子もそこまで丁寧に描かれている訳でも無いため、隊員たちが狂気に陥る流れも説得力が無くて違和感がありまくり…

 終盤の展開も唐突過ぎですし、全体的にもうちょっとどうにかならなかったのかという印象がぬぐえません。

 またSFを題材としている割には、SF要素が適当すぎなのも残念なところ。

 まず『南極に設置された閉鎖施設』で実験を行うという設定なのですが、シミュレーションが目的なら何のためにそんな救助が難しい場所に施設を設置したのかが意味不明すぎます。
 『世間から隔絶された環境』が必要なら、砂漠とかに施設を設置すれば良いでしょうに…
 (現実の火星の探索シミュレーションでは、火星と環境が似たモハーベ砂漠に施設が建造されてますし…)

 途中で起こる『トラブルを装ったシミュレーション』に関しても、中途半端に1回のみなのに加えて、主人公たちがトラブルを解決するために何か行動を起こす訳でも無く、それによって狂気に陥る深刻なストレスが生じる訳でも無くて、特に面白味がある内容でも無いのでどうにも中途半端です。

 あと、登場人物の一人が怪我から感染症を起こすというシーンがあるのですが、『こういう閉鎖環境の実験施設なら、普通に抗生物質とか置いてあるんじゃないの?』って感じで、これもちょっと説得力が無さ過ぎ。

 流石に「オデッセイ」とかのレベルを求めるわけじゃないですが、こういうSF的な題材を元にするのであれば、キチンと科学的な設定やら考証やらを調べて、もうちょっとリアルさを感じれるように描いて欲しかったですよ。

 なんというかSFとしても閉鎖環境サスペンスとしても、どうにも残念な内容の作品でしたよ。


 総評としましては、特に面白みのない『微妙なSFサスペンス映画』としか言いようのない作品です。

 中途半端にSF設定を使っているところが微妙さに拍車をかけている印象なので、これなら普通に理不尽系のスリラーの方が良かったのでは…

 正直、特にコレといって観るべき要素も無くどうにも退屈な内容なので、普通にスルーしてしまって問題の無い一本だと思いますよ。