■■■「マリー 暗闇からのささやき」■■■
(60点/サスペンス)
幼い頃に事故で母を亡くしたカトリーナは、父の訃報を受けてかつて両親と過ごした田舎町の別荘を売り払うために、その別荘に訪れる。
地元の住人から、かつてこの別荘で行方不明になった「マリー」という少女が居る事を知らされた彼女は、自分のかつてこの場所で過ごした記憶が殆ど残っていないという奇妙な事実に気づく。
更には、誰も居ないはずの屋敷から物音が聞こえたり、奇妙な悪夢に悩まされたりするうちに、彼女はやがてこの屋敷で過去に何が起こったのかという事に疑問を持つようになっていくが、そんな矢先に、近所の住人らしき「デイジー」と名乗る少女と出会い…
幼い頃に過ごした別荘に訪れた女性が、かつてこの別荘で行方不明になったという少女の謎を追ううちに恐るべき真実にたどり着く…という、ノルウェー製のサスペンススリラー映画。
パッケージに『「エスター」を超える衝撃作』とかって書いてあったので、『え、それってもしかしてネタバレなんじゃ?』と思ったのですが、実際の中身の方は特に似通った内容でも無く関連性もない作品でしたよ。
もし「エスター」みたいな方向性の作品を期待して借りたらガッカリすると思うのですが、なんでこんな煽り文句を書いてしまったのか?
(せめて、『本当は怖い子供の本性』みたいなノリの作品の煽り文句なら納得するのですが…)
ただ「エスター」っぽいかどうかはさておくとして、本作の方はそこそこ良く出来たサスペンススリラー映画って感じの内容でしたよ。
お話としては『とある女性が、かつて幼い頃に過ごした別荘を売るために田舎町に訪れるんだけど、その場所で過ごした記憶が殆ど無いという奇妙な事実に思い至ったうえに、かつてこの場所で行方不明となった「マリー」という少女の話を聞かされた事から、その場所で何が起こったかに徐々に疑念を抱くようになっていき…』といった感じの展開。
いわゆる『どんでん返し的な展開』の作品なのですが、割と序盤からそういう雰囲気がありまくりで『これは何か仕込まれてるな』というのが容易に想像がついてしまうため、そこまで『衝撃的な展開』みたいな雰囲気ではありません。
ただ衝撃度は少ないものの、作品としては非常にソツが無くシッカリと作られた内容という感じで、サスペンス映画として普通に良く出来ているのは好感触。
お話が進む度に、少しづつ『記憶の無い幼少期にこの場所で何があったのか』や『マリーという少女に隠された秘密』が明らかになっていくという流れも良く出来ていますし、中盤の事件の真相が見えてきた辺りからの展開も非常にテンポ良くて楽しめます。
謎や手がかりの提示の仕方とかも非常に丁寧で、ラストのなかなか衝撃的な展開の謎解きにも説明不足的な要素も殆どなく、どんでん返し的なノリの割にはスッキリとお話が理解できるのは良い感じですね。
ただ非常に丁寧に作られているのですが、どんでん返しの要素がやや紋切り型すぎて、そこまで意外性が感じられないのは残念なところかなぁ?
また、主人公が精神的に追い詰められていく様子もそれほど迫力が無く、ラスト以外に山場となるようなシーンが無くて全体的に淡々としているので、ちょっと物足りなさを感じるのももったいない部分でした。
総評としましては、なかなか良く出来た『どんでん返し系サスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。
その手の意外なオチ系のサスペンスとかが好きならば普通に楽しめる内容だと思いますので、そういう系統の作品が好きならばチェックしてみても良いのではないでしょうか?
煽り文句に釣られて過剰な期待をしなければ普通に楽しめる内容だと思いますので、気になるようであれば観ておいても損は無い一本だと思いますよ。