NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「デス・フロア」(60点/モンスター)

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■■■「デス・フロア」■■■
(60点/モンスター)

 会社の重役であるクラウディオは、ある日、重要なミーティングに向かう途中にエレベーターの故障でフロアとフロアの間で閉じ込められてしまう。

 外部に連絡して修理を待つ彼だったが、いつまでたっても復旧も救助も行われない事から不審に感じ自力で脱出しようとドアを少しだけこじ開けたところ、外のフロアの様子がおかしい事に気づく。

 不審に感じつつ少しだけ開いたドアの隙間から外の様子をうかがっていると、怪物と化した人々に襲われている女性を目撃。
 彼がエレベータに閉じ込められている間にエレベータの外では謎の感染症が発生し、人々がゾンビと化して爆発的に感染を広めている事が判明する。

 電話やネットで外の世界の惨状を知った彼は、ドアも開かずに脱出する事もかなわぬエレベータの中で、絶望のまま外部からの救助を待つ事となるが…



 ゾンビのパンデミックの発生したビルで故障したエレベーターに閉じ込められた一人の男が辿る運命を描いた、ソリッドシチュエーションスリラー風モンスター映画。

 『一人の男が閉じ込められたエレベーターのドアの隙間からパンデミックを様子を目撃し、自身もその脅威に晒される』という、なんとも一発ネタ的な作品ですが、これが飛び道具的なネタの割には意外と良く出来たシチュエーションスリラー作品になっています。

 正直、『ドアすら満足に開かないエレベーターの中』という閉鎖環境のうえ、登場人物はほぼ一人のみという状況でどうやって話を回すのかと思ってたのですが…

 身内との電話のやり取りやら、ドアの隙間から見える外の人々が襲われている様子といった細かいネタから恐怖を上手く表現しており、主人公の絶望感が良い感じに伝わる作りになっているのがなかなか上手いです。

 お話の展開もタダラダラとせずに意外とシッカリと作られており、中盤からちょっと予想外の展開もあったりと、『エレベーターの中のみ』というロケーションの割には色んなシチュエーションが考えられてて、そこまで退屈を感じずに観れる作りになっているのは良く出来ていますね。

 主人公のキャラも最初は糞ムカつくキャラなんだけど、お話が進むに従ってちょっと感情移入できるようなキャラになってくるあたり、シナリオの上手さが感じられます。

 とは言っても、やはり『数平方メートルしかないエレベーターの内部』のみがメインの舞台だけあって、どうしてもダレる部分があるのは致し方ない感じ。
 ワンシチュエーションのスリラーとしては面白いと思うのですが、ダレないようにもうひと捻りぐらい何らかの工夫が欲しかった印象です。

 またネタ的に当然ではあるのですが、低予算映画なのでいま一つ迫力が感じられないのも物足りなさを感じてしまうところです。
 途中でちょっとだけ出てきた『外の世界の様子の動画』とかを使って、もうちょっと効果的に『スケールのデカさ』を表現するような要素があっても良かったかもしれません。

 でも、オチの落としどころとかもなかなか上手いですし、全体的には予想以上に楽しめた作品でしたよ。


 総評としましては、あまり期待していなかった割には『思った以上に良く出来たシチュエーションスリラー風のホラー映画』という感じの作品です。

 この手の一発ネタ系のホラー映画としては、なかなか完成度も高く面白い内容だと思うので、そういったイデア勝負の映画とかが好きな人であればなかなか楽しめる作品ではないかと…

 とまれ低予算の一発ネタ系映画なのでそこまで強く推すほどでもないですが、ネット配信とかで掘り出し物的に観れれば得した気分になれる一本という感じではないでしょうか。