NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「マザー!」(40点/サスペンス)

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■■■「マザー!」■■■
(40点/サスペンス)

 とある寂れた郊外の一軒家に作家の夫とその妻が暮らしていたが、ある日、彼らの家を『民宿と勘違いした』という一人の男性が訪れる。

 夫の好意で男性を家に泊める事となり、翌日にはその妻も彼らの家に訪れるが、彼らの奇妙な行動に妻は徐々に不信感を募らせていく。

 そして、その訪問者たちが訪れた事が切欠で、彼らの家には次々と見知らぬ訪問者が訪れるようになり、それは思いがけぬトラブルへと発展していくのだった…



 とある作家夫婦の元へと次々と珍客が訪れ、それが原因で恐ろしいトラブルへと発展していくという、カルト系サイコサスペンス映画。

 うーん、なんというか色んな意味で『なんじゃコリャ?』としか言いようが内容な作品ですね。

 ネタバレなしで書くと、ひたすら胸糞の悪い展開ばかりが続くサイコスリラーとしか言いようが無いようなお話なので、ネタバレありで感想を書いてしまいますが…

 最初は『頭のおかしい訪問者』による家庭の乗っ取りを描いたサイコサスペンスかと思って観ていたのですが、どうにもカルトムービー的なノリの奇妙な演出や展開が矢鱈と多いんですよね。

 『あまりにも身勝手な訪問者の非常識な行動で、奥さんが心身ともに追い詰められていく…』みたいなノリなので、途中からは『実は奥さんが頭がおかしくて被害妄想に取り憑かれて幻覚を見ている』みたいな展開かと思っていたら…

 終盤になると、訪問者は数百人規模で訪れるわ、屋敷の中で新興宗教は勃興するわ、何故か戦争が勃発するわと、もう『妄想』というレベルでも説明できないぐらいの訳の分からない超展開。

 あまりの非常識な展開の連続に、何かの隠喩や暗喩だというのはスグにピンと来るのですが、そうは言いつつも『なんじゃコリャ?』と思いながら観てたら、終盤付近でようやくキリスト教』とか『聖書』が元ネタになったお話だという事に気づきましたよ。

 言われてみれば序盤からの展開からして確かにソレっぽい展開が多く、旦那さんは何も文句を言わずに訪問者に無償で全てを与えようとする(神)し、最初に訪れた夫婦の息子の2人は兄弟で殺し合い(ケインとアベル)をしちゃうし、終盤には信者が大量に訪れて宗教を興して、更にはそれが分裂して戦争が勃発(宗教戦争)して…という感じで、なるほど納得という印象。

 カルトはカルトでも、本当の意味での『宗教(カルト)』を題材にした作品でしたよ。

 まあ確かに、ネタを理解して観れば言わんとしてる事は分かるのですが、それを差し引いても色々と酷くストレスが溜まる映画という印象。

 旦那の言う事に逆らえない奥さんは、延々とストレスを溜め続けてひたすら可哀そうですし、それを差し引いても非常に胸糞の悪い展開が続きます。

 お話の構成も、序盤~終盤まで同じような理不尽な展開の繰り返しで途中でちょっとダレてしまいますし、お話がなかなか核心に近づいていかないのもちょっとイライラしてしまいました。

 キリスト教の宗教観のある海外では割とスグに元ネタに気づけるような内容なのかもしれませんが、元ネタに気づけないとひたすら奥さんが可哀そうなだけの話なので、ホントに腹が立つだけの映画になってしまうのが難点かなぁ?


 総評としましては、色々と難解な感じの『胸糞系カルトサスペンス映画』って感じですね。

 ネタをシッカリと理解してから観れば色々と面白い作品なのでしょうが、理解してないと最初から最後まで意味不明でひたすら腹が立つだけの映画という感じなので、色々な意味で観る人を選ぶ作品かも?
 (まあ、パッケージからして宗教がっぽい辺りで『気付いてください』って事なのでしょうけど…)

 元ネタ的に日本人には馴染みが薄くて理解し辛い内容なので、個人的にはあまりオススメはしませんが、キリスト教にそれなりに詳しくて宗教ネタとかが好きであればチェックしてみても良いかもしれません。