NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷」(70点/オカルト:オススメ)

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■■■「ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷」■■■
(70点/オカルト:オススメ)

 20世紀初頭。
 娘と夫を突然の急病で次々と亡くして未亡人となったサラ・ウィンチェスターは、銃器メーカーであるウィンチェスター社の経営を引き継ぐ事となる。

 娘と夫の死をウィンチェスター銃で殺された亡霊のせいだと考えた彼女は亡霊の襲撃から逃れるために、それから20年間、自分の住む屋敷を24時間休むことなく延々と増改築しつづけて、屋敷はいまでは500の部屋を有する迷路のような奇妙な建物と化していた。

 彼女の奇異な行動から判断能力に疑問を持った経営陣は、彼女から経営権を取り上げるために精神科医のエリックを彼女の元へと派遣。
 彼女を診断させる事で、彼女が亡霊を信じる事によって正常な判断力を失っている事を証明しようとするが、エリックが屋敷に到着してから彼の周りで次々と異様な事件が起こり始め…



 『霊から逃れるために巨大な屋敷を改築し続けている女性』を診断する事となった精神科医が、その屋敷で驚くべき体験をするという、幽霊屋敷ものオカルトサスペンス映画。

 世界で最も有名な幽霊屋敷の一つである「ウィンチェスターハウス」を題材としたオカルト映画で、劇場公開された際に結構評判が良かったので観に行こうか迷っていた作品だったのですが…
 ビデオ化されたタイミングで早速鑑賞してみたのですが、確かにこれは評判に違わぬレベルで非常に良くできたオカルト作品でしたよ。

 「ウィンチェスターハウス」というと、銃器メーカーであるウィンチェスター社の社長の妻が、夫と娘を喪ったのは銃で殺された人々の幽霊の呪いの仕業であるものだと考えて、霊の襲撃から逃れるために延々と屋敷を増改築し続けて『迷路のような巨大で異様な屋敷』を作り出してしまった…というもので、オカルト好きな人ならば知らない人は居ないようなレベルの有名なエピソードが物語のベースとなっています。

 お話としては、この『ウィンチェスター社の女社長を診断するために「ウィンチェスターハウス」で過ごす事となった精神科医が、その場所で自らも恐るべき体験をする』という感じの展開で、プロット自体は割とシンプルでありがちな感じのお話という印象。

 ただ、この現実のウィンチェスターハウスを題材とした美術デザインやらが非常に良くできており、巨大な屋敷の異様な外観や迷路のような異様な構造、蜘蛛の巣を意匠とした独特のクラシカルでゴージャスな内装なんかが美しくて見応えがあるんですよね。

 他にもウィンチェスターハウスを題材とした作品はそこそこありましたが、本作は予算もかかっているらしく巨大な屋敷のスケール感や迫力も良く出ており、屋敷の様子を見ているだけで面白いのは良い感じですね。

 ウィンチェスターハウスを作った女社長のキャラクターも良い味を出しており、生死観や銃に対して独特の哲学を持った個性的なキャラとして良く描かれています。

 また『過去に銃で死にかけた事がある』という経緯を持つ主人公の精神科医のキャラクターの設定もこれまた良くできており、この女社長と主人公のキャラの独特の世界観を持ったやり取りやキャラの掘り下げがなかなか面白くて、序盤は割と会話劇が中心ながらも退屈しない雰囲気になっているのも良い感じ。

 オカルトとしての演出は割と定番的なもので、ショッカー演出がやや多めなものの、ミステリアスな屋敷の独特の雰囲気のお陰もあってそこまで鬱陶しさを感じるレベルではなく、目新しさこそ無いもののまあまあ及第点といった印象。

 そして、単なる『ゴシックホラー的な雰囲気&哲学的なテーマの幽霊屋敷もの』といった雰囲気映画的な作品で終わるのかと思いきや、お話が動き出してからの終盤の展開とかはなかなかパワフルな内容で、思った以上にエンターテインメントとしての見応えがあったのは、良い意味で予想を裏切られた感じ。

 ただストーリーの展開が全体的に遅めで、特に中盤あたりはお話の着地点がなかなか見えてこないせいで、ちょっとヤキモキする部分があったのは気になった部分ではありますが、オチの落としどころなんかも上手くて不満点を差し引いても全体的に非常に楽しめた作品でしたよ。


 総評としましては、世界観や美術デザイン、キャラクターやストーリーの構成も含めて、『全体的に高いレベルでまとまったオカルトサスペンス映画』という感じの作品です。

 「ウィンチェスターハウス」という題材やゴシックホラー的な雰囲気が目的で観ても普通に楽しめると思いますし、純粋にオカルト作品として観ても良くできた内容だと思うので、気になっているのであればチェックしておいて損はないでしょう。

 数年に一本レベルの『良くできた幽霊屋敷ものオカルトホラー映画』だと思いますので、そういうジャンルが好きであれば間違いなくオススメですよ。