■■■「パズル」■■■
(50点/サスペンス)
薬物依存症から回復したアレックスは、ホラーマニアの恋人のネイサンに誘われて、ホラーファン向けの脱出ゲームである「切り裂きキャンプ」に参加することとなる。
彼らは他の参加者らとともに、主催者から『命令には絶対服従』、『主催者側への反撃は禁止』、『私物や携帯の持ち込みは禁止』と言ったいくつかのルールの説明を受けた後に、目隠しをされて人里離れた山中のゲーム会場へと連れていかれてゲームが開始。
順調に謎を解きながらゲームをクリアしていく参加者たちだったが、突然あらわれた刃物を持った不気味な老人によってネイサンが負傷するという事故が発生。
他の参加者たちは、単なる過剰な演出だと考えてゲームを続けようとするが、彼女はこのゲームが実は普通の脱出ゲームではないのではないかと疑問を抱くようになっていき…
とあるカップルがホラーファン向けの『脱出ゲーム』に参加したところ、謎の殺人鬼の襲撃を受けて想定外の恐怖に遭遇する…という、サスペンスホラー映画。
日本でもイベントとかで人気のある『脱出ゲーム』(特定のシチュエーションに従ってロールプレイしながら謎を解きつつステージをクリアしていくという、体験型のアドベンチャーゲーム)を題材としたサスペンス映画ですが、本作は人里離れた山中で行われるホラーファン向けの『脱出ゲーム』が、実は単なるゲームでは無かった…みたいな感じのプロットのお話です。
とまあ、プロットだけ聞くと割とありがちな感じの設定に思えますが…
ややネタバレになってしまいますが、単なるスラッシャーホラー映画と思わせておいて、ちょっと一捻りある感じのお話なんですよ…
最初は『脱出ゲームの会場に本物の殺人鬼が紛れ込んで』みたいな展開と思わせておいて、中盤あたりからどんどん予想外の先の読めない展開に突入していくのは、なかなか面白いです。
ただ『予想外の展開』で興味を惹くのは良いのですが、色々と『予想外の展開』を詰め込みすぎなせいで、観ていて非常に煩雑な印象を受けます。
特に、中盤辺りからあまりにも『異常なシチュエーション』が続くので、『これはマトモな話じゃなくて何か裏があるぞ』というのが容易に想像がついてしまうため、逆に『意外な展開』に対して全く驚きが感じられないんですよね。
設定も妙にゴチャゴチャしすぎてて分かりにくいですし、途中からマトモに推理や考察しても意味がなさそうなのが読めてしまうので緊張感を持ち続ける事ができなくて、自分は中盤辺りからちょっと疲れてダレてしまいましたよ…
ラストの『予想外のドンデン返し』はちょっと面白かったですが、そこまでの展開がゴチャゴチャしすぎのせいで、全体的にどうにも『印象に残らない感じの話』になっちゃってるんですよね。
また、お話が意外な方向に向かうにつれて、ヒロインが物凄く身勝手なクソ野郎(というかビッチ)なのが判明していって、主人公にどんどん感情移入できなくなっていくのも困りものです。
ラストとかは『こいつ、もっと酷い目にあえば良いのに』みたいに思いながら観ていたので、『もうちょっとキャラの立て方とか、どうにかならなかったのか…』ってのが正直な感想でしたよ。
(ありがちな『自立した女性像としてのホラー映画のヒロイン』に対するカウンター的な個性付けなのかもしれませんが、ぶっちゃけ観ていてイライラするだけでした…)
総評としましては、シチュエーションとか設定とかに面白い部分はあるものの、ゴチャゴチャしすぎのせいで『いまひとつパッとしない印象のサスペンスホラー映画』って感じの作品です。
まあでも、ツッコミどころは多いもののどんでん返し系の作品が好きならば、そこそこ楽しめる内容かもしれませんので、そういう作品が好きならばチェックしてみても良いかもしれません。
色々と個性的な部分の多い内容ですので、強く推すまではいかないものの『気になっているならばチェックしてみても良いかも』ってレベルの一本ではないでしょうか?