NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「クワイエット・プレイス」(50点/モンスター)

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■■■「クワイエット・プレイス」■■■
(50点/モンスター)

 近未来、突如出現した『音に反応して人間を襲う謎の生命体』の襲来によって人々は次々と惨殺され、人類は滅亡の危機に瀕していた。

 そんななか、エヴリン、リーの夫婦は2人の子供と共に、会話には手話を用い、歩くときは裸足で、道路に砂を敷き詰めてその上を歩き、極力音を立てないように慎重に暮らしながら、生き残っている人々からの救助を待ち続けていた。

 しかしそんな矢先、妻のエヴリンの出産予定日が目前に近づいてきて…



 『音を立てたら謎の怪物の襲撃によって即死させられる』という世界で暮らすとある家族のサバイバル生活を描いた、モンスターホラー映画。

 トランスフォーマー」シリーズでおなじみのマイケル・ベイ監督の制作によるモンスターホラー映画という事で話題になった作品ですが、ぶっちゃけて言ってしまえば話題になった作品の割には『え、こんなもん?』というのが正直な感想の作品でしたよ。

 確かに『音を立てた瞬間に殺される』という設定は斬新ですし、非常に緊張感があって面白いです。

 ストーリーを無駄に広げずに、とある一家の親子の関係性だけに閉じて描いたという作品の見せ方も良くできており、モンスター映画という体を取ってはいるものの、どちらかというと『息子を失ってトラウマを抱えたとある家族が家族の絆を取り戻す』様子を描いた『家族再生ドラマ』がメインという印象。

 そういったテーマや主題、狙っている方向性なんかが分かりやすく、あえてコンパクトにまとめた作りになっているのは悪くない感じです。

 ただ、モンスターを題材とした家族ドラマや人間ドラマとしては良くできていると思うのですが、純粋にモンスター映画として観た場合には、それ以外の部分に色々とツッコミどころが多すぎる印象なのが困りもの。

 まず、モンスターは隕石に乗ってやってきた『地球外生物みたいな設定なのですが、確かに敏捷で狂暴で危険な生物ではあるものの、普通に銃で倒せる程度の怪物なので、あんな怪物がちょっと繁殖した程度で人類が危機に陥るとは思えません。

 つか、あの怪物が戦車や戦闘ヘリに敵うとはとても思えないので『この程度なら軍隊が出動したら普通に駆除できるだろ?』というのが正直な印象。
 (ゾンビみたいに感染して数が増えるような生物でもないですしね…)

 それ以外にも主人公家族の行動もツッコミどころが多すぎで、お話として『怪物が出現してから470日』とか時間が経過しているという設定なのに、『奥さんが出産を控えて居る』という状況なのが意味不明です。

 いや『音を立てたら即死』みたいな世界で、何を思って子どもを作ろうと思ったんだよ!!
 家族計画を立てるにしても無計画にもほどがありますし、『考えなしオブ・ザ・イヤーかよ!!』としか言いようがありません。

 また文明が崩壊してから1年半も経っているという設定なのに、主人公たちが何エーカーもありそうなトウモロコシ畑をキレイに維持していたり、なぜか電力は普通に供給されていたり(怪物は発電機の音は気にしないのか、燃料はどこで確保してるのか?)と、とにかく世界観に矛盾点が多すぎます。
 (怪物がエンジンの音を気にしないなら車で逃げ放題だしね…)

 いくらシリアスに家族ドラマを描かれても他の部分の設定(主に科学考証やSF設定)が適当すぎるので、ストーリーと設定とのギャップに流石にモヤモヤしてしまいました。

 なんでシリアスなドラマを中心に描くなら、もうちょっと設定を矛盾が無い程度にリアルに作り込まなかったのかと…

 また設定のツッコミどころ以外にも、序盤のお話の展開がひたすら地味すぎるのも気になるところ。

 演出の都合上で仕方ない部分ではあるのですが、セリフやBGMもほとんどなくひたすら無音でお話が進んでいく(セリフは手話&字幕)ため、どうにも退屈で途中で何度か眠くなってしまいました。

 でも、怪物が登場してからの終盤にかけての展開は緊張感がありますし、いかにも邪悪そうなヒョロっとした感じの怪物のデザインなんかも良くできており、そういう部分では割と見どころがあるのは良い感じかなぁ?

 個人的にですが、普通に『怪物が出現してから軍が救助に来るまで』みたいな短時間のサバイバルを描いた閉鎖環境ホラー映画にしておけば、特に矛盾やツッコミどころも無いような設定になったんじゃないかと思うのですが、なんでそういう設定にしなかったんですかね?
 (まあ、それだと『家族の絆の再生』というテーマは描きにくくなったかもしれませんが…)


 総評としましては、悪くはないもののそれほど良くもない『それなりに観れるレベルのモンスターホラー映画』ってのが正直な感想です。

 独特の世界観やら怪物のデザインやら良くできている部分もあるのですが、本作を観る人はどちらかというと『モンスター映画』の部分を楽しみにして観ると思うので、人間ドラマに注力されている部分は賛否分かれそうな印象。

 個人的には鳴り物入りの作品の割にはイマイチだったなぁ』ってのが正直な感想ですが、観るべき要素もそこそこある作品ではあるので、気になっているならチェックしてみても良いんじゃないでしょうか?