NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「クワイエット・ボーイ」(60点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「クワイエット・ボーイ」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)

 大人たちが悪魔の格好をして子供たちを脅かしてまわる『クランプス』の夜。
 悪魔の姿に怯えた4歳の少年のトマソは、森の中に逃げ込んでそのまま行方不明になってしまう。

 この事件によって、事件の直前に泥酔して子供に邪険にしていたところを目撃されていた父のマヌエルは虐待の疑いで警察に逮捕。
 もともと精神に問題を抱えていた母のリンダは自殺未遂によって精神を病んでしまう事に…

 しかし事件から5年後、町の地下道で発見された身元不明の少年が、外見的特徴とDNA検査からトマソであると発覚。

 夫妻の元に5年ぶりに帰ってきた少年は、以前の記憶を失っていたうえに殆どしゃべらなくなっていたが、母のリンダは5年前から豹変してしまった彼の態度に違和感を感じるようになっていく…



 5年前のお祭りの夜に行方不明になった少年が5年ぶりに帰ってくるが、帰ってきた少年は記憶を失った上に別人のようになってしまっており…という感じの、イタリア製のサスペンススリラー映画。

 なんかクワイエット・プレイス」の便乗作品のような邦題が付いていますが、当然ながら全く関連がないうえにジャンルすら被らないような全く別の作品です。
 ただ、こんなパチモンみたいなタイトルの割には、肝心の中身の方はなかなかにシッカリと作られたサスペンススリラー映画という印象。

 お話としては、『4歳の時にお祭りの日に森の中で行方不明になっていた幼い息子が5年ぶりに発見されて夫妻の元へ帰ってくるものの、その息子は記憶を失ったうえに以前とは別人のようになってしまっており…』という感じのストーリー。

 最初は『謎の少年』を中心としたサスペンスとかオカルト的なお話なのかと思いきや、その実は『周辺の大人たち』の方に色々と問題アリな事が判明して、家庭ドラマを中心としたサスペンスとしてお話が展開していくという構成はなかなか面白いです。

 『謎の少年』の不気味さも良く表現されており、なかなか良い味を出しています。

 また、少年が戻ってきた事によって『家族が再生されていく』のかと思いきや、もともと冷めきって崩壊寸前だった『家族』の関係が、少年が帰ってきて『時が進み始めた』事によって転落するように崩壊していくという『家庭崩壊ドラマ』として描かれているという構成も、なかなか捻りが効いていて良い感じ。
 この辺のちょっと捻くれた構成は、いかにも欧州映画という雰囲気ですね。

 ストーリー的にも中盤あたりまではお話がなかなか進まなくて、ちょっとダルくて冗長な印象を受けるものの、終盤の怒涛のような予想外の展開の連発は結構面白いです。

 ネタバレになるのであまり詳しくは書きませんが、伏線も丁寧に張られていてこの手の作品としてはなかなか良く練られた脚本だと思います。

 ラストの一見キレイな終わり方のように見えつつも、不気味さを残したオチも個人的には結構好きですし、個人的には期待していなかった割には予想外に楽しめた映画でしたよ。


 総評としましては、思ったよりも『なかなかシッカリと作られたサスペンススリラー映画』って感じの作品です。

 色々と趣味の悪い部分のある映画なのでちょっと観る人を選ぶ感はありますが、この手の謎解き系サスペンス映画が好きな人ならば割と楽しめる作品ではないかと思います。

 やや冗長で小粒感のある作品なので強く推すほどではないですが、気になっているのであればチェックしておいても損はない一本だと思いますよ。