■■■「サタニック・ビースト 禁断の黒魔術」■■■
(45点/オカルト)
5年前に山奥で医師の老人に拾われた少女のクララは、それから5年後、美しい女性へと成長し老人の手伝いをしながら2人で慎ましく暮らしていた。
そんなある日、市場の帰りに山の中で一人の男に出会ったクララは、その男から『今晩、自分は地獄へと落ちる運命にあるから、自分のために一晩中この本に書かれた祈りの言葉を捧げてほしい』と言われて、大量の金貨の入った袋を渡される。
彼女は男の指示するままに、その男の持っていた古びた本に書かれていた言葉を読み上げるが、その本は実は恐るべき力を秘めた魔術書で、彼女の周りで恐るべき事件が起こり始めるのだった…
ブラジルの山中で慎ましく暮らす女性が、ふとした切っ掛けで恐るべき力を秘めた魔術書を手に入れてしまった事から恐るべき事態へと巻き込まれていく…というオカルトホラー映画。
「シー・オブ・ザ・デッド」とか「デス・マングローヴ ゾンビ沼」といったブラジル製の超グロ系ゴア映画を作ったロドリゴ・アラガォン監督による最新作。
今回も多分に漏れずハイテンションな超ゴア系映画かと思いきや、意外にもオカルト色が強くてそこまでゴア要素は強くない内容になってたりします。(といってもそこそこグロいけど…)
お話としては、『山奥で老人と一緒に育った一人の女性がふとした事から魔術書と大量の金貨を手に入れるんだけど、魔術書と金貨を狙う悪党たちによって命を狙われ、彼女自身も平穏を取り戻すために魔術書の力に頼った事から恐るべき事態に発展していく』みたいな感じのストーリー。
『一人の女性が魔術書と大金を手に入れた事から人生を狂わされていく』みたいなのがお話の主軸になっているのですが、恋人に裏切られて金を奪われそうになったり、悪魔崇拝者を排除しようとするキリスト教信者や魔術書を狙う謎の宗教団体が現れてみたりと、直球ストレートな作品が多いいつものアラガォン監督らしくない、やたらとゴチャゴチャした展開になっています。
(いつものアラガォン監督は、他のすべてを切り捨てて『イキオイ』と『グロ』に特化したような作品ばかりですからね…)
ただ慣れないややこしい話を撮ったせいなのか、実際の映画の内容の方もどうにもゴチャゴチャして分かりにくい作品という印象で、観ていてどうにもテンポが悪いのは困りもの。
相変わらずのアラガォン監督らしく『物凄く胸糞悪い性格の脇役』とかがいっぱい登場して、そういった連中が次々と酷い目にあっていくのは楽しいのですが、他の作品のようなイキオイが無いためテンポが悪くて、いま一つカタルシスや盛り上がりに欠けます。
なんかサスペンス的に色々な要素を詰め込みたかったのかもしれませんが、方向性がボヤけてしまって単にややこしい話になってしまっている感があるので、もうちょっと描きたい方向性を絞り込んだ方が良かったんじゃないかなぁ?
相変わらず悪趣味で矢鱈と気持ちの悪い表現とか、ラストの無駄にテンションの高いオチとか、いつものアラガォン監督らしい部分もあるので、そういう意味では期待に沿えてる内容ではあるんですけどね…
総評としましては、どうにもグテグテ感の強い『ゴア風味悪趣味オカルト映画』みたいな感じの作品です。
アラガォン監督の最新作としてとりあえずチェックしてみるのも悪くないとは思いますが、いつもの『ハイテンション超残虐ゴアホラー』みたいなノリを期待してると肩透かしを食らう感じかも?
まあ、あいかわらずの悪趣味映画としては悪くない出来だとは思いますので、そういう方向性で気になっているならばチェックしてみても良いのではないでしょうか。