■■■「サバービコン 仮面を被った街」■■■
(45点/オカルトサスペンス)
高度成長期のアメリカ。
郊外の新興住宅地のサバービコンは全ての人々が笑顔で暮らせる街として売り出されていたが、そこに黒人一家が越してきた事から差別意識をもった住民達に猛反発が発生し、黒人たちを追い出そうとする運動が開始される。
そんなある日、両親と幼い息子の3人で暮らすマイヤーズ夫妻の家に強盗が侵入。
強盗によって妻のローズが殺害されてしまうという事件が発生する。
事件後、仕事で多忙な夫のガードナーを助けるために、ローズの姉のマーガレットと息子のニッキーの3人で暮らす事となった彼らだが、後日にローズの殺害の容疑者として逮捕された犯人をガードナーが『知らない相手だ』と偽証した事から、ニッキーは父の行動に疑惑を抱くようになっていき…
高度成長時代のアメリカ郊外の平和な街を舞台に、差別心と愛憎のもつれによって起こった悲劇を描いた、サスペンススリラー映画。
タイトルや雰囲気に加えて、高度成長期っぽい時代を背景とした架空の街(?)が舞台となっている事から、なんとなく洗脳とか陰謀論を題材としたサスペンスなのかなと思っていたのですが…
実際の中身の方は、とある中年夫婦の痴情のもつれと、黒人差別とをテーマとした内容で、ややネタバレになってしまいますが、なんというか胸糞系のサスペンス映画という感じの作品でしたよ。
お話としては、『とある夫妻と息子の3人で暮らす核家族の家庭に強盗が侵入して妻が殺害されてしまうんだけど、実はこの強盗殺人事件は仕組まれたもので…』というようなストーリー。
それに加えて、『主人公たちの隣家に越してきた黒人一家の迫害の様子が描かれる…』という感じで、お話が展開していきます。
割と序盤から事件の犯人やら動機は描かれるので、謎解きやらミステリー的な要素は少な目でサスペンスが主体といった印象。
とある事件をきっかけとして崩壊していく一家の様子が描かれていくのですが、全体的なお話のテンポも悪くないですし中盤以降の展開は割と先が読めなくてまあまあ面白いです。
主人公の少年の父親と母親代わりとなった叔母の二人がなかなかにムカつくキャラで、加えて『迫害される隣家の黒人一家』もそれほど話に絡んでくる訳じゃない割には、迫害のシーンが矢鱈と尺を取って描かれるので、無駄にストレスフルな要素となっている印象。
まあ、そういう方向性を狙って作られた作品だとは思うのですが、どうにも全体的にカタルシスが薄い作りなので観ていてちょっとイライラしてしまいました。
人権意識を考えさせられるほど人間ドラマ方向にも寄ってないですし、エンターテインメントとして観るにはストレスが溜まる内容なので、こういう方向性で攻めるならもうちょっとブラックユーモアとかを強めにした方が良かったのではという気がしましたよ…
総評としましては、色んな意味で『いまひとつスッキリしない感じのサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。
ツマんない訳でもないのですがそこまで面白い訳でもないですし、オチもそこまでパンチが強い訳でもないので、全体的に胸糞系の部分ぐらいしか記憶に残らない映画という印象かなぁ…
まあ悪くはない内容だと思うので、ネット配信とかで無料で観れる(というか元々スターチャンネルだかで放送された作品?)ようであれば、そのタイミングでチェックしてみても良いんじゃないでしょうか…