■■■「ミスター・ガラス」■■■
(60点/サスペンス)
列車事故により超能力に目覚め、悪の存在の感知と不死身の肉体を手に入れたデヴィッドは、息子と共に街の治安を守りつつ正体不明の連続殺人鬼である『群れ』の存在を追っていた。
そんな最中、多重人格者で彼と同じように超人的な野獣のパワーを持つ殺人鬼のケヴィンを発見したデヴィッドは、彼を死闘の末になんとか捕らえようとするが、警察の介入によって2人は逮捕されてしまう。
精神病院に収監された彼らは、同じように収監されていた天才的な頭脳と以上に骨の折れやすい脆弱な肉体を持つ『ミスター・ガラス』と共に、精神科医のエリスから『彼らの持つヒーローのスーパーパワーは妄想である』と説明されて、超人的な力を奪う事を目的とした『治療』が開始されるが…
超人的な肉体や頭脳を持った3人の男たちが、その超人的な力によって対峙しつつ隠された力の秘密に迫る…という、サスペンススリラー映画。
M・ナイト・シャマラン監督の「アンブレイカブル」、「スプリット」に続く超人シリーズの第3弾に当たる作品で、位置づけ的には「アンブレイカブル」シリーズの完結編的な感じのお話ですね。
「アンブレイカブル」から「スプリット」までが随分と間が空いていたうえに、続編という事が全く宣伝されずに公開されたせいでちょっと驚かされましたが、スプリットから本作までは割とすぐ作られた辺りからして、「スプリット」の時点で3部作としての構想はあったような感じですなのかな?
内容的にも「アンブレイカブル」や「スプリット」に登場した『超人』たちが相まみえるという感じで、シリーズの集大成という印象です。
ただ、カテゴリー的には『ヒーローもの』というジャンルに分類されるようなお話だと思うのですが、そこはシャマランらしく一筋縄では行かない感じのノリになっています。
初っ端から主人公たちが精神病院に入れられて『お前たちの超能力は危険な妄想の産物だ!!』と説明されて、延々と『治療』が行われるという展開なのですが、『シャマランの映画だからそういう変化球なオチもあるかも?』とか考えてしまう辺りがある意味で面白いです。
お話の前半部分が、3人の超人たちの過去やら今までのシリーズのおさらい的な要素に結構多く割かれてて、シリーズの間隔が結構開いている割にはお話が非常に分かりやすいのも良い感じ。
気になるのは、この序盤の『伏線』と『溜め』の部分が結構長くて、どうにも冗長な事。
まあでも、お話が動き出してからはスピーディでなかなか面白いですし、ひねくれた伏線のお陰でなかなか先が読めない作りになっているのも悪くない印象ではあります。
『超人』という独特な題材からお話がグテグテにならないかと危惧していましたが、オチも思ったよりもキレイにまとまっていましたしシリーズの完結編としてはまあまあ楽しめたかなぁ?
ただ3人の超人たちの『対決』には、もうちょっと派手な展開があっても良かったかも…
また独特のテイストとひねくれた内容という、いかにも『シャマランらしい映画』ですので、人によっては『なんじゃそりゃ』という感じなってしまって、あまり楽しめないかもしれないので注意が必要な感じでしょう。
(特に「スプリット」が楽しめなかった人は、本作は観ないでも良いかも?)
総評としましては、色々と不満点もあるものの、そこそこ良い感じにまとまった「アンブレイカブル」シリーズの完結編という感じの作品です。
シャマラン監督流の『ひねくれた世界観のヒーローもの』として、個人的にはなかなか楽しめた映画ではありましたが、まああいかわらずちょっと人を選ぶノリという感じかなぁ?
「アンブレイカブル」と「スプリット」が楽しめた人であれば、本作も普通に楽しめる内容ではあると思いますので、シリーズ完結編としてチェックしておいて損はない一本だとは思いますよ。