NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・マミー」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「ザ・マミー」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 メキシコに住む11歳の少女のエルトレヤは、ある日、母親がギャングに拉致されて行方不明となった事から孤児となってしまう。

 それ以降、奇妙な囁き声や不気味な現象に悩まされるようになった彼女は、自宅を捨てて同じようにギャングによって孤児となったホームレスの少年たちと行動を共にするようになる。

 そんなある日、仲間の一人が地元ギャングの幹部であるカコによって拉致されたことから、彼女は仲間を救出するために銃を持ってカコの屋敷へと侵入。

 しかしカコは何者かによって既に殺害されており、更に、奇妙な囁き声が『カコを殺した男がエストレヤを捜しに来る』と彼女に告げ…



 ギャングのせいで孤児となった少年少女たちが、不気味な現象や奇妙な偶然によって恐るべき事件に巻き込まれていく…という、オカルト風味のサスペンススリラー映画。

 「ザ・マミー」といっても、エジプトのミイラの呪いとかダークユニバースとは関係なくて『母親』の方を意味するタイトルです。
 デル・トロ制作の「MAMA」とも被るので、なんと言うか分かりにくいタイトルですね…

 お話の方は、『ギャングによって母親を拉致されて殺された少女が、数奇な運命や霊の導きによって恐るべき事件へと巻き込まれていく』という感じで、どちらかというとサスペンススリラー的な要素の強い作品です。

 パッケージとか設定の雰囲気から、てっきりガチのオカルト系のお話かと思っていたのですが、ノリとしては『社会派サスペンス映画』的な要素がメインで、オカルト要素は風味付け程度といった感じの印象。

 オカルト的な怖さはそこまで無いのですが、『ギャングによって両親を殺されて孤児になった少年たちが、生き残るために銃を手に取ってギャングに立ち向かう』という設定やら、ギャングが力を持ちすぎて無法地帯化しているメキシコの日常風景の方が幽霊なんかよりもよっぽど怖いです。

 また設定だけ聞くと物凄いヘビーなお話っぽいのですが、重い世界背景にオカルトやファンタジー的な要素を上手く噛ませることによって、そこまで重苦しさを感じないような作りになっているのは上手いところ。

 オカルト描写の不気味さやファンタジー的な美しさも良い味を出しており、雰囲気映画的な作品としても良く出来ています。

 メインのストーリーであるサスペンス的な部分も先の読めない展開で普通に面白いですし、少年たちの成長を描いた人間ドラマとしても主人公たちのキャラクターがシッカリと描かれていますし、色んな意味で非常にバランスの取れた作品という感じです。

 原題(TIGERS ARE NOT AFRAID)にもなっている『トラ』を題材とした寓話によるメタファーも良く利いており、オチの落としどころも悪くない印象。

 ただヒロイックさすら感じさせるようなラストの展開は、社会派ドラマ的なヘビーな設定とミスマッチ感があり、この辺は好みの分かれる部分かも?

 また、オカルト的な雰囲気を前面に押し出したタイトルやパッケージの割に、オカルト要素はかなり薄めなので、そういう方面に期待していると肩透かしを食らうかなぁ…


 総評としましては、なかなか個性的な設定やテイストで『良く出来たオカルト風味のサスペンススリラー映画』という感じの作品です。

 ノリとしては、オカルトというよりもサスペンスにダークファンタジー要素を追加したような作風ですので、そういった雰囲気の映画だと理解して観る分には問題ない作品だと思います。

 他には無いタイプの独特のテイストを持った面白い作品ですので、気になっているのであれば観ておいて損はない一本だと思いますよ。