NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アンフレンデッド:ダークウェブ」(60点/サスペンス)

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■■■「アンフレンデッド:ダークウェブ」■■■
(60点/サスペンス)

 新しいPCがどうしても欲しかったマタイアスは、ある日、放置されていたPCを盗んで持ち帰り自宅で起動する。

 ユーザーのIDをハッキングした彼は、SNSのアプリのユーザー情報を自分のものに書き換えてそのまま利用を開始し、恋人のアマヤや友人たちとSkypeで交流を開始するが、そんな最中、元のPCの持ち主の知り合いと思われる『カロン』と名乗るIDから奇妙な仕事の依頼メッセージが届く。

 最初は通知を無視していたマタイアスだったが、PCの中に『UNTITLED』と書かれた奇妙な隠しフォルダを発見。
 そこに保管された映像を確認したところ、監禁された女性や何ものかが拉致される現場といった、犯罪に関わるかのような不気味な映像が収められていた。

 異様な状況に好奇心を抱いた彼は、『カロン』と名乗るIDの勧めるアプリをダウンロードして実行してみたところ、それはネットの裏社会であり密売や殺人といったあらゆる犯罪が蔓延する『ダークウェブ(闇ネット)』へと繋がる恐るべきアプリだった…



 盗んだPCでネットを利用していた青年が、PCの元の所有者が関わりのあった『闇ネット』へと接続してしまい恐るべき事件に巻き込まれていく…という、サスペンススリラー映画。

 いわゆる、ネット(SNS)を利用した一発ネタ系オカルトホラーである「アンフレンデッド」の続編に当たる作品ですね。

 前作は『いじめを苦に自殺した少女がいじめた旧友たちの仲間うちのSNS上に復讐に現れる』といった内容で、イデアとしては面白いものの演出としてはこなれていない部分の多いオカルト映画という感じの作品でしたが、その続編である本作は謎解き的な要素の強いサスペンススリラー映画となっています。

 PCの操作画面の『SNSでの会話』を中心にお話が展開していくという部分は前作と同じなのですが、ストーリー的な繋がりのようなものは全くないですし、そもそもジャンルそのものがオカルトからスリラーに変わってしまっているので、前作が好きだった人はちょっと面食らわされてしまうかも?
 ただ逆に前作を観て居なくても、何の問題も無く楽しめる作品であるとも言えます。

 お話としては、『盗んだPCでネットを利用していた青年が、以前の持ち主の関わっていた『闇ネット』に関わる事となってしまい、恐るべき事態に巻き込まれていく』という感じのストーリー。

 実際の社会でも最近は割と話題になっている感のあるネットミーム(都市伝説)である『ダークウェブ』を題材とした内容で、実際にこんな『組織的に犯罪を行ってスナッフビデオを流通させるような集団』が存在するのかは微妙なところですが、最近の時流に乗った作品という感じではありますね。

 最初は『主人公はなんで中古のパソコンを再インストールもせずに利用するんだよ!?』と別の意味でビックリしましたが、盗んできたPCという事で納得。

 前作と同様に『PCの操作画面のみを映してお話が進んでいく』という事で、状況がやや分かりにくい部分はありますが、それを補う感じで登場するキャラクターの個性が濃くてストーリーも分かり易い作りになっているのは良いですね。

 また前作では『いじめをした連中がいじめで自殺した知人の霊に呪い殺される』という設定やら内ゲバ大会』みたいな自業自得的な内容で、ちょっと怖さに欠ける印象があった(むしろカタルシスがあった)のですが、本作では『理不尽なトラブルによって恐怖にさらされる』みたいな展開になっており、都市伝説的な怖さが増しているのも良い感じです。

 ただ、前作と同様に主人公の顔があまり画面に映らないため、感情移入がし辛いせいでいまひとつサスペンスとしては緊張感が薄くて、やや盛り上がりに欠けるのは残念なところ。
 この辺は同じようなシチュエーションを扱った「サーチ/search」がかなり上手く処理していたので、もうひと工夫あっても良かったかも?

 お話の流れとしては、細かいツッコミどころは色々とあるものの接触しただけで命の危険にさらされる『闇ネット』の不気味さや理不尽な怖さも良く伝わりますし、ビジュアル的なインパクトも前作よりも強くなってて、ホラーとして見応えがある内容になっています。

 ストーリーもなかなかテンポが良くて、やや間延びしがちがった前作に比べて観ていて退屈しない作りになっているのは良い感じです。

 まあ、ノリとしてはかつては『邪教カルト集団』でやられていたネタが『闇ネット』に入れ替わっただけではあるのですが、現代的な都市伝説として視聴者の実感が湧きやすいという点や、カルト集団よりも『無機質な怖さ』が感じられるという点では良いアイデアという印象。

 ただ前作と同様に、画面が小さくて何が起こっているのか分かりにくい部分や、映像に迫力が足りない部分は相変わらずの課題という感じですね。

 あと、序盤の中途半端にオカルトっぽい演出でミスリードを誘うような展開は、特に必要なかったんじゃないかなぁ…
 オチもちょっとパンチが弱くて、単なる投げっぱなしみたいになっているのは勿体なかったかも?

 また相変わらず一発ネタ的な内容ではあるので、続編とかに繋ぎ辛い作品なのは難点かなぁ?


 総評としましては、『まあまあ良く出来たネットミームを題材としたサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。

 前作と同じようなシチュエーションでオカルトからサスペンスへと舵を切ってきた感じですが、単純に前作以上に面白い内容になっているので、まあコレはコレでアリな感じではないかと。

 『PCの操作画面のみを映す』というアイデア勝負の一発ネタとしては面白い作品なので、ネタとして気になるのであれば前作と同様に本作もチェックしておいても損はない一本だと思いますよ。