（４０点／スラッシャー）
ペンシルバニア州の小さな町サマートンで、ハロウィンの町興しとして『恐怖の館（FRIGHT FEST）』というイベントが企画される。
それは、廃墟となった巨大な精神病院の跡地を利用したホラーアトラクションで、ハリウッドの人気ホラー監督であるスペンサー・クロウがプロデュースしするというものだった。
アトラクションは、院内のいたるところに客を怖がらせるためのギミックが仕掛けられ、殺人鬼や怪物に扮したスタッフ陣が待機し、その話題性から多くの客が詰めかける事となる。
しかし精神病院から護送中の殺人鬼が、護送車の事故によって逃げ出しアトラクションへと逃げ込んでしまった事から、その場所は殺戮ショーが繰り広げられる本物の『恐怖の館』と化してしまうのだった…
田舎町で廃精神病院を利用した巨大なお化け屋敷のアトラクションを開園したところ、本物の殺人鬼が紛れ込んでしまった事から惨劇が繰り広げられる…という、スラッシャーホラー映画。
少し前に続編が作られたジョン・カーペンター監督の「ハロウィン」のパクリっぽいタイトルですが、実際の中身の方は当然ながら何の繋がりもない作品です。
パッケージデザインやらタイトルやらが『騙す気まんまん』な感じなので、本家の「ハロウィン」（の続編）をレンタルしようと考えている人は間違えて借りてしまわないように要注意。（ちなみに本作の原題は「AMERICAN FRIGHT FEST（恐怖の館）」。）
お話としては、『とある町が町興しイベントとして廃精神病院を利用した巨大なホラーアトラクションを開催しようとするんだけど、その場所に精神病院からの護送中に逃げ出した本物の殺人鬼が紛れ込んでしまい…』みたいな感じのストーリー。
お話的に本家「ハロウィン」と繋がりが無いと言いつつも、『精神病院から護送中の殺人鬼が交通事故で逃げ出してしまい、連続殺人を繰り広げる』という設定やら、殺人鬼のマスクがなんとなくブギーマンを彷彿とさせる辺りからして、内容的に「ハロウィン」を意識したと思われる部分がいくつか見られます。
また、アトラクションをプロデュースするホラー監督の映画のポスターも、なんとなくアルジェント監督とかデ・パルマ監督辺りを意識していそうな感じで、80年台のスラッシャーホラー映画へのオマージュっぽいノリが感じられる内容です。
ただ、80年台ホラーへのオマージュを捧げてくれるのは良いのですが、肝心の映画の方があんまり怖くなくて、どうにも盛り上がらないのが困りもの。
お話も割とテンポ良く進みますし、殺人鬼はサクサクと人を殺しまくってくれるので退屈しない内容のはずなのですが、殺害シーンにとにかく迫力が無くて観ていて退屈なんですよね…
基本的に特撮がショボい事や、殺害シーンの半分ぐらいは画面外で犠牲者が殺されるイメージ映像だという事もあると思うのですが、それだけでは説明しきれないレベルで不思議なぐらいに殺害シーンが観ていてダルいんですよ。
単純に低予算だからとかじゃなく、演出とか含めて全体的に見せ方があまり上手くないような印象。
主要登場人物のキャラクターの個性もいま一つ立っておらず、全体的に没個性的なのも残念なところ。
本物の殺人現場を目撃した事に大興奮して、喜んで殺人現場を撮影しまくる映画監督はそこそこキャラが立っていましたが、他のキャラがどうにも影が薄いんですよね。
ただ、見せ場である筈の殺害シーンは見応えが無いものの、ストーリーや設定は意外と凝った作りになっており、精神病院から逃げ出した二人の殺人鬼の関係性やら、作中であまり語られない設定部分が割とシッカリと作られていそうなのは好感触。
ただ、設定が凝ってそうな割にはラストが矢鱈と中途半端で投げっぱなしな終わり方で、凝った感じの設定も特に語られない部分が多くて色んな意味でスッキリしない終わり方だったのは残念なところでした。
２人の殺人鬼のキャラは良く立っていたので、この辺がもうちょっとシッカリと描かれてたら、そこそこ観れる作品になってた気はするんですけどね…
総評としましては、『どうにも迫力と盛り上がりに欠ける低予算スラッシャーホラー映画』という感じの作品です。
設定やらキャラクターやらは割とコテコテな感じで悪くない部分もあるのですが、とにかく見応えとか見せ場が無いホラー映画という印象かなぁ？
気になっているのであれば観るのを止める程の酷い出来ではないですが、オススメできるような要素はあまり無いので、とりあえず「ハロウィン」と観ようとしている人は間違えて借りてしまわないよう要注意です。
