NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「イット・アワーズ」(55点/オカルト)

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■■■「イット・アワーズ」■■■
(55点/オカルト)

 学生時代には成績優秀なエリートだったマニーは、就職に失敗した事から妻のアリシアの両親の家に居候しつつ暮らしていた。

 義父であるフランクの不動産業の手伝いとして、彼と共に家賃を滞納している住人を追い出す仕事をしつつも、罪悪感とストレスから憂鬱な毎日を過ごすマニーだったが、そんなある日、立ち退き命令に向かった先が高校の同級生のケヴィンの家だと判明。

 ケヴィンは病気で寝たきりの母親と暮らしており、なんとか待ってくれるようにと彼に懇願するが、マニーは仕事だと割り切り彼を家から追い出してしまう。

 しかし無理が祟ったせいか、ケヴィンの母親はその直後に亡くなってしまい、それ以降、何故か彼の周りでは不気味な現象や不気味な現象が次々と起こるようになっていき…



 家賃を滞納した寝たきりの老人一家を追い出して殺してしまった男性が『因果応報の呪い』によって自らも不幸に見舞われていく…という、オカルトホラー映画。

 どうやら、インドの宗教に由来する『ダルマ(敬虔・調和のような意味を表す言葉)』の対義語に当たる『アダルマ』による『因果応報の呪い』を題材としたオカルトホラー作品という事なのですが…

 自分は『ダルマ』の概念は聞いた事があったものの『アダルマ』に関しては今回はじめて聞いたので少し調べてみたのですが、『正しくないこと』を指す概念のような言葉で、日本ではそこまでメジャーではない宗教用語のようです。

 お話としては、『病気で寝たきりの老人の一家を追い出して殺してしまった不動産業者の若者が、その『因果応報の呪い』によって自らも不幸に見舞われるようになっていく』という感じのストーリー。

 なんとなくプロットがサム・ライミ監督の「スペル」と似通っており、特に序盤の設定とかが『リメイク系の作品なの?』と疑ってしまうぐらい似ているせいで二番煎じ感が拭えませんが、実際の中身の方はそこまで似ても居ない感じの内容のお話です。

 仕事のために他人を次々と不幸に追いやった主人公が、自らも『因果応報の呪い』によって『次々と理不尽な不幸に次々と襲われる』みたいな展開なのですが…
 この『理不尽な不幸』が、主人公の周りの人間の命に係わるようなエグイ内容で、次にどんな不幸が襲ってくるかが読めなくてファイナル・デスティネーション」的な怖さがあるのはなかなか良い感じ。

 この『因果応報の呪いをかけるのは自分自身だ』という設定も、ブラックな感じで悪くないです。

 お話の流れとしては、『因果応報の呪い』による不幸の連鎖をいかにして断ち切るか…という謎解き要素がメインとなってストーリーが展開していくのですが、いわゆる呪いの原因がはっきりしている『悪霊もの』等と違って先の展開が全く読めないのは面白いですね。

 ただ、中盤辺りまでは『理不尽な不幸』の要素が怖くて良い感じなのですが、中盤辺りから何故か『死んだ人たちの悪霊』が実力行使(主に物理攻撃)で襲ってくるようになってしまい、妙に安っぽい感じの雰囲気になってしまうのは困りもの。
 (アメリカ映画の悪霊は何故すぐに物理攻撃に頼ってしまうのか…)

 『因果応報』というふわっとした概念が作品の主題であるなら、具体的な悪霊の姿とかは描かない方が良かったんじゃないかなぁ?

 まあ、それでも終盤の展開とかはそこそこスピーディで面白いのですが、ラストが矢鱈と唐突で投げっぱなしみたいな終わり方なのも、ちょっと気になるところでしたよ。

 あと、本作のタイトルは原題では「KARMA(カルマ)」という直球ストレートな感じのタイトルなのですが、なんで「イット・アワーズ」なんていう良く分からない邦題を付けてしまったのでしょう?
 「イット・フォローズ」のフォロワー的な印象を持たせたかったのかもしれませんが内容に類似点とかが全く無いですし、パッケージのデザインも本編の内容と全く合ってなくて意味不明です。

 流石に『もうちょっと考えて邦題とパッケージを作れよ!』とツッコミを入れたくなる案件でした。(普通に「カース・オブ・アダルマ」みたいなタイトルで良かったんじゃ…)


 総評としましては、やや安っぽいところはあるものの『全体的に悪くはない出来のオカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。

 それなりに良く出来ている部分もあるのですが、ちょっとパンチに欠けると感じる部分も多く、どうにも物足りない印象を受けてしまうのは残念なところ。

 あまり期待せずに観れば『それなりに楽しめる程度の内容』ではあると思うので、気になるようであればチェックしてみても良いかも…といった感じの一本ではないでしょうか?