NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「黒人魚」(60点/オカルト)

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■■■「黒人魚」■■■
(60点/オカルト)

 結婚を間近に控えた水泳選手のローマは、独身最後のパーティを友人たちと行うため、20年ぶりに森の奥の湖畔にあるかつて両親が管理していた別荘を訪れる。

 深夜に一人でパーティを抜け出して湖で泳いでいた彼は、そこで奇妙な少女と出会うが、それ以降、不気味な現象や少女の幻影に悩まされるようになったうえに、原因不明の体調不良によりみるみる衰弱していってしまう。

 異常を感じた婚約者のマリーナは、その原因が湖畔の別荘にあるのではないかと考えて調査を開始するが、やがて彼女の前にも謎の少女の幻影が姿を現すようになり…



 湖に出現する少女の霊に魅入られた男とその婚約者の辿る運命を描いた、オカルトホラー映画。

 タイトルに「黒人魚」と付いていますが、一応、人魚伝説(というか妖精伝説)がモチーフっぽい設定で作られてはいるものの、特に人魚が登場したりファンタジー的な要素はなくて、『湖で亡くなった少女の霊とその秘密にまつわるお話』を描いた、悪霊ものオカルトホラーという感じの作品です。

 ロシア製の作品で、「ミラーズ 呪怨鏡」等の人気のオカルト作品を作った監督による新作で、本作もなかなか安定したクオリティで作られている印象。

 お話としては、『とある結婚を間近に控えた男性が森の奥の湖に訪れたところ奇妙な少女の霊に魅入られてしまい、その呪いによってどんどん衰弱していき、婚約者や友人がなんとかして彼の呪いを解こうとしてその秘密を探ろうとする』みたいな感じのストーリー。

 『謎の少女の霊』の正体とその呪いを解くための方法を主人公たちが探ろうとするんだけど、やがて霊の呪いは周りの人間にも及んでいき…
 という感じのお約束的な展開になっていくのですが、水の精霊である『ルサールカ』伝説をベースとしたストーリーはなかなか面白いですし、単純な『怨恨がらみの悪霊もの』ではないため謎解きの展開の先が読めないのも良い感じですね。

 実は『かつて主人公の両親もこの呪いを受けており…』という感じで、ちょっと捻りが効いた作りになっているのも主人公や悪霊のキャラの個性の味付けとして面白いです。

 ただストーリーは面白いのですが、オカルトとしての『怖さ』はいま一つな感じのなのが残念なところ。

 『少女の霊』がビジュアル的にあまり怖くないうえに、オカルト描写もそこまで怖いと感じるような場面が少なくて、恐怖シーンがどうにも盛り上がりません。

 ショッカー的な演出やパワフル系の演出でそこそこ怖いシーンはあるものの、せっかく『水』を主題としたホラーなのですから、もっとジメジメした不気味な怖さを描いて欲しかったですよ。
 (水中で大量の幽霊が出てくるシーンとか、割と不気味で悪くは無かったんですけどね…)

 ラストも妙に唐突でちょっとアッサリしすぎの感があるので、もうちょっとシッカリとオチが付いてても良かったかも?、


 総評としましては、『そこそこ良く出来たオリジナル系のオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。

 オカルトホラー作品が好きであれば普通に楽しめるレベルの作品だと思いますので、他の類似作品ではないオリジナル路線の新作を求めているのであれば、チェックしておいても損は無い一本ではないかと…

 タイトルやパッケージからダークファンタジー的なノリを期待していると、そういう要素は全くないような作品(そもそもパッケージにのようなビジュアルの『人魚』は登場しない)ですので、そういう系統の作品をチェックしたい場合は要注意です。
 (パッケージのようなゴシックホラー的な要素は殆ど皆無ですので…)