（３５点／生物パニック・やや地雷）
検死官であるサムは、陸の孤島とも言える沼沢地であるオトリーで発見された奇妙な死体の調査を依頼される。
その死体というのは、沼地には存在しない筈の『巨大な魚に食い荒らされた』と思われる、不思議な物だった。
原因を突き止める為に、生物学者のメアリーと共に現地へと向かったサムだったが、そこで『奇妙な難破船が漂着してから、この不思議な事件が起こるようになった』という事を知らされる。
半年ほど前にも、雷魚の大群が巨大化して人間を襲うという「スネークヘッドテラー」って映画がありましたが、今回もまたしても『巨大な雷魚が人間を襲う』という生物パニック映画です。
（ちなみに、「スネークヘッドテラー」の感想はこちら↓）
＞http://blogs.yahoo.co.jp/uei_nanigashi/226271.html
こうも続けざまに、『雷魚』なんてマイナーな生き物が巨大化する映画が作られるって事は、単なる偶然を超えた物を感じる訳ですが…
どうやらアメリカで実際に雷魚の異常繁殖が問題になって、湖に毒を撒いて退治したりといった事件が起こっていて、ソレがネタの元になってるみたいですね。
日本でのブラックバス問題みたいな感じでしょうか？
本作は、金持ちがハンティングを楽しむ為に、道楽で遺伝子操作で作った巨大雷魚が逃げ出して人間を襲うという話なのですが…
なんか、先週観た「ボア VS パイソン」とソックリの設定なのですが、製作元も配給元も全く同じですし、両方ともＴＶ映画向けに作られた映画っぽいですし、もしかして『金持ちが道楽で巨大生物を作るシリーズ』でも製作されているのかな？
肝心の映画の方は、巨大雷魚のＣＧとマペットもそこそこ良く出来ていますし、死体のグロ映像のとかには意味も無く力が入ってたりして、そこそこレベルが高いのですが…
なんというかソレに反比例するかのように、ストーリーが恐ろしくツマんないのですよ…
登場するキャラクター達は、特にコレといった個性や見せ場も無く『単に食われるだけのエサ担当』みたいな扱いのキャラがやたらと多いですし、主人公と一緒にやってきた生物学者はヒロインかと思わせておきながら何の役にも立たずに勝手に死んでしまいますし、怪物を作った大富豪も偉そうに登場した割にはたいした見せ場も無く食われるだけ。
っていうか登場キャラが全員『肩書きだけ』で、その設定を全く活かしてないのですよ。
検死官の主人公も検死して事件の原因を突き止める訳でも無し、生物学者も怪物の正体を推測したり弱点を突き止めたりする訳でも無し…基本的に状況に流されてるだけ。
巨大雷魚にしてみても、時々水の中から飛び出して人間に飛び掛るといったワンパターンな攻撃を繰り返すばかり…
一瞬だけ地面に上がってヒレでジャンプしたりもしますが、「スネークヘッドテラー」の『胸びれのヨチヨチ歩きで大群が迫ってくる』のに比べると、全然インパクトも弱くて面白味に欠けます。
怪物も登場人物もこんな感じで全く魅力が無いので、何かストーリーに進展があっても…
『あの人、食われたんだ…ふーん？』とか
『雷魚が一匹死んだけど、どうせまだ他にも要るんでしょ？』
とかって、妙に覚めた目で見てしまい、面白くもなんともありません。
せめて怪物側なり人間側なりに、もうちょっと思い入れが出来れば良かったのでしょうが、やっぱホラー映画ってのは感情移入が大事です。
ストーリーに関しても、モンスターの襲撃の緩急のバランスが悪く緊張感が全く無いのは困りもの。
特に、中盤で主人公たちが怪物に屋根の上に追い詰められるという「トレマーズ」を髣髴とさせるシーンがあるものの、主人公以外は窮状を何とかしようという動きが全く見られずに困ってるばっかりというシーンがあって、流石にその時は『もういいから、お前らさっさと食われてしまえ』とか相当酷い事を考えていました。
…つーかね、ホントにそれぐらいストレスが溜まる映画なんですよ。
おおむね、この映画のツマん無さは脚本を書いた人間に責任があるのでは無いかと？
総評としましては、特撮やＣＧがキレイでも映画は『基本的には話が面白くないとダメ』だという事が良く分かるような映画でした。
まあ、映像とかはそこそこ良く作られているので、その辺が観たければ…って所でしょうが、正直な話ＴＶ放映で観ても十分でしょう。
同じ人食い雷魚映画を観るなら「スネークヘッドテラー」の方が100倍マシ…ってのは大げさだけど20倍ぐらいはマシでしたよ…
