■■■「ドランのキャデラック」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)
小学校で教師を務めるトム・ロビンソンは、ある日、妻のエリザベスが偶然にも荒野の真ん中で、何者かが大量の人間を惨殺している場面を目撃した事を知らされる。
犯人がラス・ヴェガスのギャングのボスであるドランである事が判明した事から、彼女はFBIの警護を条件にドランを告発する証言を行う事となるが、証言の前にドランの手下が警護の隙を付いて彼女を殺害してしまう。
怒りに燃えるトムは、死んだ妻の幻のささやくままにドランを殺害しようと計画を練るが…
ギャングのボスに妻を殺された一人の男が復讐の為に殺害計画を画策するという、サスペンススリラー映画。
設定だけ聞くと、なんとなく「パニッシャー」のような『肉体派の俳優が主演するアクション映画』みたいな感じですが、内容的にはむしろサイコサスペンスに近いような感じのお話ですね。
S・キング原作小説(短編小説?)の映画化作品という事なのですが、私はこの小説の原作を読んだことが無いのですが、確かにどことなく『キングっぽさ』を感じさせる部分は多いですね…
主人公がやたらと『一人語り』を始めてみたりとか、奥さんの幽霊(というか幻)が出現したりとか。
お話そのものはなかなか面白いのですが、いかにも『小説的だなぁ』と感じる部分がチラホラ。
キャラクターの心理描写に非常に重点を割いている感じで、特に中盤のストーリーの流れとかは『小説で読んだら面白いんだろうなぁ』というのは感じれるのですが、映像で見せられると主人公が心理の流れをダラダラと説明するようなパートが多くて、ちょっと冗長な印象を受けました。
全体的に心理描写を重視したお話で地味なシーンが非常に多いので、エンターテイメント的な派手さやテンポの良さや期待してると、ちょっと肩透かしを食らうかも?
ただ、終盤の展開は主人公の『途方も無い執念』と『物凄い狂気っぷり』が感じられたのと、加えてマフィアのボス役であるクリスチャン・スレイターの熱演も良い味を出してて、なかなか面白かったです。
ラストの『どことなく皮肉さを感じさせるオチ』も良い感じでした。
総評としましては、ちょっと変わったテイストの作品ながらも、なかなかに良く出来たサスペンス映画だと思います。
S・キングの小説が好きな人であれば、なんとなく救いの無い感じのキングの短編作品のノリを想像して観れば、結構楽しめる作品だと思います。
キング作品といっても「グリーンマイル」とかみたいに感動も出来ないですし、「シャイニング」みたいに怖い話でも無いですし、全体的に地味な内容ですし盛り上がる要素も少ないので万人には勧めかねますが、サイコサスペンス的なノリの作品が好きな人であれば試しに観ておいても損は無い作品だと思いますよ。