NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シン・アナコンダ」(35点/モンスター)

■■■「シン・アナコンダ」■■■
(35点/モンスター)


 大学教授のマローンと助手の学生たちは、遺跡調査のために南米のコロンビア沖合にある無人島であるエスカパダ島へと古代遺跡の調査のために訪れる。


 しかし調査開始の前夜、無人島だと思われていた島で遭難中のハンターであるホアキンと遭遇。
 『船が壊れたうえに相棒が蛇に噛み殺されたので助けて欲しい』という不穏な話を聞かされる。


 不気味に思いつつも彼を帰りのヘリの搭乗させる事とした教授たちだったが、翌朝の遺跡調査の前に教授が毒グモに噛まれるという事故が発生。


 解毒剤となる薬草を手に入れるために、ホアキンと共にジャングルへと踏み入った彼らは、そこでホアキンの相棒を噛み殺したという全長20mを超える巨大な大蛇に遭遇するのだった…

 


 遺跡の調査のために南米の無人島を訪れた大学の調査チームが、想像を超えるようなサイズの巨大な大蛇に襲われる…という、モンスターパニック映画。


 最近の巨大生物もののB級モンスター映画市場は、『巨大生物だったらとりあえず邦題にシンと付けとけば良いかな』みたいな適当な風潮があっていかがなものかと思う事が多いのですが…


 本作に関しては、実際の中身の方も低予算のB級モンスター映画でお馴染みのASYLUMによって作られた『適当な作りのモンスター映画』なので、まあ『適当なタイトルでも仕方ないか』と納得するような内容の作品でしたよ。
 ちなみに原題は「MEGABOA」なので、どちらかというと同社の「メガシャーク」とかに続く「メガ~~」シリーズの新作として作られた作品なのかも?(というか『アナコンダ』ってタイトルに付いてるのに、その実はアナコンダですらないんかい…)


 お話としては『とある大学の調査チームが南米の無人島のジャングルに遺跡の調査に訪れたところ、信じられないようなクソデカい大蛇が棲息していました』という、まあそれだけの内容。


 全長20mという無茶苦茶なサイズの割には大蛇の存在に何らかの存在理由(太古からの生き残り)やバックボーン(突然変異等)とかがある訳でもないので、唐突感がありまくりでリアリティもクソも無い設定なのですが、作中で教授が『ティタノボア(恐竜時代に生息していた全長15mの大蛇)よりも巨大なメガボアだ!!』みたいに語るシーンがあったりするので、作中で語られないだけでティタノボアの仲間の末裔みたいな設定なのかも?


 物語に関しては、先述のとおりストーリーらしいストーリーのようなものは無く、『学生たちがジャングルで大蛇に遭遇してなんとかして逃げ延びようとする』という殆どそれだけのお話。


 一応は『毒グモに噛まれた教授を救うため』みたいなお話を盛り上げようとする背景はあるのですが、どちらかというとハンターも主人公たちも状況に流されてるだけみたいなシーンが多くて、どうにもグテグテ感が強いです。


 むしろ大蛇の登場しない『仲間同士で口論しながらダラダラとジャングルの中を歩いているだけ』みたいなシーンが非常に多くて、観ていてとにかく退屈でダレてしまいます。


 ちなみに大蛇は当然ながらCGで描かれているのですが、予算の都合もあってか出番があまり多くなくて人間との絡みも少ないため、20mという巨大感があまり感じられないのも困りもの。


 ラストの対決シーンは少しだけ見どころがあるのですが、それ以外のシーンでは迫力が感じられないうえに襲撃場面の見せ方とかにもあまり工夫がないためどうにも面白味に欠けるんですよね。


 また登場人物たちのキャラの描写も微妙で、大蛇に復讐しようとするハンターとかヒロインっぽいキャラとかも居るのですが、この人たちのキャラの掘り下げも殆ど無いため登場人物の全員の影が薄いんですよね。


 途中で出てきた『暴風のため救助のヘリが来れない』みたいな設定もうやむやのうちに解決されてた感じでしたし、どうにも設定にもストーリーにも適当な要素が多すぎて、スッキリしない気分になる作品でしたよ…

 


 総評としましては、『グテグテな部分ばかりが目に付く低予算モンスター映画』って感じですかね。


 特に推すべきような要素も無いですし、B級というのもおこがましい『D級ぐらいの微妙さのモンスター映画』ですので、正直言ってあまりオススメは出来ない作品です。


 ネタ映画としても弱い内容ですので、よほど『ASYLUMの巨大生物ものは全部チェックするんだ』というような使命に燃えているのでもなければ、普通にスルーしてしまっても良いような一本ではないかと…

 

映画感想:「サイコ・ゴアマン」(55点/コメディ)

■■■「サイコ・ゴアマン」■■■
(55点/コメディ)


 遥か太古の時代。
 銀河を恐怖に陥れた「悪夢の公爵」と呼ばれる最強のパワーを持つ残虐な宇宙人が、銀河の平和を守るテンプル騎士団と惑星同盟によって倒され、はるか遠くの惑星へと封印される。


 8歳のわんぱくな少女ミミは、ある日、兄のルークと共に遊んでいる最中に偶然にも封印された残虐宇宙人を発見し、その封印を解いてしまう。


 蘇った残虐宇宙人は、再び全銀河を破壊し混乱の渦に陥れようと画策するが、自分の力の源であり彼を自由にコントロールする事が出来るパワーストーンをミミによって奪われている事に気づく。


 残虐宇宙人を自在に操れることに気づいたミミは、彼に『サイコ・ゴアマン』と名付け、彼に命令してわがまま放題の行動を開始するが、そんな最中、残虐宇宙人が復活した事を察知したテンプル騎士団は最強の戦士であるパンドラを地球へと派遣するのだった…

 


 銀河の最強の破壊者である残虐宇宙人の封印を偶然にも解いてしまった8歳の少女が、宇宙人をコントロールしてわがまま放題の行動を取り始めてしまう…という、ゴアホラー風味のSFコメディ映画。


 タイトルからもなんとなく予想できるとおりに、いわゆるブラックユーモア系のコメディホラーという感じの作品ですね。


 「サイコ・ゴアマン」は、その名前の通り超能力を駆使して残虐な行為を行う怪人な訳で、ブラックな設定に準じる形で全体的にゴア描写は強めの内容。


 ただ戦う相手や残虐行為を行う相手は、殆どが彼を追ってきた宇宙人たちなのでそこまで痛々しかったりグロい感じではなく、スプラッタとかが苦手でも観るのが辛いようなレベルでは無い印象です。


 『宇宙最強の破壊者』である残虐宇宙人8歳の少女に好き勝手にコントロールされて、彼女のわがままを叶えるためだけにくだらない遊びやらゲームやらに付き合わされている姿はバカバカしくてなかなか笑わせてくれます。


 この残虐宇宙人が『物凄い壮大な過去』を背負っていそうで、ところどころで武勇伝を語ろうとするんだけど、主人公が聞く耳を持たなくて全く過去について語らせて貰えないのも笑わせてくれますし、シーン毎で変なコスプレをさせられていたりとか全体的にクスっと笑えるような小ネタが効いてるのも良い感じ。


 残虐宇宙人を狙って攻めて来る宇宙人たちも個性豊かですし、宇宙の守護者のテンプル騎士団がいまいちやる気が無さそうなのもちょっと面白いです。


 ただ小ネタ系のパロディとかは面白いのですが、基本は『グロ描写ありのブラックユーモア系の作品』なので、ところどころで『笑えない描写』が含まれる辺りは割と人を選びそうなところ。


 またグロ描写以上に気になったのは、主人公の少女があまりにもワガママで傍若無人すぎる性格だという事。


 ヤンチャとかってレベルを通りすぎてもはや独裁者のような我儘っぷりで、その行動があまりにも可愛げが無い(無邪気さ故の残酷さとかってレベルではない)ため正直なところ観ていてイライラさせられましたよ。


 ラストの展開も、改心してるんだかしてないんだか良く分からないようなオチですし、いくらブラックユーモア系の作品だからといってももうちょっとマトモな性格でも良かった気がします。
 (流石に『残虐宇宙人よりも主人公の少女の方がタチが悪いレベル』なのはいかがな物かと…)


 あと、低予算で派手なアクションシーンがあまり作れなかったせいもあるのでしょうが、残虐宇宙人の超パワーの見せ場があまりなくて、いま一つ最強っぷりが実感できなかったのも残念なところかな?


 宇宙人とのバトルとかで大暴れするシーンは、もっと沢山見せて欲しかったですよ…

 


 総評としましては、低予算ながらも『まあまあ楽しめるレベルのブラックユーモア系のアクションホラー映画』って感じの作品ですね。


 ややブラックな要素が強めで、いまひとつ笑えないシーンも多い(主に主人公の少女に腹が立つせい)ため、ちょっと人を選ぶ系の作品という印象。


 その手の捻くれたブラックなノリやゴア描写やらが好きな人であれば、割と観れる内容ではあると思いますので、そういうのが好きであればチェックしておいても損は無い一本だと言えるでしょう。

 

映画感想:「フォービドゥン・プレイス 禁じられた場所」(25点/モンスター)

■■■「フォービドゥン・プレイス 禁じられた場所」■■■
(25点/モンスター)


 カナダの森林地帯の湖岸。
 友人らと3人でキャンプをしていたエイプリルは、カヌーで川下りに訪れていた人気ロックバンドのバンドマンであるミッチと出会う。


 バンドの曲作り担当であるエリックがスランプに陥り、気分転換とインスピレーションを得るためにバンドの巡ってで『先住民の伝説の地』を巡っている事を知った彼女は、3人に同行して森の奥へと向かう事となる。


 しかし、キャンプでドラッグを楽しんでいたところ、メンバーの一人が頭から血を噴き出して倒れるという謎の事態が発生。
 携帯も通じず警察や救急を呼ぶ手段も無く途方にくれていたところ、森の奥からあきらかに人間ではない『異形』の影が彼らを監視している事に気づくが…

 


 スランプに陥ったバンドメンバーがインスピレーションを得るために『先住民の伝説の地』を訪れたところ、その場所で予想だにしない恐怖に遭遇する…という、オカルト要素強めのモンスターホラー映画。


 プロットとしては『先住民の伝説の地に冒険に訪れた若者たちが、正体不明のモンスターに襲われる』という割とありがちな感じのお話ではあるのですが、『自分の才能の限界を感じたバンドのメンバーがスピリチュアル的なものに頼るために先祖の伝説の場所を目指す』というのは、ちょっと捻りの効いた設定という印象。


 ただ設定は凝ってはいるのですが、それが本編に活かされているかと言われると、ちょっと微妙なところなのは困りもの。


 まず、お話の前半は『バンドのメンバーがドラッグをキメながら森の中でグダグダやってるだけ』で、モンスターも全然登場しないですし、『先住民の伝説の地』も特に墓地とか遺跡とか遺構のようなものがある訳でもなく、単純に『何もない森の中』なのでビジュアル的にも全く面白味がありません。


 ダラダラと珍道中を繰り広げつつも、中盤で同行者の一人が死んだ辺りからようやくお話が前に進み始めるのですが、その後も主人公たちはやはりダラダラと『先住民の伝説の地』巡りをするだけで、ラスト辺りまで特に見せ場のようなものは無し。


 またその辺りからモンスターも出現するようにはなるものの、モンスターも単に森の中でウロウロしてるだけで殆ど何もしてこないため、とにかく盛り上がるような要素がありません。


 ラスト近くでお話の謎解き的なものが行われたあとは、ようやく少しだけ盛り上がる展開になるのですが、盛り上がるシーンがホントに一瞬だけなのでとにかく物足りない印象。


 モンスターはプレデターもどき』みたいなアーマーっぽい装束の怪人で、ビジュアル的にはなかなかカッコ良いだけに、活躍するシーンが全くないのは残念過ぎです。


 全体的にダラダラしたストーリーに加えて、ラストも何か分かったような分からないようなスッキリしないオチでしたし(儀式をしたら『怪物の姿がずっと見えるようになる』みたいな設定は何か意味があったのか?)、何か全体的にモヤっとした気持ちばかりが残る映画でしたよ。

 


 総評としましては、どうにも『退屈で物足りない内容の低予算モンスターホラー映画』という感じです。


 プロットとかに少し個性的な部分はあるものの、それ以外に見どころとなるような要素も無くて退屈な部分ばかりが目に付く内容なので、あまりオススメできるような要素もありません。


 ネタ映画としても弱いので、特別な理由でも無ければ普通にスルーしてしまって問題のない一本ではないかと思いますよ。

 

映画感想:「デストイレ」(10点/オカルト)

■■■「デストイレ」■■■
(10点/オカルト)


 1970年代。
 ベトナム戦争のさなか、第一歩兵師団に従軍していたブレットのもとに弟が亡くなったという訃報が舞い込む。
 それは『トイレで排便中に亡くなった』という奇妙なものだった。


 終戦後に戦場から帰還した彼は、亡くなった弟が遺した家で暮らす事となるが、トイレで異様な気配や不気味な笑い声のような音を聞いた事から、最初はトイレの故障ではないかと疑い配管工に修理を依頼。


 しかし点検しても特に異常は見当たらず、更にトイレで異常な現象が続いたことから、『トイレに悪魔が取り憑いているのではないか』と疑いを抱き、教会のディングルベリー神父に悪魔祓いを依頼する事となるが…

 

 ベトナム戦争帰りの男性が、弟を殺害した『悪魔に取り憑かれた便器』と対峙する事となるという、オカルトホラー映画。


 一部のマニアにはお馴染みの海外からZ級の超低予算ホラー映画を専門に買い付けてくるコンマビジョンからリリースされた新作と言えば、B級ホラー好きの人であればどんな映画なのかなんとなく想像が付くとは思いますが…


 今回もご多聞に漏れないレベルの、なかなかに酷い出来の超低予算のホラー作品です。


 何が酷いって、まあとにかく『全く見どころが無い作品』なのが辛いところ…


 まず『悪魔の便器』を題材としたモンスター映画という設定なのに、作中でマトモに『悪魔の便器』の犠牲者になるのは、冒頭で襲われる主人公の弟ぐらい。


 便器による襲撃シーン(変な日本語だな…)も、『便器からナイフが飛び出してきて股間を切られる』というもののみで、ビジュアル的にもたいして面白くもありません。


 そして最初に弟が殺された以降のシーンは、主人公が不気味な音を出すトイレにひたすらビビリ散らかして、トイレを威嚇しているようなシーンを延々と見せられるだけという内容。


 時々思い出したように、ベトナム戦争のトラウマがフラッシュバックしたり、ナイフ(オモチャのナイフ)を持って暴れまわったりしますが、その辺は本編の流れ殆ど関係が無くて何をやりたいのか意味不明。


 ちなみに本作は60分程度の尺の映画なのですが、その半分以上がダラダラしたシーンで占められているため、観ていてとにかくテンポが悪いです。


 ただ、後半の悪魔祓いの流れに入ってからはそこそこ観れる要素もあって、悪魔祓いをしようとする神父に対して便器が炎を吹き出したり爆発を起こしたりといった、ハチャメチャな攻撃を繰り出して対抗してくるのはなかなか笑わせてくれます。


 便器が炎や爆発を起こすのは、恐らく主人公の『ベトナム戦争のトラウマ』に由来している感じなのでしょうが、便器の中に戦場のような光景が再現される絵面はどうにもシュール。
 (そういえば、ベトナム戦争時代にアメリカ兵が冗談で『トイレに爆薬を詰め込んで爆撃機から投下した』とかってエピソードがあるらしいので、その辺の故事にちなんだネタなのかしらん?(←多分関係ない))


 しかし、この合成が適当すぎて炎や爆発の位置がズレまくりなのは、流石に『もうちょっと頑張れよ』という印象。


 逆に神父の役者さんの『便器に向かって大真面目に悪魔祓いの儀式を行っている姿』は、なかなかにインパクトがあって笑わせてくれるのは良い感じ。


 ただ、全体を通して『便器に向かって悪魔祓い』という部分以外に面白い要素もなく、とにかくダラダラとしたシーンが多すぎ。


 『便器に悪魔が取り憑いてた原因』とかも一切不明のままで、オチもこの手のZ級ホラーにありがちな『投げっぱなしオチ』で特に面白味もありません。


 ところどころで、ネタのつもりなのか矢鱈と何度も挿入される『異常にリアルなおならの音や排便音』も不快なだけですし、色んな意味で観ていて辛い映画でしたよ…

 


 総評としましては、多方面に渡って酷い内容の『超低予算オカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 『悪魔の取り憑いた便器』というワンシチュエーションで勝負するのは良いのですが、それならそれで『悪魔の便器』をもっと大暴れさせていただきたかったところ…


 トイレだけに最初から『クソ映画』なのを覚悟して観るというのであれば止める事はしませんが、ネタ映画としても弱い内容なので、あまりオススメは出来ない作品というのが正直なところですよ。

映画感想:「ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス」(55点/オカルト)

■■■「ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス」■■■
(55点/オカルト)


 1918年のハンガリー
 戦場で瀕死の重傷を負い生死の境をさまよいながらも帰還したトーマスは、遺体と一緒に遺族を撮影しポートレートを作る『遺体写真家』として生計を立てて暮らしていた。


 そんなある日、アナという少女から仕事の依頼を受けた彼は、彼女の暮らすという山間の寒村へと訪れるが、その場所は戦災とスペイン風邪によって多くの死者を出し、未だにその死体が放置されたままになっているという凄惨な場所だった。


 村の遺族たちの依頼を受け遺体のポートレートの撮影を開始した彼だったが、撮影した写真にも存在しないはずの人影が写ったり、奇妙な物音や不気味な影を目撃したりと次々と奇妙な現象が発生。


 アナも自分と同じように過去に臨死体験をした事がある事から『霊の姿が見える』と聞かされたトーマスは、霊たちが自分とアナに何かを伝えようとしているのではないかと考え、霊の目的を探るために調査を開始するが…

 


 第一次世界大戦直後のハンガリーの寒村で、遺体写真家の男性と少女を謎の霊現象が襲う…という、オカルトサスペンス映画。


 『死んだばかりの遺体を遺族と一緒に撮影し記念のポートレートを作るという「遺体写真家」の若者が、山間の寒村に続発する心霊現象の謎を追う』という感じの、サスペンス風味のオカルトホラーです。


 なんでも、亡くなった方の遺体を着飾らせて『遺体のボートレート』を撮影するというのは19世紀ごろの欧州で流行った風習らしいのですが、現代ではあまり考えられない奇異な風習である『遺体写真家』を題材として主人公に据えるという構成は、『独自の世界観』や『ゴシックホラー的なテイスト』が感じられてなかなか面白いですね。


 特に主人公が村人たちの依頼を受けて、遺体のポートレートを次々と撮影していくという序盤の展開は、雰囲気ホラーっぽい独特の空気感があって良い感じ。


 ただ序盤は結構ゴシックホラー的なテイストなのですが、中盤以降は『村に出現する霊たちの目的を突き止める』のがメインになっていき、割と普通のオカルトサスペンス的な展開になっていく印象。


 とまあ、ここまで聞くとごく普通の『ゴシックテイストのあるオカルトサスペンス映画』っぽいのですが、本作の特徴はとにかく『幽霊たちが異常なまでに狂暴』だという事。


 お話の中盤あたりから、霊たちの住民への本格的な『攻撃』が始まるのですが、これが幽霊のクセに能力を物理攻撃力に全振りみたいな状態で、住民を引きずり回すわ吹っ飛ばすわと矢鱈とバイオレンス。


 終盤では何十人も居る村人たちを次々と投げ飛ばしたり、しまいには建物まで崩壊させてみたりと、もはやモンスターパニック映画のようなムチャクチャなノリで予想外に楽しませてくれます。


 そんな狂暴な幽霊軍団に対して、単なる『遺体写真家』の主人公がどうやって対抗するのかというと…特に有効な対抗手段を持ってる訳でもないので、お話が全体的にちょっとグテグテ気味なのは困ったところ。


 主人公の『遺体写真家』という特異な職業の設定も作中でそこまで効果的に使われている感じでも無いですし、そういう部分も含めてどうにも設定が活かしきれていない感があります。


 ラストも結局は『幽霊たちが何をしたかったのか』も釈然としないままですし、オチも結構な『投げっぱなしっぽいオチ』なので、どうにも物足りなさが残ってしまう映画でしたよ。


 というか派手な方向に振るのであれば、良い方向でも悪い方向でも良いので『もうちょっとスッキリと分かりやすいオチ』にして欲しかったなぁ…

 


 総評としましては、『独特のテイストが意外と楽しめるオカルトサスペンス映画』という感じの作品ですね。


 全体として見ると割と不満点もありますが、世界観や雰囲気、ビジュアルも含めるとそこそこ楽しめる要素のある映画という印象。


 予告やら設定やらを見て刺さりそうな要素があるようであれば、とりあえずチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「ロスト・ボディ~消失~」(60点/サスペンス)

■■■「ロスト・ボディ~消失~」■■■
(60点/サスペンス)


 完璧主義者で著名な建築家であるジェレミーは、ある日、公演の帰りの空港に向かう途中でテセルと名乗る若い女性を、ヒッチハイクに応じて車に乗せる。


 しかしトラブルから飛行機に乗り損ねてしまった彼は、テセルと共に次の便までの時間を空港のラウンジで過ごす事となる。


 彼女が『過去に人を殺した事がある』という不穏な打ち明け話を始めた事から、彼女の事を変人だと感じたジェレミーは彼女を避けようとするが、彼女は執拗にジェレミーへと付きまとい話を続けようとし…

 


 空港で『過去に人を殺した事がある』という奇妙な発言をする女性に絡まれた建築家が、彼女の話を聞くうちに予想外の事態に巻き込まれていき…という感じの、サイコスリラー風味のサスペンス映画。


 お話としては『著名な建築家が空港への道すがらにヒッチハイカーの女性を車に乗せたところ、女性は「過去に人を殺した事がある」という奇妙な発言を繰り返す変人で、彼女と会話を続けていくうちに建築家自身の心の闇が明かされていく…』みたいな感じのストーリー。


 最初は『謎の女性』が、単純に『ちょっとメンヘラっぽい性格でストーカー気質のある変人なのかな?』みたいな感じで物語が展開していくのですが、お話が進むうちに実は一筋縄では行かない相手だという事が分かっていき…みたいな感じで、サイコスリラー的なノリが強めの作品です。


 お話の舞台となる空港が、実は『過去に主人公が設計し建築に関わった空港』で、幕間ごとに『空港の模型』に重ね合わせるように主人公たちの姿のが何かの象徴のように提示されたりと、作中で暗喩や暗示的な描写が多用されており全体的に雰囲気映画のテイストが強めの内容。


 謎の女性も、最初は『ちょっと世間知らずで無礼な若者』みたいな雰囲気なのですが、話が進んでいくうちにその異様さが浮き彫りになっていく感じで、お話の盛り上げ方はなかなか上手いです。


 お話は会話劇が中心で、基本的には主人公と『謎の女性』が空港のロビーやらラウンジで会話しているだけ(一応、要所要所で過去の『回想シーン』みたいなのは出てくる)なのですが、『謎の女性の話の内容が徐々に主人公自身と何らかの関りがありそうな事が判明していく』みたいな感じの謎解きのプロセスが面白いです。


 また『謎の女性』の濃いキャラと変人っぷりもなかなかに強烈で、会話劇が中心なのに退屈せずに観れるような作りになっているのは良い感じ。
 (この変人っぷりが結構下品でちょっとイラつかされるような部分もあって、人によっては不快に感じる内容かも?)


 ただお話のプロットは面白いのですが、中盤辺りで『謎の女性』の秘密になんとなく見当が付いてしまうため、お話の意外性と言う点ではちょっと弱い部分があるのは残念なところ。


 雰囲気映画らしく、ラストの展開も『分かったような分からないようなスッキリしない終わり方』ですので、この辺も賛否両論ありそうな印象でしたよ。

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『独特のテイストとプロットが面白いサイコスリラー映画』という感じの作品ですね。


 『サイコな変人に振り回される主人公』的なスリラーやら、過去の秘密が徐々に紐解かれていく感じの謎解きサスペンス的なノリが好きであれば、そこそこ楽しめる映画ではないかと…


 やや雰囲気映画のテイストが強めなのでちょっと人を選ぶ内容ですが、設定とかが気になるようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「スリープレス・ビューティー 戦慄の美女監禁実験」(45点/サスペンス)

■■■「スリープレス・ビューティー 戦慄の美女監禁実験」■■■
(45点/サスペンス)


 若い女性教師であるミラは、ある日突然に自宅へと侵入してきた何者かによって拉致され、倉庫の一室のような狭い部屋の中で目を覚ます。


 混乱する彼女だったが、スピーカーから聞こえる声によって『これから絶対に眠ってはならない』という奇妙な説明を受けたあとに、謎の声の指示によって奇妙な『ゲーム』と称した実験を受けさせらる事となる。


 被験者の精神を傷つけるような行為や、肉体への暴行、他の被験者を目の前で殺されるといったような内容の拷問じみた実験を繰り返されるのに加え、VRゴーグルで不気味で暴力的な映像を強制的に延々と見せられる事で、彼女の精神は徐々に崩壊していき…

 


 謎の組織によって監禁された若い女性が睡眠を奪われたうえに拷問じみた実験を延々と繰り返され徐々に精神が崩壊していく…という、ロシア製のサイコサスペンス映画。


 『被験者が監禁されて社会実験みたいなものに強制参加させられる』というのは、サイコサスペンス映画では割とありがちなプロットではありますが、良くあるタイプの『目的不明の実験』みたいな設定じゃなくて『ただただ精神を崩壊させるために肉体的・精神的な拷問を繰り返し続ける』というのは、なかなかに悪趣味な設定という感じ。


 加えてVRヘッドセットでサイケで暴力的な映像を強制的に見せ続けられる』という設定もあったりして、どことなく「時計仕掛けのオレンジ」的なテイストが感じられる内容ですね。


 主人公が倉庫の小部屋に閉じ込められたジャンル的には『シチュエーションスリラー』という感じなのですが、シチュエーションスリラーの割には主人公を監禁した『謎の組織』は『政府の諜報機関(もしくは『敵対組織の反社会勢力?』)っぽい説明が最初に為されており、あまり謎めいた設定になっていないので謎解き的な要素は薄め。


 シチュエーションスリラーのお約束ではありますが、舞台がほぼ『倉庫の一室』から動かないためお話にあまり広がりが無いのは辛いところです。


 主人公に繰り返される『実験』は、心の古傷をえぐるようなものや、目の前で他人を殺したり自分で他の生き物を殺させられたり…といった感じで精神的にダメージを与えるものが中心なのですが…
 内容的にもそこまで目新しさがなくビジュアルにも派手さが無いため観ていてどうにも退屈です。


 また、表題にもなっている『主人公を眠らせない』という設定ですが、眠るのを妨害するような描写もなく『睡眠不足で精神が病んでいる』みたいなテイストも殆ど感じられないため、あまり作品に効果的に使われてない印象なのは困りもの。


 ちなみに本編の最大のみどころは、女性が定期的にVRゴーグルで見せられるという『洗脳ビデオ』みたいな映像で、監督が元々がミュージックビデオとかの畑の出身だけあってか、なかなかにサイケで不気味なうえに電波っぽい『ビジュアルドラッグ』のような内容になっており、非常に見ごたえのある映像になっているのは良い感じ。


 ただ、この洗脳ビデオも尺が数分程度とそこまで長くないため、どうせならこのビデオだけじゃなくて、もっと映画全体が『狂った感じのビジュアル』みたいなノリで攻めて欲しかったかも?


 ちなみに途中である程度の予想は付くのですが、オチもなかなかに救いの無い感じの内容で、最初から最後までいかにも『悪趣味映画』ってのを徹底しているあたりは個人的には嫌いじゃなかったです。

 


 総評としましては、地味な内容ながらも『色々と悪趣味なノリの監禁系サイコスリラー映画』って感じの作品ですね。


 『悪趣味もの』としてはやや物足りない部分もありますが、電波系の洗脳ビデオとか少し面白い要素もあるので、そういうノリが好きな人ならばチェックしてみても良いかもしれません。


 逆にワンシチュエーションスリラーの『サスペンス要素』が好きな場合は、ちょっと物足りなさの残る内容になってしまうかもしれないので、その辺も含めて好みの分かれる作品という印象かも?