NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「女神の継承」(60点/オカルト:結構オススメ)

■■■「女神の継承」■■■
(60点/オカルト:結構オススメ)


 タイ東北部の村で古くから伝わる女神バヤンを信仰する巫女のドキュメンタリーを撮る事になったスタッフたちは、現役の巫女であるニムへと取材を行う。


 そんな矢先に、二ムの姪である少女ミンが悪夢や幻聴に襲われて、その身の回りで奇妙な現象が続発するようになるという異変が発生。


 ミンの母親が二ムの先代の巫女であると知ったスタッフたちは、ミンに対して『女神の力の継承』が行われようとしているのでは無いかと考え、ミンの様子を撮影する事となる。


 しかし、ミンは徐々にまるで人格が変わったような異常で凶暴な行動を繰り返すようになっていき、やがて彼女に取り憑いたのは女神では無く、もっと恐ろしい存在であることが判明するが…

 


 タイに古くから伝わる女神信仰と巫女の儀式の取材を行っていたスタッフたちが、取材を続けるうちに恐るべき現象に遭遇する…という、モキュメンタリー風味のオカルトホラー映画。


 いわゆるモキュメンタリ(なんちゃって実録映画)風味のオカルトホラー映画なのですが、ファウンドフッテージ的な要素もあったりして、いわゆるタイ版の「エクソシスト」というか「パラノーマルアクティビティ」というか「ラスト・エクソシズム 」みたいな感じの作品です。


 ただ、タイ製のオカルト映画なのですが、どうやら韓国との共同で作られた作品らしく、ところどころに妙にネットリとした湿度の高めの演出が使われていたりと、ちょっと韓国ホラーテイストが強めの作品となっています。


 『悪魔祓い』と題材としたオカルトモキュメンタリーという事で、映画のプロットとしては月並みな感じではあるのですが、タイの土着信仰を題材としている辺りがなかなかに目新しくて新鮮な印象。


 タイのシャーマニズムにおける文化やら祈祷やら悪魔祓いの儀式の様子が、かなりリアルな感じで描かれており、オカルト好きな人であればその様子を眺めているだけでも楽しめる内容となっているのは良い感じ。
 (まあ本物を見た事がないので、実際にどの程度リアルなのかは不明ですが…)


 ジメっとしたテイストと感じさせる宗教儀式の様子やらの雰囲気作りも良い感じで、全体的に質の高い不気味さとか不安さを感じさせてくれる作品です。


 また『悪魔祓い』映画らしく、悪霊に取り憑かれたヒロインの異常な行動なんかもなかなかに異様で良い感じ。


 また『実録系の悪魔祓い映画』という事で全体的にリアルに寄せた地味な内容なのかと思いきや、終盤の怒涛の展開はなかなかに強烈でやたらと凶悪な悪霊による『容赦のない攻撃』予想以上のバイオレンスっぷりで楽しませてくれます。


 ただ『雰囲気ホラー』としても『パワフルな悪魔祓い映画』としても良く出来ている本作なのですが、130分とモキュメンタリー映画としては尺が長めで、ちょっと冗長な印象を受ける作りになっているのは残念なところ。


 色々な要素を詰め込んだ内容になっているのは良いのですが、全体的にもうちょっとシェイプアップしても良かった気もします。


 あと、先述のとおり終盤の展開とかは予想以上に派手で面白いのですが、流石にちょっと『やりすぎホラー感』が強くて、せっかくのモキュメンタリー映画なのに『リアリティを感じられないレベル』になってしまっているのは困りもの。


 ラストも投げっぱなしすぎますし、この辺がもうちょっとバランス良く作られてればなあ…と感じる一本でしたよ。

 


 総評としましては、『予想以上に派手で楽しめる内容のモキュメンタリー風味のオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 普通に面白いオカルト映画ですし、タイの土着信仰やらに興味がある人もなんかも楽しめるような興味深い内容になっているので、そういう原始宗教とかを扱ったタイプの作品が好きであれば、更にオススメという印象。


 この手の作品としては十分に当たりのレベルですし、設定やらテイストやらが気になるようであればチェックしておいても損は無い一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「サバイブ 極限死闘」(45点/サスペンス)

■■■「サバイブ 極限死闘」■■■
(45点/サスペンス)


 不安障害や精神障害を抱える若者たちが暮らすリハビリ施設の入所者であるジェーンは、過去のトラウマから来る不安障害を完治しないまま出所の日を迎える事となる。


 ジェーンは出所の日に実家へと向かう飛行機の中で、睡眠薬による服毒自殺を計画するが、自殺を目前にして飛行機が雪山へと墜落するという事故が発生。


 墜落現場で、空港で知り合ったポールという若者と自分のみが、奇跡的に墜落を生き延びたという事実を知る。


 ポールの提案で、助けを求めるために二人で雪山を下山する事となった彼女だったが、様々な危機的状況を乗り越えるうちに『生きる事の意味』を見出していくのだった…

 


 過去にトラウマを抱えた自殺志願者の少女が、一人の青年と共に飛行機事故を生き延びて雪山でのサバイバルを経るうちに『生きる事の意味』を見出していく…という、サバイバル系のサスペンス映画。


 一応、飛行機事故を題材としたディザスターもののサバイバル映画という感じの体裁を取っていますが、実際の中身の方は自殺志願の少女が自分自身の『生きる意味』を見直すまでを描いた人間ドラマが中心のお話ですね。


 実際に人間ドラマとしては割と良く出来ており、主人公が『自殺したがる理由』にシッカリとしたトラウマがあり、リハビリ施設での暮らしやらも含めて主人公のキャラクターの掘り下げも丁寧で、『自殺はしたいけど本当は死にたくない系の主人公』というキャラの解像度が高くて、キャラに妙にリアリティが感じられるのは良い感じです。


 また、主人公と一緒にサバイバルを行う青年も、実は同じようにトラウマを抱えていたりとドラマとしての構成も面白くて、ちょっと感動できる系の展開があったりしつつ、主人公が『生きる意味』を見い出すという流れとしては、説得力のある構成になっているのは良く出来ている印象。


 ただ人間ドラマとしては良く出来ているのですが、サバイバル系の映画としては微妙な出来というのが正直なところ。


 主人公たちが特に確証も無く、軽装のままで雪山を下山しようとするという流れも不自然(普通は墜落現場で救助を待つと思う)ですし、そもそも『雪山から降りたところで、何の装備も知識も無いんじゃ森の中で遭難するのでは?』という疑問もあったりして、そういう部分が気になっていま一つお話に入り込めません。


 サバイバルを描くのであれば主人公たちに漫然と行動させるのでは無くて、『一緒に遭難した青年が何らかのサバイバル知識を持っていて、それに従って行動する』とか、『墜落した場所に土地勘があって、目的地を目指して行動する』みたいな設定の方が説得力があって良かった気がします。


 サバイバル要素での主人公たちの危機への陥り方も不自然『何でわざわざそんな危険な経路を通って危ない真似をするの?』と言いたくなるようなシーンがあったり、物凄くしょうもない理由で大ピンチに陥ったりと、どうにも無理がある印象。


 というか、そんな簡単に雪山を下山できるなら『しょうもないミスをしなければ、もっと余裕で助かってただろ』とツッコミを入れたくなったのは、自分だけですかね?


 人間ドラマに重きを置いているせいで、良い話風ではあるのですがお話のテンポも悪いですし、いろいろとアバウトに作られて感じの部分が多くて盛り上がるシーンも少ないため、なんだかアッサリ風味すぎていま一つ入り込めない作品でしたよ。

 


 総評としましては、『色々とツッコミどころが多くて盛り上がりに欠けるサバイバル映画』という感じですね。


 雄大な自然の雰囲気や人間ドラマ部分は悪くないのですが、その他の部分の作りが適当すぎてどうにも面白味に欠ける作品という印象。


 まあでもテンポがいまひとつ良くない事を除けば、そこまでツマんない映画という訳ではないので、気になるようであれば何かの片手間程度にチェックしてみても良いぐらいの一本かもしれませんよ。

映画感想:「シン・アナコンダ -捕食領域-」(60点/モンスター:結構オススメ)

■■■「シン・アナコンダ -捕食領域-」■■■
(60点/モンスター:結構オススメ)


 古生物学者のリン・チーは、ある日、とある大企業から強力なガン細胞の抑制効果を持つ『血の海棠』と呼ばれる果実を、新たに発見された無人島から探して欲しいという相談を受ける。


 娘の病気の治療のために依頼を受ける事となった彼は、医師のランルオや護衛の傭兵部隊と共に『復活島』と名付けられた無人島へと上陸。


 島の調査を開始する事となるが、その場所は巨大な大蛇や古代から生き延びた危険な生物が棲息する恐るべき場所だった…

 


 古代の生物や巨大な大蛇が生息する無人島へと訪れた調査チームが、その場所で恐るべき脅威に晒される…いう、モンスターパニック映画。


 最近流行りの中国製のモンスター映画の一本なのですが、少し前に「シン・アナコンダってタイトルの映画が発売されてたのでその続編かと思いきや、そっちはアメリカの映画で本作とは全然関係なし。


 でもモンスターのデザインやら原題(原題:Snake)やらに何だか見覚えがあるので調べてみたところ…


■「メガ・パイソン 人間捕獲」(原題:大蛇2/Snake2)
https://uei-nanigashi.hatenablog.com/entry/2022/10/16/010307
■「ジュラシック・アース 新たなる覇者」(原題:大蛇3 龍蛇之戦/Snake3)
https://uei-nanigashi.hatenablog.com/entry/2022/09/04/023437


 の前の作品(1作目)に当たる作品のようです。


 いや、ややこしいわ!!


 本作の人気が出たおかげで3作目まで作られる事となったシリーズのようで、『人気が出るのも納得の完成度』という程度には良く出来たモンスター映画なのですが、日本では何故か3作目から順番に発売されているうえに、3作ともに全く別の作品のような邦題を付けられているんですよね。


 販売戦略もあるんでしょうが、どうせ3作とも販売するなら1作目から順番にシリーズと分かるように販売して欲しかったところ…


 とまあそれはさておき、肝心の映画の中身の方はオーソドックスな『秘境探検もの』といった感じの内容で、『調査チームが未開の無人島に上陸したら、とんでもない危険な古代生物が大量に生き残っていました』みたいな展開。


 この手の作品の草分けであるキングコングをオマージュしているのに加えて、主人公たちの目的が『新薬開発のために必要な幻の植物』だったりする辺りはアナコンダとかも意識して作られている印象。


 全体的に非常にテンポ良くお話が進む構成で、未開のジャングルに侵入した主人公たちに次々と危険な古代生物が襲い掛かるというコテコテの展開なのですが、シリーズの主役である超巨大大蛇(ティタノボア)に加えて、続編でも登場した『翔ぶピラニア』やら『人食い植物』やらのトンデモモンスターが次々と襲い掛かってくるのは観ていて単純に楽しいです。
 (というか『飛ぶピラニア』ってもともとは水上でジャンプして襲い掛かってくるって設定だったのね、続編では森の中で空を飛んで襲ってきてたので意味不明だった。(笑))


 ちなみに『地獄ガエル』は別作品からの輸入モンスターのせいか、本作では登場しません。(笑)


 ただ、テンポは良いし襲撃シーンも沢山あって見どころは多いものの、シリーズ1作目だけあって予算も少なくCGの技術もこなれておらず、全体的に合成感が強くて安っぽい映像になっているのは残念なところ。


 また、メインである『ティタノボア』も1作目だけあって出し惜しみ感があって、ちょっと見せ場が少ないんですよね。


 2~3作目を先に観ちゃってると、ちょっと物足りなさを感じる部分もありそうで、この辺は販売の順番が入れ替わってしまったしまった事の弊害かなあ?


 といっても、秘境探検もののモンスター映画としては割と良く出来ていますし、主人公たちのキャラも分かりやすく良く立っており、モンスターとのラストバトルとかも無駄に熱くて観ていて楽しい映画ですので、十分に観る価値のある一本という印象。


 あと、エンディングのオマケの『撮影の舞台裏シーン』みたいな映像はは個人的には結構好きなので、他の作品でももっと採用して欲しいところですよ。

 


 総評としましては、低予算ながらも普通に良く出来た『秘境探検ものモンスターパニック映画』という感じの作品ですね。


 キングコングとかアナコンダとか、その手のトンデモ系の探検ものモンスター映画が好きな人であれば、十分に楽しめる内容だと思いますので、そういうジャンルが好きな人であれば割とオススメです。


 また2~3作目を既に観ている方でしたらは、『ようやく発売されたシリーズ1作目に当たる作品』としてチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ドアーズ」(35点/サスペンス)

■■■「ドアーズ」■■■
(35点/サスペンス)


 ある日、世界各地に唐突に正体不明の『黒い壁』のようなものが出現。


 『黒い壁』からの謎の『声』によって導かれた多くの人々は、その中へと姿を消して、ある者は命を落とし、ある者は精神に異常を来し、ある者はそのまま行方不明となってしまうという現象が発生する。


 政府はその壁を『ドア』と呼称し、その正体の調査を行うための人員を募集。
 調査に志願して『ドア』へのコンタクトを図る者たちは『ノッカーズ』と呼ばれるようになった。


 『ノッカーズ』の面々はドアの内側へと侵入して、その正体を探ろうとするが、果たして『ドア』とそれを作り出した存在の目的とはいったい何なのか…

 


 世界各地に出現した謎の『ドア』と、その正体を探るために謎に挑む人々とのファーストコンタクトを描いた、SFサスペンス映画。


 お話としてはオムニバス形式で作られており、謎の存在である『ドア』とそれに関わる事となった4組の人々をめぐる運命を描いた『短編SFドラマ集』という感じの作品です。


 一応はファーストコンタクト的な設定ではあるのですが、実際の中身の方はどちらかというと少し前に流行った『ニューウエーブ系のSF』という感じの内容で、『内宇宙』とかを題材とした分かったような分からないようなお話という印象。
 アニメとかが好きな人ならエヴァの『人類補完計画』みたいなノリだと言えば、なんとなく想像が出来るかも?


 そういうノリの映画なので、全体的に『雰囲気映画』的なテイストが強くて、いま一つテンポも悪めの印象。


 なんとなく、ダラダラと『分かったような分からないような話』を見せられ続けるうえに、そこまで厳密な繋がりの無い短編映画をつまみ食いさせられてるような内容なので、とにかく観ていてダレてしまいます。


 一応は4本の作品を通して観れば、なんとなく『ドア』の正体的なものは分かるのですが、その正体に関しても割と月並みな設定で、正直に言ってあまり面白味はありません。


 また登場人物の『内宇宙』的なものを作品のテーマとしている割には、短編のせいでキャラの掘り下げも薄いので、人間ドラマ的な要素としてもどうにも中途半端な印象。


 もともと『4編のオムニバスドラマ』だと把握して観ていれば『そういうもんなのか…』と納得できるような内容だと思うのですが、1本のファーストコンタクトものの長編SFだと思って観ていたせいで、ストーリーが散漫なうえに良く意味が分からなくて『なんじゃコリャ?』となってしまいましたよ…


 最後まで見れば、なんとなく作品の方向性やテーマは見えてくるのですが、本編を観ている間は『テンポが悪くて退屈な映画』という印象の方が上回ってしまい、どうにも中途半端な作りと感じてしまう作品でした。

 


 総評としましては、『いまひとつ面白味に欠ける低予算SFサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 テーマに目新しさとかも感じられないですし、コレといった見どころがあるような内容でも無いので、ちょっとオススメはし難い映画という印象かなぁ…


 オムニバス短編集として観れば壊滅的にツマんない訳でも無いので、短編のTVシリーズを観るようなノリで片手間に流し見する程度なら良いかもしれませんが、そうでも無ければ普通にスルーしてしまっても良い一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「デュアル」(50点/サスペンス)

■■■「デュアル」■■■
(50点/サスペンス)


 ある日、不治の病で余命わずかと宣告されたサラは、遺族や恋人の心のケアのために自分のクローンを残す『リプレイスメント(継承者)』という制度を紹介される。


 制度を利用して自分のクローンを残す事となった彼女だったが、クローンと一緒に『引継ぎ期間』を過ごしていたところ、奇跡的に自分の病気が治癒したという事実を告げられる。


 法的に自分とクローンの2人が存在する事は認められていないため、クローンの処分を行う必要が生じたサラだったが、サラのクローンは自分の生存権を主張。


 制度に基づいて、決闘場でどちらかが命を落とすまで決闘するという『決闘裁判』で決着をつける事を迫られる事となってしまうのだった…

 


 不治の病で自分のクローンを残す事となった女性が、病気が完治したせいで生存権を賭けて自分のクローンと決闘する事となる…という、サスペンススリラー映画。


 雰囲気からして、てっきりクローンを題材としたシリアスな感じのサスペンススリラー映画かと思っていたのですが、実際にはかなりハチャメチャな内容のブラックコメディみたいな感じのお話です。


 なにがハチャメチャって、とにかく基本設定が矢鱈と無茶苦茶な印象。


 主人公が原因不明の不治の病と診断されて数ヶ月後に完治するのも意味不明ですし、クローンがわずか数時間で作られて記憶まで継承されているという超技術も謎過ぎます。(そんな簡単に記憶を継承したクローンが作れるなら、機密情報を盗んだり生体認証を突破したり悪用したらやりたい放題じゃないかと…)


 百歩譲って『クローン技術のみ異常に発達した世界』が舞台なのだとしても、『クローンとオリジナルが同時に存在する事となったので、決闘で殺し合いをさせましょう』とはならんでしょう、いったいどんなハチャメチャな国の法律だよ…としか言いようがありません。
 (『クローンに人権を与える』という先進的な人権制度が認められてるのに、2人になったら『決闘で殺し合いをさせる』という、中世みたいな制度なのは流石に意味不明すぎます。)


 とまあ設定がツッコミどころ満載なのはさておくとして、そういう部分を割り切って観るとしたら、まあまあ個性的で面白い設定のお話ですね。


 『二人の自分が決闘する』という設定からして、てっきり『自己の同一性が云々』とか『自分を殺す事への罪悪感が云々』みたいな、サイコサスペンス的なノリになるのかと思いきや…


 『主人公よりもクローンの方が性格が良くて、病気が寛解して健康になった主人公がうとましがられる』とか、なかなか予想外の展開で楽しませてくれます。


 決闘をする事になった主人公の方も『クローンを倒すために戦闘訓練を始めて戦闘マシーンになっていく』という展開もかなりトンデモな感じですし、実際の内容はマジメそうな設定に偽装した『ブラックな内容のハイブロウなコメディ映画』という印象。


 ただ、バカバカしい設定や予想外の展開は面白いのですが、全体的に盛り上がる要素が少なくて作品のテンポが悪いのは気になるところ。


 『主人公とクローンの決闘』を題材とするなら、もうちょっと派手なバトル展開とか見せ場があっても良かった気はします。


 また妙に好戦的な主人公はともかく、クローン側のキャラクターがいま一つ良く見えないのが難点で、『何を描きたいのか判然としないみたいなシーン』が妙に多いんですよね。(終盤の『トラウマを抱えた双子の少女』と出会うシーンとか何か意味があったのか?)


 ネタバレになってしまうのですが、特に意味が良く分からなかったのがオチに関する部分で…


****** ここからネタバレ ******
****** ここからネタバレ ******
****** ここからネタバレ ******


 最終的に『クローンがオリジナルを騙し討ちにした』という感じなのでしょうが、騙し討ちにした後に『オリジナルになりすます』事の意味が分かりません。


 クローン側の人権も認められているんだから、オリジナルを騙し討ちにした後に『オリジナルは行方不明でクローンが不戦勝』という扱いにすれば何の問題も無かったのでは?(家族や恋人もクローンが生き残る事に賛成してたし…)


 それとも自分が何か勘違いしているのか、もしくは見逃している重要な設定(オリジナルになりすまさないとならない理由)があるのでしょうか?


****** ここからネタバレ ******
****** ここからネタバレ ******
****** ここからネタバレ ******


 といった具合で、なんか釈然としない部分の残るスッキリしない映画でしたよ…

 


 総評としましては、それなりに観れるレベルの『独特な設定のサスペンススリラー映画』って感じですね。


 『クローンとオリジナルの対決』という設定に加えて、クローンに嫉妬して殺る気満々になる主人公とか、ちょっと予想外で面白い設定の内容ですので、そういうブラックなノリのコメディ的な展開が好きであれば、意外と楽しめる作品かも?


 ハチャメチャでアバウトな部分が多すぎるため、あまりオススメは出来ないですが、独特のノリやら世界観やらが気になるようであればチェックしておいても損は無い一本かもしれませんよ。

映画感想:「モンスターレイダーズ」(45点/モンスター)

■■■「モンスターレイダーズ」■■■
(45点/モンスター)


 軍属企業であるOMHテクノロジーは、砂漠にある地下核実験施設で極秘の実験を行っていたところ、放射能流出の事故が発生。
 その影響で生物の突然変異が発生し、実験施設が緊急ロックダウンされてしまう。


 軍は実験設備の発案者で天才科学者であるハーヴィン博士を中心にレスキューチームを編成。
 生存者の救出とシステムの復旧のために施設に派遣する事となる。


 一方、傭兵のバイジーは、軍の陰謀を暴くために実験施設に潜入していたものの行方不明となった諜報部員である恋人のジェイソンを捜索するため、同僚のビージャオとグイチョーと共にハーヴィン博士の護衛として軍と共に実験場へと潜入。


 しかしそこは、放射線によって狂暴化し巨大化した狂暴なサソリの巣窟と化していたのだった…

 


 科学者の護衛と恋人の救出のために放射線事故が発生した地下核実験施設に侵入した3人の美女の傭兵たちが、巨大化し狂暴化したサソリの群れと戦う…という、モンスターパニック映画。


 最近、流行りの中国製のモンスターパニック映画の一本なのですが、『3人の美女の傭兵がモンスターと戦う』という設定からしての、なんとも『狙った風な設定』いかにもアニメとかゲームとかの影響を受けてそうな印象の作品ですね。


 実際の映画の中身の方も、砂漠で戦闘をする割には『妙に軽装で露出度高めの3人の美女』が主役なのに加えて、デスノート」のLにソックリな天才科学者が登場したり、巨大サソリとの戦闘シーンが「モンスターハンター」をイメージさせるような物だったりと、非常に分かりやすいアニメやゲームへのリスペクトっぷりは悪くありません。


 また、三人の美女がナイフを片手にトゥームレイダー」のララ・クロフトばりの激しいアクションで巨大サソリを相手に大立ち回りを繰り広げるのは、なかなかに見応えがありまし、CGとか特撮もそこそこ気合が入っていてアクション要素に関してはそこそこ良く出来ている印象。


 ただそれ以外の要素に関しては、正直に言って微妙なところなんですよね。


 まずストーリーがちょっとグテグテ気味で、『軍が実は地下施設で極秘の生物兵器開発研究を行っていた』みたいな設定で、研究を隠蔽するために『関係者の全員を抹殺しようとする』みたいな流れなのですが、その手段が『研究所員を見つける度に一人づつ撃ち殺す』という物凄い効率の悪い方法。(研究所員が次々と殺されたら他のメンバーは逃げるだろうから、一か所にまとめて殺した方が確実やろ…)
 更に、途中で『地下の施設で軍人を検体にして人体実験が行われていた事が判明する』みたいな展開があるものの、『何のために人体実験をしていたのか』とかは一切説明がなく意味不明です。(巨大サソリの生物兵器を作るのが目的なのに、人間を培養カプセルみたいなのに入れて何を実験していたのか?)


 また、人体実験の現場を発見した特殊部隊の隊長が改心して主人公たちに協力するみたいな展開なのですが、『何の罪もない研究所の職員を問答無用で撃ち殺していた隊長が、仲間の軍人が実験に利用されているのを目撃した瞬間に改心する』というのは、流石に身勝手すぎて共感が得られんだろうと…(研究所員を嫌々ながら殺していたのならともかく…)


 こういった色々なツッコミどころの他にも、『美女3人の傭兵』の個性がそこまで活かされていないのも気になりますし、全体的にモンスターが妙に出し惜しみされてるのも気になる部分で、メインのモンスターである『巨大サソリ』が中盤ぐらいまでは尻尾とかハサミしか登場しないのも物足りなさを感じるところ。


 ラストの超巨大サソリとの対決も妙にアッサリしてて、本作ならではのモンスターの個性のようなものも弱いですし、全体的にちょっと中途半端さを感じる映画でしたよ。

 


 総評としましては、どうにも物足りなさの残る『いま一歩な印象のモンスターパニック映画』って感じの作品ですね。


 ゲームやアニメ風のアクションシーンとか見どころも無くは無いのですが、見せ場がそこまで多くないため本作を観るための魅力になっているかと言われると悩ましいところ。


 出来が悪いわけではないので、中国製のモンスターパニック映画が大好きで『巨大サソリものも是非ともチェックしておきたい』というのであれば、とりあえず観ておいても良いかも…って程度の一本だと思いますよ。

映画感想:「シャーク・クルーズ」(25点/生物パニック)

■■■「シャーク・クルーズ」■■■
(25点/生物パニック)


 釣り好きの女性ルシアは、観光客向けの小型クルーザーでキハダマグロを釣るためにクルージングに出かける事となる。


 バニング船長の操船する船で、カップル客と共に5人でメキシコ沖合に向かった彼らだったが、異常発生したホホジロザメの群れの襲撃を受け、客の一人のドナが落水しサメの餌食となってしまう。


 そして更なるサメ群れの執拗な攻撃によって、彼らの船はエンジンが故障したうえに浸水。


 なんとか近くの砂州に着底させて避難した彼らは携帯電話で救助を要請するが、潮が満ちてきたことによってサメの脅威が刻一刻と迫ってくるのだった…

 


 小型のクルーザーで沖釣りに出かけた人々が異常発生したホホジロザメの群れの襲撃を受ける…という生物パニック映画。


 低予算のB級ホラー映画やパニック映画でおなじみのASYLUMによる新作ですね。
 パクリ映画や便乗映画でお馴染みのASYLUMですが、今回は特に何かのパクリという訳でも無さそうな、ごく普通の生物パニック映画という印象。

 原題の「SHARK WATER」ってタイトルからオープン・ウォーター辺りを意識しているのかもしれませんが、なんというか『とにかく地味で特徴の無いサメ映画』という感じの作品です。


 お話としては『とある釣り好きの女性が観光用の小型クルーザーで沖合に釣りに出るんだけど、サメ群れの襲撃を受けて船が故障し窮地に立たされてしまう』という、本当にそれだけのお話。


 本作のサメは、特に空を飛んだり巨大化したり触手や頭が大量に生えたりする訳でも無いごく普通のサメの群れで、襲撃を受けるのも海に落水した時ぐらいのためとにかく地味な内容です。


 トンデモ設定やトンデモ展開が無いおかげで、そこそこ『リアリティがある』というのは悪くない部分ではあるのですが、あまりにも普通すぎてどうにも盛り上がりに欠けるんですよね。


 登場人物もメインとなるのは5人のみと少な目で、犠牲者が少ないせいで当然ながら襲撃シーンも少な目。


 一応、主人公がサメに噛まれて出血でピンチに陥ったり、浅瀬に乗り上げたクルーザーをなんとかして動かそうとしたりと、少しでも盛り上げようとしている努力は見られるのですが、先述のとおりサメが特殊な技を使って来る訳でも無いですし、人数が少ないからといって人間ドラマに力が入っている訳でも無くて、どうにも全体的に淡々としていて淡泊な印象しか受けません。


 サメは実写+CGの合わせ技っぽいのですが、襲撃されるシーンのCGも割と雑でイマイチな出来ですし、ラストもたいした盛り上がりの無いアッサリした終わり方ですし、正直なところ『何でいまさら、ASYLUMがこんな普通のサメ映画を作ろうと思ったのか?』という疑問しか湧いてこないぐらいに、普通すぎて語るべきところの無い作品でしたよ…

 


 総評としましては、『とにかく地味で盛り上がりに欠ける低予算生物パニック映画』という感じですね。


 『普通すぎるサメ映画』という以外に何の印象にも残らない内容ですし、ネタとして楽しめるような要素も殆ど無いため、サメ映画好きにもちょっと勧め難い印象かなぁ?


 正直なところ、よほど『俺は全てのサメ映画を網羅するんだ!』という情熱に燃えている人でも無ければ、普通にスルーしてしまって問題のない一本だと思いますよ。