NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「エクソシスト 信じる者」(60点/オカルト)

■■■「エクソシスト 信じる者」■■■
(60点/オカルト)


 出産の際の事故で妻を亡くしたヴィクターは、男手ひとつで13歳になる娘のアンジェラを育てていた。


 そんなある日、アンジェラは親友のキャサリンと一緒に森に出かけるが、そのまま二人して行方不明になるという事件が発生。
 二人は三日後に遠く離れた牧場で保護されるが、行方不明となった間の記憶を無くしている事が判明する。


 更にその直後から、彼女たちは突然暴れだしたり自傷行為を行うといった異常な行動を取るようになっていくが、病院の検査では原因が知れず困惑することに…


 彼女たちが行方不明になる前に、森で『降霊術』を行った事を知ったヴィクターは、異常な現象から『娘たちが悪魔に取りつかれたのではないか』と考えて、悪魔祓いの専門家であるクリス・マクニールに助けを求めて、悪魔祓いを行おうとするが…

 


 2人の少女が悪魔に取り憑かれてしまい、教会の助けを得られないその家族たちが少女を救うためになんとかして悪魔祓いを行おうとする…という、オカルトホラー映画。


 ホラーファンにはお馴染みのブラムハウスによる新作で、世界で一番有名な悪魔祓い映画であるエクソシスト」のシリーズの正当な続編に当たる作品です。


 エクソシストって割と正統派の悪魔祓い映画として名前が知られている作品ながらも、特に続編以降は『悪』の存在そのものを題材としている、結構難解な世界観や設定のものが多かったりするのですが、本作もシリーズの例に漏れず『割と難解なお話』という印象。


 ストーリーとしては、『森の中で降霊術を行った2人の少女が悪魔に取り憑かれてしまい、教会に相談しても取り合ってもらえない両親たちが協力して娘たちの身体から悪魔を追い出そうとする』みたいな感じのお話なのですが、なかなか一筋縄では行かない感じの設定になっているのが面白いところ。


 一般的な悪魔祓い映画と違って、本作では教会は『体面ばかり気にする役立たず』で悪魔祓いを行ってくれず(実際、条件とか規則とかが結構厳しくて、簡単には悪魔祓いを引き受けてくれないらしい)、娘たちを救うために主人公たちが独学で『悪魔祓いの方法論』を学びつつ、元シスターやらオカルト学者やらが協力しあって悪魔に立ち向かっていくという設定は、なかなかに意外性があって良い感じです。


 『悪魔祓い』を体系的に読み解くに当たって、宗教学的な観点やら『神』と『悪魔』とは果たして何かみたいな観点が語られるのですが、この内容は宗教学とかが好きな自分からしたら面白いものの、全体的にちょっと難解。


 そういった部分に割と尺が割かれていることもあって、全体的にテンポが悪くてオカルト描写も控え目で、ちょっと物足りない部分があるのは困りものです。


 また『悪』とは何かを読み解こうとする割には、そこまで噛み砕いて語ってくれる訳でも無いので、結局『何なのか良くわからないけど信じる者は救われる』みたいな感じのオチになってしまっているのも、ちょっとモヤっとします。(笑)


 あと、終盤の『悪魔祓いパート』は熱くて面白いんですが、そこまでが結構長い事や、登場人物も妙に多くてちょっとキャラクターが把握しにくい事も気になる部分かも?


 ラストのオチも微妙にモヤっとする部分がある感じですし、元祖の『悪魔祓い映画』である「エクソシスト」の正当な続編が、一番『オーソドックスじゃない悪魔祓い映画』みたいになってしまっているのは、ある意味で面白い現象かもしれませんね。

 


 総評としましては、なかなか良くできているものの、ちょっと捻りの利いた変化球の『悪魔祓いもの』のオカルトサスペンス映画って感じですね。


 系列的にはエクソシスト3」辺りが好きだった人であれば、本作も割と好きなテイストだと思うので、そういうのが好きな人には割とオススメできる一本ではないかと…


 やや個性が強い内容ですし、あまり正統派の『悪魔祓い映画』って感じではないので割と好みを選ぶ作品だとは思いますが、設定とか独特の世界観とかが気になるようであれば、チェックしておいても損はない作品だと思いますよ。

映画感想:「PIGGY ピギー」(65点/サスペンス:オススメ)

■■■「PIGGY ピギー」■■■
(65点/サスペンス:オススメ)


 スペインの田舎町に住むティーンエイジャーのサラは、その太った容姿をバカにされてクラスメイトたちから『子豚ちゃん(ピギー)』と呼ばれて馬鹿にされ、執拗な虐めの対象となっていた。


 両親からも境遇を理解されずに自宅でも孤立していた彼女は、ある日、一人で地元のプールに泳ぎに出かけるが、そこでクラスメイトの3人の少女と遭遇して、溺れさせかけられたうえに衣類を隠されるという虐めを受ける。


 泣きながら自宅へ帰ろうとする彼女だったが、その途中で彼女を虐めたクラスメイトの3人が怪しげな男にバンに閉じ込められて、血まみれで拉致される現場を目撃。


 恐怖と復讐心から警察への報告を逡巡する彼女だったが、やがてプールで監視員の死体が発見され…

 


 いつも『子豚ちゃん(ピギー)』と呼ばれて虐めを受けていた少女が、偶然にもいじめっ子たちが殺人鬼に拉致される現場を目撃してしまい…という、青春系サスペンススリラー映画。


 なんでもサンダンス映画祭だかで高い評価を受けたスリラー映画という事ですが、確かにそれも納得の個性的な設定とキャラクターが光る、強烈な印象を残すなかなかの良作サスペンス映画ですね。


 お話としては『クラスで虐めを受けている少女が、彼女をいじめたクラスメートたちが謎の男に拉致される現場を目撃するんだけど、後にその男が恐ろしい殺人鬼である事が判明。恐怖やいじめっ子への復讐心といった色んな感情がないまぜになって警察への通報を逡巡する彼女だったが、そんな彼女のもとに殺人鬼が再び姿を現し…』みたいな感じの展開。


 基本的にはスリラー映画なのですが、人間ドラマ的な部分の掘り下げにかなり重きが置かれている作品という印象です。


 太った容姿をバカにされる少女の『まわりから虐められる様子』やら、家族を含めたの中での『少女の孤立っぷり』やらが矢鱈とリアルに描かれていて、その部分も含めて非常に心をえぐられるような内容になっています。


 特に怖いのが、少女に対する『母親を筆頭とした大人たちの理解の無さ』っぷりで、無思慮で無遠慮な母親の態度の方が殺人鬼の10倍ぐらい怖くて、むしろ殺人鬼が主人公の数少ない少女の理解者のように描かれているのはなかなか皮肉な設定で良い感じ。


 ドラマとしても面白いのですがスリラー映画としてもなかなか良くできており、恐ろしい事実が判明しつつもなかなか真実を告げられない主人公の心の変遷やら、周囲の人間や殺人鬼を含めた機微な心理描写を中心に、最後まで先の読めない展開の連続になっているのも良く出来ています。


 ただ先述のとおり、人間ドラマ的な部分にかなり重きがおかれた内容であるが故に、お話の展開自体はちょっと遅め。
 そのおかげで終盤の展開がややバタバタしすぎな印象があるのは、ちょっと残念なところかも?


 あと、ややネタばれになってしまうのですが、ラストの展開に関しては個人的にはもうちょっと『尖ったオチ』でも良かったんじゃないかな…という気がしたのは自分だけでしょうか?(まあ、単なる好みの問題って話ではあるんですが、ぶっちゃけいじめっ子たちはもっと酷い目にあって欲しかった…)

 


 総評としましては、『なかなかに良くできた青春系のサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。


 ティーンエイジャーの虐め問題を主題としつつ、ブラックな設定を含めて結構強烈に切り込んでいるような内容ですので、そういう題材に興味があるようであればチェックしておいても損はない一本だと思いますよ。


 特にサンダンス映画祭』とかでよく話題になる『クセが強めのサスペンス映画』とかの系統が好きな人にはオススメの作品ですので、そういう方面の映画に興味がある人であれば迷わずどうぞって感じではないでしょうか…

 

映画感想:「ゾンビタイガー 狂虎襲来」(55点/モンスター)

■■■「ゾンビタイガー 狂虎襲来」■■■
(55点/モンスター)


 明朝37年(1400年代の初頭)の中国では、宦官たちの権力争いにより王朝の政治中枢は腐敗しきっていた。


 皇帝直属の秘密警察・錦衣衛を辞めたチャン・リウチョンは、冷酷非道な組織のやり方に反発し、とある一族の少女を助けるために仲間を殺して組織から離反。
 首都を離れたリウチョンは、少女と共に狩人である弟のリウピンの滞在する涼城の街の狩場を訪れる事となる。


 しかし、その街では街の支配者によって不老不死の丸薬である『金丹』が研究されていたが、『金丹』の素材として魔術師の手によって作り出された『ゾンビタイガー』が研究所から逃亡。
 ソンビウイルスを持った虎が狩場に大量発生し、折り悪くリウピンらの訪問に合わせて街を襲撃。


 ソンビタイガーの群れの襲撃を受けた街が壊滅状態に陥ってしまうなか、リウピンらは生き延びた街の人々を救うためにゾンビタイガーの群れへと戦いを挑むこととなるが…

 


 中世の中国で、魔術師の怪しげな研究によって生み出された『ゾンビタイガー』の群れが街を襲撃し、元秘密警察のエリートである主人公が虎の群れへと戦いを挑む事となる…という、モンスターパニック映画。


 中国製の『ゾンビ虎』を題材としたパニック映画ですが、中世が舞台ですしノリとしては中国で人気のいわゆる『武侠もの』に近いテイストの作品といった感じですね。


 尺も70分程度と短めな作品だけあって全体的に非常にテンポが良いのが特徴で、開幕からいきなりアクションシーン連発ですし、序盤から『ゾンビタイガー』も大群で暴れまくり。


 特に、メインとなる『ゾンビタイガー』の登場シーンは非常に多くて、本編のほぼ7割ぐらいのシーンはゾンビタイガーと戦っているんじゃないかってイキオイで、登場する数も総勢で100匹ぐらいという大盤振舞い。


 おかげでアクションシーンやパニックシーンも豊富で、観ていて退屈しない作りなのは良い感じ。


 ただアクションシーンがメインの構成故に、キャラやストーリーの描き込みが意外と大雑把なのは残念なところ。


 主人公のキャラもそこまで掘り下げられてないですし、主人公の相方となるヒロインっぽいキャラも影が薄いですし、ソンビタイガーを作り出した魔術師やら主人公の弟やら何もしないうちに勝手に死んでるしで、全体的にストーリーが薄め。


 主人公は秘密警察のエリートみたいな設定の割にはそこまで強くなくて(むしろゾンビタイガーが強すぎ?)、いま一つ活躍シーンが観られないのも残念なところですので、もっと武侠もののように超人的な運動神経でバトルを繰り広げて欲しかった…


 あと、メインのモンスターであるソンビタイガーの誕生エビソードも妙にアッサリしてますし、ゾンビタイガーも『矢鱈と打たれ強い』という以外はあまり個性が感じられなかったので、この辺はもうちょっと丁寧に描かれても良かった気はしますよ。

 


 総評としましては、『そこそこ楽しめるレベルの中国を舞台とした武侠もの風味のパニック系アクション映画』って感じですね。


 アクションシーンも多くテンポも良くて全体的に悪くはないのですが、どうにも薄味な部分が多くて物足りなさを感じる作品という印象でした。


 強く推すには弱いですがサクッと楽しめる内容ではあるので、この手のノリが好きであればとりあえず観ておいても損は無い感じの一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ジョーズ MEGAモンスターズ」(40点/生物パニック)

■■■「ジョーズ MEGAモンスターズ」■■■
(40点/生物パニック)


 ある日、ダイバーのウェイは、元恋人のアン・チーらと共に男女6人のグループで、友人のクルーザーで洋上のバカンスに出かける事となる。


 しかし彼らの操船ミスにより、クルーザーが暗礁に衝突して転覆するという事故が発生。


 海上に投げ出されてしまった彼らは、船が沈没しきる前になんとかして近くの無人島まで泳いで向かおうとするが、負傷した彼らの血の匂いに引き寄せられて、巨大な人食いザメが集まってきてしまい…

 


 洋上にバカンスに出た若者6人が、クルーザーの転覆事故によって海に投げ出されて巨大なサメに狙われる事となる…という、サメものの生物パニックホラー映画。


 大量生産されている中国製の生物パニック映画のうちの一本なのですが、タイトルに『MEGAモンスター』とか付いてていかにもメガロドンとかが登場しそうな雰囲気ですが、本編には普通の巨大人食いザメが登場するだけで特にメガロドンとかは登場しません。


 公式のプレスリリースにも、いかにもメガロドンが登場しそうな雰囲気の事が書いてあるうえに、タイトルやパッケージも「MEG」を意識しまくりな感じなのですが、ここまで『だます(というか優良誤認させる)気まんまんなタイトル』は最近では逆に珍しいかも?(笑)


 お話としては、『洋上にクルーザーでバカンスにでた若者たちが、事故によって海に投げ出されてしまい、なんとかして近くの島まで避難しようとするんだけど、近海に棲む巨大な人食いザメによって一人また一人と犠牲になっていく』という、ホントにそれだけの展開。


 特に捻りのようなものもない、直球ストレートに『人食いザメの襲撃』を描いただけの内容なのですが、全体の尺も70分程度と短いですしキャラの掘り下げや背景の説明なんかも割と最低限な程度しかなくて、とにかくサクサクとお話が進むのはストレスが溜まらなくて良いですね。


 ただサクサク進むのは良いのですが、全体的に映画の内容がとにかく淡泊でどうにも盛り上がりに欠ける印象。


 本作の目玉となる『人食いザメ』はCGと実写映像の合わせ技で描かれているのですが、映像の使いまわしが多いうえにCGの合成もそこまで高いレベルでもなく、襲撃シーンも『なんとなくカメラアングルの切り替えで襲われてる風に誤魔化している』みたいな感じ。


 一応は定期的にサメが登場して『仲間が一人づづ犠牲になっていく』みたいな流れなのですが、前述のとおりキャラの掘り下げも浅いのでメンバーが食われてもあまり感情移入も起こりませんし、サメの襲撃シーンも映像的にあまり面白味が無いものなので、観ていてもどうにも盛り上がりに欠けます。


 CGとか特撮のレベルやお話の展開のどれもが、かろうじて『及第点レベル』ではあるのですが、それ以上のものが何も無いためとにかく淡々と『テンプレート的なサメ映画』を見せられている印象です。


 ラストも割とアッサリしてて面白味に欠けますし、なんかもうちょっと主人公やサメのキャラに魅力的な要素や盛り上がる部分があればなぁ…という感じの映画でしたよ。

 


 総評としましては、『どうにも盛り上がりに欠ける人食いザメもの低予算B級パニック映画』って感じですね。


 特に酷い要素がある訳ではないのですが、なんというか『可も不可も無さ過ぎて不可』みたいな感じの映画で、良い意味でも悪い意味でも個性の感じられない作品という印象。


 正直なところ特にオススメするような要素もないので、よほど『サメ映画は逃すことなく全てチェックするんだ!』みたいな使命感に燃えているのでも無ければ、普通にスルーしてしまっても問題のない一本だと思いますよ。

 

映画感想:「江南ゾンビ」(40点/モンスター)

■■■「江南ゾンビ」■■■
(40点/モンスター)


 かつてテコンドー韓国代表の控え選手だったほどの実力を持つヒョンソクは、今はソウルの中心街である江南地区の小さな動画制作会社で働きながら、同僚のミンジョンに密かに思いを寄せながら慎ましやかな生活を送っていた。


 そんなある日、彼らの務めるオフィスビルの近くで、謎の病気に感染したと思われる男性が目撃された事を知るが、彼らが動画制作のために男性を撮影しようと向かおうとする最中、その男性は狂乱状態になりながら彼らのオフィスビルへと乱入。


 オフィスビルの人々に次々と襲い掛かり、男に噛まれた人たちもその男と同じように凶暴化して、次々と感染を広めていく。


 ヒョンソクたちは、一瞬にしてゾンビの巣窟と化したオフィスビルからなんとかして脱出しようと試みるが…

 


 韓国の中心街である江南地区のオフィスビルでゾンビによるパンデミックが発生し、ビルに閉じ込められた主人公たちがなんとかして脱出を図ろうとする…という、韓国製のゾンビものモンスターパニック映画。


 韓国の中心街を舞台としてて更には主人公がテコンドーの達人という設定があったりする辺りから、結構派手な感じの作品なのかと思いきや…むしろ『物凄く地味で見どころのないゾンビ映画という感じの作品です。


 お話としては、『韓国の江南地区のオフィスビルの中で謎のウイルスによるパンデミックが発生し、オフィスビルに閉じ込められてしまった主人公たちがなんとかして脱出を目指す』という、ほぼそれだけのストーリー。


 『謎のウイルス』に関しては明確な説明は無いですが、いわゆる狂犬病ウイルスの突然変異』みたいな感じの描かれ方をしており、噛まれた人間が次々と凶暴化していくといった感じのタイプ。


 ドーン・オブ・ザ・デッド28日後....」的な、感染する前よりも感染した後の方が元気になるという感染者タイプの『走るゾンビ』が出てくる感じの作品ですね。


 本作のゾンビは基本的に単なる『感染者』で死体な訳ではないので、感染しても身体が腐ったりはしておらず『ちょっと出血して黒目がちになる(黒のカラコンを入れてる)』って程度で、ほぼ普通の人間と見分けがつかないレベル。


 28日後....」のゾンビみたいに、ハチャメチャな運動神経で燃えながら走ってきたりはしないので、ビジュアル的にとにかく地味です。


 ただ特撮が地味なぶんだけあってかゾンビ役のキャストの人数は結構多くて、大量のゾンビ化した人間がオフィスビル内を押し寄せてくる様子は割と迫力があって悪くはない印象。


 また本作の最大の見せ場である、元テコンドーのチャンプである主人公がゾンビ相手に大立ち回りを繰り広げるシーンなのですが、ゾンビ化した人間が何故か身体能力が大幅に強化されて『テコンドーのチャンプの主人公と渡り合うようなアクションシーンを見せてくれる』のは、なかなか見ごたえがあって良い感じ。


 とまあ、ここまで書くと割と悪くない作品のように感じるのですが、さっきから再三言っているように『テコンドーのアクションシーン以外がとにかく地味』なんですよね。


 そもそも、ゾンビのパンデミックが始まるまでが割と長くて、主人公たちの会社で働くシーンで主人公と含む『主要キャラの掘り下げ』的なものが行われるのですが、このキャラの設定が物凄くどうでも良い内容でどうにもテンポが悪い。


 『身勝手なセクハラ社長』とか『守銭奴のビルのオーナー』とか個性的なキャラを登場させる割には、全員がたいした盛り上がりもなく勝手にゾンビ化するだけで、キャラの掘り下げた設定が殆ど本編に活かされないのは困りものです。


 またゾンビとの戦闘シーンに関しても、ゾンビ映画なので『残虐描写』がビックリするぐらい無いんですよ。


 主人公はテコンドーの達人とはいえ、素手やバットでゾンビを殴るだけですので、人体損壊みたいな描写は一切なし。
 またゾンビに噛まれた人間もすぐにゾンビになってしまうので、出血描写すら殆ど無くて、とにかく『クリーンなゾンビ映画という感じなんですよ。


 もしかしたら、子供向けに『残虐描写の一切ないゾンビ映画でも作る実験作品だったのかしら?』と疑いたくなるレベルで、一般的なゾンビ映画に見られる残虐描写みたいなに期待していると、一切楽しめない作品になっているので注意が必要です。
 (もしくは『地上波TV放映向け』か何かに、マイルドな描写で作られたドラマなのかも?)


 オチもゾンビ映画にありがちな『投げっぱなしオチ』ですし、どうにも面白さに欠けて物足りなさばかりの残る作品でしたよ。
 (あまりにも『ゾンビ化した人間』が誰も死なないので、もしかしたら最後に『実は治療薬が出来てみんな助かりました』みたいなオチでもあるのかと思って観てましたが、別にそういうオチという訳でも無かったぜ…)

 


 総評としましては、とにかく盛り上がりに欠ける『色んな意味で地味なゾンビ映画という感じの作品ですね。


 ぶっちゃけ、テンポも良くないうえに見どころがあまりにも少ない内容ですので、あまりオススメはしない作品というのが正直なところ。


 同じ韓国製のゾンビ映画なら新感染 ファイナル・エクスプレスとかの名作があるので、敢えて本作をオススメする理由は思いつきませんが、『残虐描写は苦手だけどゾンビ映画は観てみたい』という希少な趣味の持ち主の方が居れば、チェックしてみても良い作品かもしれませんよ。

映画感想:「HEX 地上400m消失領域」(50点/サスペンス)

■■■「HEX 地上400m消失領域」■■■
(50点/サスペンス)


 抜群のスカイダイビングのスキルを持ちつつも、過去のトラウマから常に単独でダイビングを行うサラは、ある日、地元のスカイダイビングのクラブのリーダーであるペイソンから熱烈なアプローチと勧誘を受ける。


 迷いつつも彼のチームに参加する事となった彼女は、『ヘックス(六角形)』と呼ばれる高い難易度のフォーメーションに挑戦する事となるが、そのフォーメーションは難易度だけでなく『挑戦した参加者が次々と命を落とす』という奇妙な都市伝説のあるものだった。


 いざ本番となり、ヘックスへと挑戦する彼女たちだったが、フォーメーション降下の最中に、彼らの目の前でペイソンが『空中で唐突に姿を消す』という奇妙な事件が発生。


 必死になってペイソンの行方を捜索する彼らだったが、本人もその墜落した死体も発見することが出来ず、更にはヘックスの参加者が謎の事故死を遂げてしまい…

 


 『参加者が次々と死を遂げる』という不気味な都市伝説のあるフォーメーションに挑戦した競技者が、メンバーの謎の消失事件に遭遇する…というオカルトサスペンス映画。


 タイトルや雰囲気から、てっきり『空中での人間消失という不可能犯罪のトリックに挑むミステリー系のサスペンス映画』みたいなのを予想していたのですが、自分の予想と違ってむしろ『都市伝説を題材としたオカルト系のサスペンス映画』みたいな内容の作品でしたよ。(まあタイトルバックで、既にオカルトっぽい雰囲気はかもしだして居ましたが…)


 お話としては、『とあるスカイダイビングのチームが、「挑戦した人間が謎の死を遂げる」という奇妙な都市伝説のあるダイビングのフォーメーションに挑戦するんだけど、そのダイビングの最中にメンバーの一人が空中で消失するという奇妙な事件が発生。その謎を追ううちにさらなる犠牲者が出てしまい…』みたいな感じの展開。


 ちょっとネタバレになってしまいますが、分かりやすく言ってしまえば『スカイダイビング版のファイナルデスティネーション』みたいな話と言えば、ホラーファンの人にはピンと来やすい内容かも?


 簡単に言ってしまえば『呪われたフォーメーション』に挑戦したメンバーが、リーダーの空中消失を含めたメンバーの怪死に遭遇し、その都市伝説の秘密を追っていくうちに驚くべき真実へとたどり着く…みたいな感じの展開。


 序盤はちょっとサスペンスっぽいノリなのですが、中盤からは完全にホラー的な展開『理不尽な死』が次々と主人公たちを襲うようになっていきます。


 実際のところ「ファイナルデスティネーション」にインスパイアされた作品だと思いますので、そこまでツマんない訳ではないのですが、序盤のサスペンス的な展開に割と尺を割いてることもあって、全体的なテンポ感がちょっと遅め。
 また、メンバーたちの『謎の死』の描写も妙にアッサリしててそこまで気合が入っている内容でも無くて、どうにも盛り上がりに欠ける印象なのが残念なところ。


 『スカイダイビングにまつわる都市伝説』を題材としてる割にはスカイダイビング要素はそこまで強くも無いですし、『謎の死』を題材とした都市伝説系の作品にするのであれば、もっと犠牲者を増やすか気合の入った殺し方にして欲しかったですよ。


 お話の終盤で解明される『ヘックス』と『人間消失」に関する秘密も矢鱈と唐突ですし、オチもやや投げっぱなしな感じですし、全体的に『もうちょっと見どころがあればなぁ…』って感じの映画でしたよ。

 


 総評としましては、『いま一つ盛り上がりに欠ける地味なオカルトサスペンス映画』というのが正直なところ。


 スカイダイビングを題材にしてる割には題材がそこまで活かされている訳でもなく、「ファイナルデスティネーション」系のテイストの割には『死の運命』とかにそこまで緊張感がある訳でもなくて、全体的にどうにも中途半端なんですよね。


 壊滅的にツマんない訳ではないので、その手のテイストの作品が好きであれば観てみても良いかもしれませんが、正直なところあまりオススメするような要素も無いので、まあ『お好みで』って感じでしょうか?

 

映画感想:「フロム・ディープ・ウォーター」(60点/サスペンス:結構オススメ)

■■■「フロム・ディープ・ウォーター」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)


 かつて海上でのバカンス中にサメに襲われて姉と恋人を失いつつも一人で生き残ったリズは、それがトラウマとなり事件から1年経った今も毎晩のように『サメに襲われる悪夢』に悩まされ、慢性的な睡眠不足へと陥っていた。


 カウンセリングに通って治療をづづける彼女だったが、症状は改善されず、やがて悪夢の中に登場するサメが現実世界でも姿を現すようになり、日中構わず彼女に襲いかかってくるという幻覚まで観るようになっていく。


 事件後に出会った新たな恋人のロベルタは、彼女に寄り添いつつ一緒にトラウマを乗り越えようと努力してくれるものの、姉たちを死なせてしまった罪の意識を拭うことの敵内彼女の症状は更に悪化していき、遂にはサメだけで無く、死んだはずの姉と恋人の霊までもが彼女の前に姿を現すようになっていき…

 


 サメに襲われて大切な人を失いつつも一命を取り留めた女性が、そのトラウマが原因で日常的に『サメの幻覚』を見るようになっていく…という、サメ映画風味のサイコサスペンス映画。


 サメ映画テイストのある低予算のサスペンスなのですが、意外とシッカリと作られていて予想以上に楽しめる内容の作品でしたよ。(多分、ネット配信専用タイトル?)


 お話としては『サメに襲われて姉と恋人を失いつつも自分だけはなんとか生き延びた女性が、そのトラウマから毎夜のようにサメに襲われる悪夢に悩まされ、遂には現実世界でまでサメに襲われる幻覚を観るようになっていく』みたいな感じの内容。


 基本的に『サメ要素』は、悪夢の中で毎夜のように主人公に襲い掛かってくるという感じなので割と何度も襲撃シーンがあるのですが、『トラウマシーンのリプレイ』みたいな感じで同じ場面が使いまわしで繰り返されるため、特に序盤は物足りなさを感じる印象。


 でも、中盤辺りになって『サメ』が現実世界に侵食するようになってきてからは、まるで「ゴーストシャーク」のように、水たまりやらクローゼットやらからサメが飛び出して襲い掛かってきたりと、意外性のあるアクションで割と楽しませてくれます。


 ただ本作のサメ要素は作中のプライオリティとしては割とオマケ程度で、メインの要素はアクマで『サイコサスペンス的な部分』という印象。


 特にお話が盛り上がってくるのは、中盤の『サメに食われた姉の幽霊』が登場するようになった辺りからで、狼男アメリカン」の『友人のゾンビ』のようにゾンビ化した姉や元恋人が主人公の元に現れて、矢鱈と雄弁に語りかけてくるようになるという展開は、なかなかに意外性があって面白いです。


 また最初はハッキリとしなかった、トラウマの原因である『サメ襲撃事件』の全貌が、幽霊たちとの会話の中で徐々に明らかになっていくという構成や、その中で幽霊たちから語られる『意外な要求』という『新たな謎』が出てくるという作りもなかなか上手いです。


 主人公のキャラの掘り下げもシッカリとしており、最初はちょっと煮え切らない態度にイライラさせられるものの、終盤ではキチンと感情移入できるようなキャラになっているのも良い感じ。


 ラストのオチに関しても、ちょっと唐突感はあるものの割と上手い落としどころだと思いますし、全体的に予想以上に良くできた作品って感じでしたよ。

 


 総評としましては、低予算でB級色は強いものの『予想外の展開やギミックを上手く利用した、意外と良作のサイコサスペンス映画』ですね。


 サメ要素やら幽霊要素やら、なかなか変化球的な構成が多くて思った以上に楽しませてくれますし、ややテンポの悪さや見せ場の少なさはあるものの全体的には及第点という印象。


 ただサメ要素に期待していると割と『オマケ程度』で意外とアッサリした扱いですので、その辺は過剰な期待をしないように注意が必要かもしれませんが、設定やらが気になるようであればそこそこオススメ出来るレベルの一本だと思いますよ。