NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スプートニク」(55点/サスペンス)

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■■■「スプートニク」■■■
(55点/サスペンス)


 冷戦時代のソビエト


 宇宙ステーションから帰還中の宇宙船で謎の事故が発生。
 事故の生き残りであるコンスタンティンが、事故当時の記憶を失っていた事から、神経科の医師であるタチアナが原因の調査と治療のために軍に招集される。


 コンスタンティンの調査を始めた彼女だったが、彼の身体に起こった変化を調査していくうちに、実は彼が正体不明の地球外生物に寄生されており、彼女は実は『宇宙飛行士とエイリアンとの分離』のために呼ばれた事を知らされるが…

 


 正体不明のエイリアンに寄生された宇宙飛行士と彼を救おうとする神経科医の戦いを描いた、ロシア製のSFサスペンス映画。


 パッケージの雰囲気から「物体X」的な寄生生物もののモンスターホラー映画かと思っていたのですが、実際の中身の方はサスペンス要素が強めの陰謀論的SF系ホラー映画って感じの作品でした。


 お話としては、冷戦時代を舞台として『とある神経科医が「事故で記憶喪失になった宇宙飛行士」の治療のために軍に呼ばれるんだけど、実はその宇宙飛行士は謎のエイリアンによって寄生されており、本当は彼女が呼ばれたのは宇宙飛行士と寄生生物を肉体的・精神的に分離する事が目的だった…』みたいな感じの展開。


 序盤は、『寄生生物の正体は何なのか』とか『宇宙飛行士と寄生生物を分離する手段はあるのか?』みたいなところを中心に、いかにもSFっぽい展開でお話が進んでいくのですが、中盤以降はお話のテイストが変わって『実は軍が寄生生物を軍事利用しようとしていた』とかって、いかにも冷戦時代が舞台らしい感じの陰謀論的サスペンス映画へとお話が突入していきます。


 この序盤のSF的な謎の提示部分はなかなか良く出来ていて、『寄生生物と宿主の精神の関連性とか繋がりは何なのか?』とか、『いかにして両者を分離するか』といった部分にフォーカスして、神経科学をテーマとした硬派な感じの設定のSF作品ってテイストがあるのはなかなか面白いです。


 これに対して中盤以降は話の様相が変わって、『軍の陰謀論』みたいな話をメインとしてホラー的な要素が強めになってくる感じで、寄生生物の暴れまわるようなシーンも豊富で、序盤とは違った『派手な方向性』にお話が突入していくのは、ある意味で意外性があって悪くない印象。


 モンスターのデザインも『蛇人間(というかコブラ人間)』みたいな感じで不気味で良いですし、『相手が恐怖を感じた時に発するホルモン』を狙って人間を襲うって設定も、なかなか怖くて良い感じ。


 ただ、派手な内容になってビジュアル的な面白さが増すのは良いのですが、序盤が『SF的でスケールの大きそうな話』なのに対して、中盤以降が妙に『下世話で安っぽいコテコテな印象の話』になってしまうのは、唐突にスケールラウンしてるみたいな感じで個人的にはちょっと微妙な印象を受けてしまいましたよ。


 また、主人公たちのキャラの掘り下げがシッカリしているのは良いのですが、そのせいで全体的に尺が長めでちょっとテンポの悪さを感じてしまう部分があるのも気になるところ。


 ラストの、宇宙飛行士の過去と主人公の息子の話の関連性も釈然としませんでしたし、もうちょっと描きたいテーマやら作品の方向性をハッキリとさせた方が良かったんじゃないかなぁ?

 


 総評としましては、悪くは無いものの『いま一つスッキリしない感じのSFサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 特撮やらの出来も良くて映画としての完成度は高いので、単純にSFホラーとして楽しみたいのであれば、普通に楽しめる一本だと思います。


 ただ個人的には、映画としては悪くは無いものの、テンポやら方向性やらで微妙に物足りなさを感じてしまう作品って感じでしたよ…

 

映画感想:「ザ・キャビン 監禁デスゲーム」(40点/サスペンス)

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■■■「ザ・キャビン 監禁デスゲーム」■■■
(40点/サスペンス)


 学生時代からの友人のフェデリコ、ロベルト、ジュリオ、ミケーレの4人は、7年前に不慮の事故で亡くなった友人であるアレッサンドロの母のヴェロニカが開いた展覧会の開催パーティへと招待される。


 久しぶりの再会に会話を弾ませる旧友たちだったが、何故かパーティの会場で意識を失った彼らが目を覚ますと、そこは雪に覆われた極寒の山中のロッジで、防寒装備の無い彼らはその場所から出られなくなってしまう。


 更に室内の壁には『真実を』と書かれた文字と、彼ら5人が当時一緒に付けていたペンダントがメモと一緒に置かれており、メモには『アレッサンドロは本当は殺された、明日までに真実を話さないと全員を殺す』といった旨の謎のメッセージが残されていた。


 突然の事態に困惑する彼らだったが、兼ねてよりアレッサンドロの死に疑問を抱いていた彼らは疑心暗鬼に陥っていき、更には仲間の一人がソファーの下に隠された拳銃を発見したことを切っ掛けに、徐々に緊張感が高まっていくのだった…

 


 雪山のロッジに拉致された4人の旧友たちが、かつての友人の事故死に関して疑心暗鬼を抱き争いへと発展していく…というイタリア製のサスペンススリラー映画。


 タイトルに『監禁デスゲーム』とか付いていますが、そもそも主人公たちは監禁されていない(敢えて言うなら軟禁?)ですし、デスゲームも特に開催されないので、何というか『タイトルに偽りあり』な感じのサスペンス映画です。


 お話としては『かつて仲の良かった友人の5人組みのうち、一人が死を遂げた事故に関して「実は4人のうちの誰かに殺された」という謎のメッセージを元に、当時のメンバーが疑心暗鬼に陥りながら犯人捜しを行う』みたいな感じの展開。


 『現在のパート』と『過去のパート』が交互に進みつつ謎解きが進行していくといった構成なんだけど、お話としては『過去に起こった事件の真相を掘り下げていく』みたいな感じなので、謎解きミステリー的なノリが強めの作品になっています。


 ただ謎解きミステリーといっても、手がかりが徐々に提示されていくというよりは人間ドラマの要素の方が強めの印象。


 お話が進むたびに、過去の『仲良し5人組』が実は人間関係や女性関係、金銭絡み等で揉めていたり、仲間の一部がゲイカップルだったりして、裏側では微妙に険悪な関係『全員に殺害の動機があった』みたいなのが分かってくるのは面白いですね。


 過去のエピソードによって主要となるキャラの掘り下げもシッカリと行われていますし、人間ドラマとしては割と良く出来ている印象。


 ただ人間ドラマとしては良く出来ているものの、サスペンスとして面白いかと言われると微妙なところ。

 『友人の謎の事故死』を中心にお話が動いていく割には、肝心の友人の死に関する話がなかなか出てこないため、見ていてちょっとモヤっとしますし、『過去の掘り下げ』のシーンは殆どが『人間関係』の説明に終始しており、特に盛り上がるような要素も無いため見ていてどうにも退屈です。


 現在のシーンでも、小屋で一つだけ見つかった『拳銃』を巡ってのサスペンス的な要素はあるものの、『翌朝まで』のタイムリミットに特に意味がある訳でもなくて、いま一つ緊張感が薄いのは困りもの。


 ネタバレになりますが、謎解きに関しても『一番怪しそうな人』が順当に犯人ですし、ちょっとだけ『どんでん返し』的な要素もあるものの、中途半端で特に面白味も無いんですよね。


 ドラマ要素は悪くなかったので、もうちょっと謎解き要素やサスペンス要素がシッカリと作り込まれてればなぁ…というのが正直なところでしたよ。

 


 総評としましては、どうにも『緊張感や盛り上がりに欠ける低予算サスペンス映画』って感じの作品です。


 人間ドラマ的な部分は悪くないので『ドロドロとした青春ドラマ』的なノリが好きであれば…という感じですが、サスペンスとしてはちょっと弱め。


 特に『監禁デスゲーム』の部分とか『ヒリヒリした緊張感』みたいな要素に期待していると肩透かしも良いところなので、そういう部分に期待している場合は要注意の映画かもしれませんよ…

 

映画感想:「ディープ・コンタクト」(40点/モンスター)

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■■■「ディープ・コンタクト」■■■
(40点/モンスター)


 自然ガイドのアリアンは、ある日、科学調査のため廃坑となった鉱山へと科学者のチームを案内する事となる。


 その場所は、かつて33名の死者ち162名の行方不明者を出した悲惨な鉱山火災が発生し、それに伴って1000人あまり居た町の住人も姿を消して地図から消されたという曰くの残る場所だった。


 鉱山の場所を突き止めた彼らは、地元の住人の不穏な警告を無視してその廃坑へと訪れるが、その鉱山は実は火災ではな『地下から出没した謎の生物』に壊滅させられたという、恐るべき秘密を持った場所だったのだ…

 


 とある科学者のチームが地図から消えた謎の廃坑に調査に向かったところ、正体不明の地底生物の襲撃を受ける…という、モンスターパニック映画。


 なんとなくノリ的にはトレマーズ辺りをリスペクトして作られた雰囲気のある作品ですが、登場する怪物は「ディセント」の地底人みたいな連中なので、実際の中身の方は『「トレマーズ」と「ディセント」を足したあとに希釈して5ぐらいで割ったような作品』という感じの内容です。
 ちなみに、パッケージにもトレマーズ」のグラヴォイズっぽいモンスターが映っていますが、こんなモンスターは本編には一切登場しません…っていうか誰だよお前!?
 (もしかしたら、ラストの方でチラっと出てきたクイーンのつもり?)


 お話としては『火災で閉鎖されたと言われていた炭鉱街だけど、実は地底から現れた謎の生物によって壊滅していました』みたいな感じの設定なのですが、モンスターが本格的に登場するまでの序盤の雰囲気作りは非常に良い感じ。


 廃坑の町の寂れた感じやら、不自然に主人公たちを追い返そうとする不気味な住民たち…といった雰囲気作りが非常に良く、『鉱山火災と言われているが実際には何が起こったのか?』といった謎の提示の流れなんかも良く出来ており、『「トレマーズ」をクソ真面目にしてみた』みたいな感じのテイストで導入部分の印象は悪くありません。


 ただ問題なのは中盤以降で、低予算映画にありがちなパターンなのですが『とにかくモンスターがなかなか登場しない』のは困りもの。


 お話が動き出すまでの尺も結構長いですし、登場した後も殆どのシーンがチラっと画面に映ったり、闇の中でぼんやりとしたシルエットが見えるような程度といった状態。


 最初は単に勿体ぶっているだけかと思ったのですが、ラストまで徹底してモンスターの姿が画面にマトモに映らないので、これはよほど着ぐるみの出来が悪いのか、もしくは『画面にハッキリ映さない事でリアリティを追求する』という監督の拘りなのか…(あるいは、その双方か?)


 どちらにせよ、モンスター映画で全くモンスターが画面にマトモに登場しないのは、流石にちょっと物足りなさを感じざるを得ません。


 お話のテンポもあまり良くないですし、モンスターもネオモーフとゴラムの合いの子みたいなデザイン(チラっとしか見えないけど)で特に面白味が無く、襲撃方法とかも個性のようなものも殆ど感じられないため、モンスター映画としての面白味に欠けるのは困りもの。


 ただ終盤で登場する『地底人クイーン』みたいなのは、なかなかキモくて良い味を出してたので、その辺でもうちょっと個性が出せてればなぁ。


 ラストのオチも割とカッコ良くて悪くない感じだったので、もうちょっとテンポが良くて、シッカリとモンスターの『怖さ』が描かれてれば悪くない作品になったのではないかと思うのですが…

 


 総評としましては、『どうにも退屈で盛り上がりに欠けるモンスターホラー映画』って感じですね。


 オススメするほどではないですすが、雰囲気作りやら映像センスやらは悪くないですので、そういう雰囲気重視のモンスター映画が好きであれば、まあまあ楽しめなくはない作品かも?


 急いで見るような映画ではないと思いますが、気になるようであればサブスクリプション系の配信サイトとかに入ったタイミングででもチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「サマー・シャーク・アタック」(60点/生物パニック)

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■■■「サマー・シャーク・アタック」■■■
(60点/生物パニック)


 高校生のハリソンと妹のモリーを含む家族の一家五人は、週末に祖母の思い出の地であるミズーリ州・オザークの淡水湖へとバカンスに訪れる事となる。


 各々にバカンスを楽しむ一家だったが、淡水のはずの湖に唐突にサメによって祖母が食べられてしまうという事件が発生。


 サメは淡水域に入り込める事で知られる『オオメジロザメ』だと判明するが、警察に連絡するが冗談だと思って話を聞いてもらえず、更にはサメは一匹ではなく複数が湖に侵入して居る事を知る。


 彼らは家族や観光客を守るために、湖の管理人であるジョーンズと共にサメの群れと戦う事を決意するが、サメたちは次々とその犠牲者を増やしていき…

 


 リゾート地の湖にオオメジロザメの群れが出現し、とある家族が人々を守るためにサメの群れと戦うことになる…という、人食いサメものの生物パニック映画。


 数年前にアメリカで製作された作品のようですが、日本でビデオ化されておらず販売されないのかと思いきや、何故か今さらながらAmazonのプライムビデオに唐突に登録されたようです。


 ビデオ化すらされなかった作品という事で、箸にも棒にも掛からないようなクソ映画なのかと思いきや、なかなかどうして意外と良く出来た作品だったりするのが、B級ホラージャンルの侮れないところ。


 お話としては『とある一家が湖にバカンスに来るんだけど、そこで淡水でも生息できるオオメジロザメの群れと遭遇、祖母がサメに食われたうえにサメの群れが祭りの会場を襲おうとしている事に気づいた一家の面々は、武器マニアの湖の売店の管理人と力をあわせてサメの群れを倒そうとする』みたいな感じの展開。


 基本的にはサメ映画のプロットに忠実に作られた作品で、それに加えて『淡水の湖やら川やらにオオメジロザメが出現する』というネタ自体も既に使い古された感もあるのですが、肝心の中身の方は敢えてコテコテのプロットに乗っかって作られた良作という感じの内容なんですよね。


 ホラーとしては全体的に明るめで、ちょっとコメディ的な要素が強めの作品といった印象なのですが、全体的にノリとテンポが非常に良いのは良い感じ。


 サメもバンバンと人間を襲いまくってくれますし、対する主人公たち一家も無駄にやる気が満々でサメに立ち向かっていってくれるため、見せ場も多くてサクサクと軽快にお話が進んでいくきストレスなく楽しむ事が出来るのは良い点だと言えるでしょう。


 加えて、サメと戦う一家に力を貸す『湖の管理人』が、武器マニアでサバイバリストというトレマーズ」のバートのような『倉庫一杯に重火器を隠し持っている』みたいな武闘派キャラで、お話が派手になるように花を添えてくれているのもモンスター映画好きには嬉しいところ。


 サメに関しては、CGと実写映像の合わせ技みたいな感じで描写されているため、やや安っぽいCGやら一部のカットでの同じ映像の使いまわしが目立ちますが、サメの出番や襲撃シーン自体が多くて人間との絡みのシーンもそこそこ多いため、雑な部分をそこまで気にせずに楽しめるんですよね。


 また、『サメ映画にありがちなプロット』のオンパレードみたいな作品ではあるものの、温和で生き残りそうなお祖母ちゃんがいきなりサメに食われたり、お話のキーマンっぽいキャラが速攻で殺されたり…といった感じに、微妙に定番展開を外した感じの構成になっているのも、ちょっと捻りが効いてて面白いです。


 サメとの対決シーンも、サメを捕鯨銛(ハープーン)でぶっ飛ばしたり、花火や木材粉砕機でサメを粉々にしたり、サメはサメで陸まで上がってきて大暴れしたり…といった具合に色々と見せ場がある感じになっていますし、終盤では『祭りの会場にサメの群れが乱入する』というお約束的な派手な展開もシッカリと準備されているのが、非常にモンスター映画好きらしい『分かってる感』があって良い感じ。


 ラストの展開(最後のサメと戦う流れ)はちょっと蛇足に感じる部分もありましたが、全体的に予想以上に楽しめた作品でしたよ。

 


 総評としましては、良い意味でも悪い意味でも『物凄くB級モンスター映画然としたコテコテのB級モンスター映画』って感じの作品です。


 低予算で雑な部分も多いですが、それを差し引いてもシッカリと個性を出せており意外と楽しめる内容の低予算モンスター映画という感じの印象でした。


 Amazonプライムビデオ対象の作品でプライム会員の方なら無料で見ることが出来ますので、プライムビデオ会員で低予算モンスター映画とかが好きであれば、普通にチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ザ・パージ:魔法少女狩り」(35点/サスペンス)

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■■■「ザ・パージ:魔法少女狩り」■■■
(35点/サスペンス)


 魔法や魔女が実在し、魔女は発見され次第、火あぶりで処刑されるという恐るべき法に支配された並行世界のアメリカ。


 女子高生のクレアは友人にも言えない秘密があった。
 それは、母親のマーサが魔女の『逃がし屋』として、魔女たちの国外逃亡への手助けという秘密の仕事をしている事だった。


 そんなある日、同じ年頃の魔女フィオナとその妹のシェイを自宅にかくまう事となった彼女の家族だったが、それを契機にクレアにも魔女の遺伝子が引き継がれている事が判明。


 やがて魔法捜査局の捜査は、彼女たちの元へも及ぶようになり…

 


 魔法が実在し現代でも『魔女狩り』が行われ続けている異世界アメリカで、魔女の力に目覚めた2人の少女が自由を求めて逃亡をする…という、オカルト風味のサスペンス映画。


 タイトルに「ザ・パージ」とかってタイトルが付いていますが、当然ながら本家の「パージ」シリーズとは何の関係も無い、『魔女狩りの風習が残る異世界アメリカ』が舞台となったオカルトサスペンス映画ですね。


 ただ、一応はオカルトサスペンスの体裁を取っていますが、実際にはオカルト要素もサスペンス要素もかなり薄めで、魔女の力に目覚めた2人の少女の出会いとか心の機微を描いた青春ドラマ的な要素の強いお話という印象。


 現代でも『魔女狩り』の制度が残り、根強い『魔女差別』と迫害が行われているアメリという世界観はなかなか面白くて、魔女を見つけ出すために学校で『水没試験』(魔女は重りつけて沈めても水に浮かぶという迷信があるため)を行って魔女を探し出そうとしたり、魔女を見つけた捜査官が現場判断で問答無用で火あぶりにしたり、根強い魔女への差別心を政治的なプロパガンダに利用したりする世界という設定は個性的で悪くない印象。


 ただ世界観は悪くないのですが、それ以外の部分がどうにもダルい作品というのが正直なところなんですよね。


 お話の展開が非常に遅く、殆どのシーンが主人公の学園生活やらをダラダラと描いているだけなので、とにかくテンポが悪いです。


 主人公の秘密が明かされるのも殆ど最後の方だし、主人公と魔女の少女の出会いを描いた『ガール・ミーツ・ガール』的な友情を描いた作品としても、ヒロインたちの絡みが意外と薄くて面白味に欠ける印象。


 途中でちょこちょこと挿入されるオカルト要素も、あっても無くても良いようなレベルなうえに伏線っぽく描かれてる割には『主人公の出生の秘密』とかとの関連性も良く分からないですし、どうにも中途半端なんですよね。


 方向性としては、人種差別やらジェンダー差別やらの『不条理な差別』に対する風刺や批判的な意味を込めて作られた内容なのかもしれませんが、そういうテーマ性も薄くて、狙っている方向性がいまいち良く分かりませんでしたよ…


 ラストの作中でも語られた某映画のオマージュ的なオチは悪くなかったですが、それ以外の部分が退屈すぎて正直辛い映画でした。

 


 総評としましては、どうにも『テンポが悪くて盛り上がりに欠ける低予算オカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 独特の世界観は悪くは無いのですが、友情ものとしても弱いですし、テーマ性の強い風刺作品としても弱いですし、正直に言ってあまり推すような要素は無いかなぁ…


 個人的には、よほど気になっているとかでなければ普通にスルーしてしまっても問題の無いレベルの一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ココディ・ココダ」(45点/サスペンス)

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■■■「ココディ・ココダ」■■■
(45点/サスペンス)


 不幸な事故で幼い娘を失ったトビアスとエリンの夫婦は、心の傷を癒して夫婦の関係を修復するためにバカンスに出かける事となる。


 しかし、キャンプ中に森の中で猟犬を連れて奇妙な扮装をした3人組みの男女に遭遇。
 彼らは、会話の余地もなく3人組みによって惨殺されてしまう。


 更に死んだはずの彼らが目を覚ますと殺害される当日の朝に時間が巻き戻っており、『目覚めては延々と殺害され続ける』という謎のループに陥っている事に気づいた彼らは、なんとかしてそのループから抜け出そうとするが…

 


 娘を失った事によって関係の破綻してしまった夫婦が、バカンスの最中に謎の3人組みに遭遇し時間ループによって延々と殺害され続ける…という、サイコホラー風味のサスペンススリラー映画。


 最近流行りの、いわゆる『時間ループ系』のサスペンススリラー映画なのですが、特にSFとかオカルトという感じの内容ではなくて、どちらかというと雰囲気映画というか、内宇宙的な心理劇を題材とした感じの作品という感じですね。


 というか分かりやすい言い方をするなら、いわゆる『カルトムービー』というか、ちょっと独特のテイストと世界観を持った電波系的なノリの作品です。


 カルト作品らしく雰囲気作りは良い感じで、森の中に唐突に現れるサーカス一座のような『時代錯誤で場違いな服装をした3人組みの殺人鬼』も不気味ですし、主人公たちを殺害する目的も一切不明で、全く話の通じ無さそうな印象なのも怖いです。


 謎の『時間ループ現象』に関する説明も一切なく、ブツ切り的な演出も唐突感があって不安をあおりますし、ところどころで挿入される影絵を用いた寓話のような寸劇も印象的。


 最初の『娘の死』を描いた場面も、割とトラウマに残るようなテイストですし、カルト風味の雰囲気映画としてはなかなか良く出来ています。


 ただ雰囲気は良いのですが、全体的にカルトテイストが強すぎてストーリーがいま一つ良く分からないのは困りもの。


 お話のなかで、状況を説明するようなセリフやら主人公たちが心情を語るようなセリフが殆ど無いため、主人公たちが時間のループをどのていど理解しているのかも不明だし、それに対してマジメに対策を立てようとしている雰囲気や危機感的なものもあまり感じられないんですよね。


 謎の3人組による殺害シーンも妙に淡々としていて、イムループで延々と殺害されててもいま一つ盛り上がりませんし、上記の危機感的な理由も含めて全体的に緊張感が薄くてテンポが悪く、途中でちょっとダレてしまいましたよ。


 一応、ラストで『謎の3人組み』の正体っぽいのは明らかになって、そのお陰でSFやオカルト的な話ではなくて『”娘の死”に囚われて抜け出せなくなった夫婦』といった心理劇的な暗喩なのかな…というのは想像できるのですが、それを踏まえても影絵パートの『フェニックスの寓話』はちょっと意味不明。


 正直に言って自分の読解力では良く分からない部分が多すぎたので、もうちょっと分かりやすい説明があるか、『謎の現象』のバックボーン的な設定があってくれた方が説得力があって良かったんじゃないかなぁ…(例えば実は事故の昏睡状態で悪夢を見ている等)って感じの作品でしたよ。

 


 総評としましては、良い意味でも悪い意味でも『イマイチ良く分からないカルトテイスト強めのサスペンススリラー映画』って感じの作品です。


 カルト風味の雰囲気映画が好きであれば、まあまあオススメできる内容だとは思うのですが、逆にそういうノリが苦手だとちょっと辛い映画という印象かなぁ?


 特に『タイムループもの』的なノリに期待してると、ちょっと肩透かしを食らわされてしまうかもしれませんので、そういう方面で作品をチェックしようとしている場合は要注意かもしれませんよ。

 

映画感想:「プラットフォーム」(50点/サスペンス)

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■■■「プラットフォーム」■■■
(50点/サスペンス)


 ゴレンは、とある社会実験に参加する事となり、目が覚めると自分が部屋の真ん中に「穴」の空いた巨大な建物の48階層に居る事に気付く。


 その建物は、真ん中の「穴」を『プラットフォーム』と呼ばれる台座が下に向かって移動しており、供給される食料はその台の上に置かれたもののみ。


 下の階層の人間は上の階層の人間の『食べ残した残飯』を食べるしかなく、上の階層の人間が食料を食べつくしてしまうと下の階層の人間は飢えるしかなく、更に1ヶ月おきに上の階層と下の階層のメンバーが入れ替わるという奇妙なルールが採用されていた。


 6ヶ月間この場所で過ごす事となったゴレンは、以前から建物で暮らしているという同室の老人・トリマガシからここで過ごすためのルールの説明を受けるが、そんなある日、自分の『息子』を探してプラットフォームに乗って階層を移動し続けているというミハルという女性と出会ったことから、この建物のみんなが生き残るための奇策を思いつくが…

 


 巨大な『穴』を上から下へと移動する一方通行の『プラットフォーム』で食料が供給されるという奇妙な施設で過ごすこととなった男が、なんとかしてそのルールの中で生き延びようとする…という不条理系サスペンス映画。


 奇妙な建物に閉じ込められた主人公が、その場所でなんとかして生き延びようとする…というと、一見すると「CUBE」のようなワンシチュエーションスリラー系のサスペンス映画に見えますが、実際の中身の方は暗喩やら風刺やらの意味合いの強い『社会風刺映画』的な感じの内容の作品です。


 お話の舞台は、各フロアの真ん中に巨大な穴があき、その場所を『プラットフォーム』と呼ばれる『上から下へと一方通行で移動する台座』が移動している奇妙な建物。


 食事の際には、台座の上に大量の料理が満載されて降りてくるんだけど、下の階の人間は『上の階の人間が食べ残した残飯』しか食べる事が出来ず、上の階の人間が料理を食べ尽くしてしまうと下の階の食べるものが無くて人間は飢えに苦しむ事となり、下の階層に向かうほど『同室の人間を殺してでも食料にする』といったような犯罪行為が平気で行われる無法地帯になっていく…といった感じの設定です。


 一見シチュエーションスリラーっぽいのですが、コレって現在の『資本主義社会』をそのまんま比喩しており、上の階の人間(富裕層)がトリクルダウンを行わずに食料(富)を(中抜きやら搾取やらで)独占してしまった場合に、下の階層の人間(貧困層)が貧困に苦しむ事となる…という、資本主義の社会構造そのものですよね。


 作中でも『上位の者たちが富を独占してしまった社会』が暗喩的に描かれて、資本主義における富裕層と貧困層の社会的隔絶やらトリクルダウン問題やらを風刺した内容となっており、現代の日本でも馴染みの深い問題を描いた作品になっているという印象。


 ただ風刺作品として良く出来ているからといって、本作がエンターテインメントとして優れているかと言われると微妙なところ…


 主人公たちは、何かの『権利』を得るために志願してこの建物に入っていたり、犯罪者として収監されている…みたいな設定ではあるのですが、流石にこんな訳の分からない食料配給のシステムは社会実験としても非現実的すぎてリアリティが全く感じられません。


 作中で、主人公たちが飢えて同室のメンバーと殺し合いに発展したり、絶望して穴から身を投げるものが居たり…といった具合に、色んなシチュエーションを盛り込んで退屈しないように頑張っているものの、そもそもの設定に現実味が無さすぎるため、いま一つ緊張感が感じられずにどうにも盛り上がりに欠けるのは困りものです。


 終盤の展開も、『主人公が下層の人間を救おうと奮起する(社会構造の見直しのために戦う)』という展開は意外性があって面白いのですが、ラストの展開も『結局、何がやりたかったんだよ?』みたいな感じのオチになってしまっており、ストーリーとしては消化不良な終わり方になってしまっているんですよね…

 

 確かに『風刺としてのメッセージ性』はシッカリと伝わるのですが、ホントに『風刺のために作られたストーリー』といった感じで設定に色々と無理のある部分が多く、作品として面白い内容になっているかと言われると、やや疑問の残ってしまうような映画でしたよ。

 


 総評としましては、凝った設定の『社会風刺系シチュエーションスリラー映画』って感じの作品です。


 シチュエーションとかも割と面白いですし、映像センスなんかも非常に良いですので、社会問題やら政治的な話を皮肉った『社会風刺ネタ』が好きであれば、まあまあ楽しめる一本ではないかと…


 逆に、そういった社会風刺ネタが鼻につきすぎる部分もあるので、そういうノリがあまり好きでない人や、純粋にサスペンススリラー映画を楽しみたいという場合には、やや肌に合わない作品かもしれませんので、そういう場合は要注意かも?

  (自分は、風刺のテーマ性が強すぎてちょっと鼻白んでしまいましたよ…)