NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ジャイアント・スパイダーズ 巨大クモ群団の襲撃」(55点/モンスター)

■■■「ジャイアント・スパイダーズ 巨大クモ群団の襲撃」■■■
(55点/モンスター)


 パタゴニア砂漠の地下にある秘密研究所では、『不死化細胞』という遺伝子操作の研究が極秘で行われていたが、そんなある日、実験用に遺伝子操作によって作り出された巨大グモが逃亡。


 巨大グモの群れは研究員たちを次々と虐殺し、研究所は巨大グモの巣窟になってしまう。


 民間のレスキューチームで傭兵部隊でもある世界救済支援機構(WRO)のガオ隊長は、研究所で行方不明になった職員の捜索と研究データの回収のために、研究員のチェン博士と彼の用心棒であるクーと共に研究所へと救助に向かう事となるが、その場所は無法な傭兵部隊と孵化した巨大グモの群れによって支配された、恐ろしく危険な場所だった…

 


 遺伝子操作によって作られた巨大グモの大群によって支配された地下研究所に、傭兵部隊の面々が生存者の救助に向かう…という、巨大グモもののモンスターパニック映画。


 最近大量に作られている中国製のモンスター映画のひとつで、設定やプロットも含めてどこかで聞いたような感じのするステレオタイプのモンスターホラー映画ですね。


 タイトルに70年代のW・シャトナー主演の生物パニック映画である「巨大クモ軍団の襲撃」っぽいサブタイトルが付けられていますが、特にその作品をオマージュしたような内容でもないので、たまたま被っただけなのかどうかは謎な感じ。


 お話としては、『民間の傭兵部隊がならず者傭兵や巨大グモの軍団と戦いながら、地下研究所へと侵入して生存者と研究データの回収を行う』というそれだけの内容。


 巨大グモは、中型犬サイズのものから人間サイズのものまでが大量に登場し、割と序盤から出し惜しみなく大暴れしてくれるので、まあまあ見せ場もあり悪くない印象。


 ただ、CGで描かれているせいか人間との絡みが少なく、銃で撃たれても効いてるんだか効いてないんだけ釈然としないような描写ため、戦っている実感が湧かないような映像のシーンが多いですし、クモが大量に登場するとは言っても基本的にサイズを変えただけのコピペCGなので、観ていてどうにも物足りません。


 代わりにといっては何ですが、主人公たちの部隊と『ならず者傭兵部隊』との戦闘シーンは、ゲームの画面のような雰囲気で無駄にカッコ良くて、お話に変化を持たせて退屈させないような努力が見られる感じで、なかなか好感触。


 ただ先述のとおりストーリーにあまり捻りが無いうえに、怪物の襲撃シーンも多いもののビジュアル的に面白味が薄くて、やや退屈に感じてしまうのは残念なところです。


 主人公たちのキャラも、傭兵部隊の隊長はカッコ良いですしヒロインである片腕サイボーグの用心棒も良い味を出しているのですが、その他の隊員が個性が感じられずにザコっぽくてどうにも影が薄いのが困りものです。


 全体的にステレオタイプすぎて面白味に欠ける本作なのですが、終盤の展開だけは結構トンデモなノリで、ラスボスの『怪奇クモ女』みたいなキャラはインパクト抜群なため、そのシーンは本作の最大で唯一の見せ場と言えるかも?


 ただラスボスはインパクト抜群なのに、ラストは妙にアッサリしてて盛り上がりに欠ける感じがあったのは残念なところかなぁ…


 全体的に、もうちょっと各キャラの個性を活かした見せ場が欲しかったところですよ。

 


 総評としましては、紋切型すぎて『ちょっと盛り上がりに欠ける低予算モンスターパニック映画』って感じですね。


 色々と個性を出そうと努力しているものの、いまひとつその設定を活かしきれていない印象があり、物足りなさを感じる作品というのが正直なところです。


 推すには弱いものの、サクッと片手間に観るぶんには楽しめる内容だと思うので、気になっているようであればサブスクとかで配信されたタイミングにでも、片手間にチェックしてみるのも悪くない一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「トレマーズ 砂の王国」(30点/モンスター)

■■■「トレマーズ 砂の王国」■■■
(30点/モンスター)


 人間を襲う謎の巨大な『砂虫』の出現によって文明が崩壊し、地表の全てが砂に覆われた未来世界。


 砂漠から訪れる砂虫から逃れるため、生き残った人類は高い壁に囲まれた都市の中で怪物の襲撃に怯えながら暮らしていた。


 そんな矢先に、人類の数少ない拠点である『中都』が砂虫の襲撃によって崩壊。


 偶然にも、人類の唯一安全に暮らせるとウワサされる『オアシス』の座標と通行証を手に入れたトレジャー・ハンターのマー・ボーは、町の支配者のギャングや生物学者のリウ・ドン、生き残ったわずかな住人達と共に『オアシス』を目指して旅に出る事となるが…

 


 文明が崩壊し全てが砂に覆われた未来世界で、生き残った人類が『砂虫』の脅威に怯えながら安住の地を求めて旅をする…という、サバイバル系のモンスターパニック映画。


 最近、矢鱈と量産されている中国製のモンスター映画の一本で、トレマーズなんてタイトルに付いていますが当然ながら本家との関係は全くなし。


 というか、登場する怪物の『砂虫』もあまり『グラヴォイズ』とは似ていないので、トレマーズ」ってタイトルを付けること自体に無理がありすぎだろ…という感じの作品です。


 お話としては、『謎の生物の襲撃によって文明が崩壊した未来世界で、数少ない生き残った人類が安住の地を目指して旅をする』という感じの展開で、『よくあるゾンビ映画の設定を砂虫に置き換えただけのお話』と言った方がなんとなく分かりやすいかも?


 プロット自体は割とありがちな感じなのですが、肝心のお話に関してはなんというか物凄くグテグテ感の強い内容なのが困りもの。


 世界観やらプロットやらキャラの関係性やらが矢鱈と独特なクセに、作品の序盤でその辺に関する説明が一切ないため、観ていても世界観やキャラクターが良く理解出来ずに物凄く混乱してしまいます。


 ぶっちゃけ、お話の中盤辺りまで世界観とか設定とかに頭が付いていけなくて、ずっと頭に『?』が浮かんだ状態でしたよ…


 これなら、素直に『ゾンビウイルスで文明が崩壊した世界』とかにしておいた方が、お話が理解しやすくて良かったのでは?


 本作の独自設定である『砂虫』も、作品の中核になっている割には出番があまり多くなくて、殆どのシーンは50~60cmぐらいの『巨大なウジ虫』みたいなのがチョコチョコ出てくる程度なうえに、パッケージの『巨大砂虫』はラストにチョロっと登場する程度で、ビジュアル的な見せ場が少なすぎ…


 殆どのシーンは、生存者たちが仲間同士でギスギスしながら砂漠を旅していくシーンを延々と見せられるだけでテンポもあまり良くなく、『安住の地を求めて旅をする』と言ってもロードムービー的な要素がある訳でも無くてとにかく退屈です。


 また、キャラの掘り下げもメチャクチャ弱くて外見的にもあまり特徴が無いせいで、序盤は鶴瓶っぽい見た目のギャングのボス』以外の人物の見分けが付いていなかったのは自分だけ?


 終盤で、ちょっとした『ドンデン返し』的な展開もあるのですが、そもそも世界観やキャラにイマイチ馴染めない状態で見せられても『だから何なんだよ?』としか言いようが無いような内容で、正直、ひたすら地味でグデグデな気分を味わわされるだけの映画という印象でしたよ…

 


 総評としましては、どうにも『見せ場やら盛り上がりに欠ける低予算系サバイバル風味モンスターホラー映画』という感じの作品ですね。


 トレマーズというタイトルに釣られて観ると、あまりにも「トレマーズ」的な要素が無くてガッカリすること請け合いですし、どういう層に勧めたら良いのか釈然としません。


 よほど『中国製のモンスター映画を全部チェックしておきたい』みたいな情熱に駆られている人でも無ければ、普通にスルーしてしまっても問題のない一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ザ・ボーイ 鹿になった少年」(55点/サスペンス)

■■■「ザ・ボーイ 鹿になった少年」■■■
(55点/サスペンス)


 父の経営する郊外の寂れたモーテルで暮らす9歳の少年テッドは、母親に浮気されて逃げられた父と二人きりでモーテルの手伝いをしながら、学校にも通わずに孤独な生活を送っていた。


 ある日、車に轢かれた動物の死骸を処理して小遣いを稼いでいた彼は、ふとした切っ掛けから『死』そのものに強い興味を抱くようになっていく。


 そんな矢先に、車の事故でモーテルに暫く逗留することとなったゴードンという男性から『死の臭い』を嗅ぎ取った彼は、その男性に興味を惹かれるが…

 


 9歳の少年が『死』の魅力に取りつかれて、やがてその興味がエスカレートして狂気へと駆られていく…という、サスペンススリラー映画。


 パッケージから、最近この界隈で妙に流行っている『ウエンディゴ』を題材にしたような映画なのかと思ったのですが、特にそういう訳でも無く「ザ・ボーイ」といっても人形少年ともアンチヒーローのドラマとも関係の無い割と正統派のサスペンススリラー映画ですね。


 いわゆる『子供特有の残酷さ』を題材にした、サイコホラー系の雰囲気映画っぽいテイストの強い作品です。


 お話としては『9歳の幼い少年が、道路で轢かれて死んだ動物の死骸を処理するうちに『死』そのものに興味を抱くようになり、わざと動物を車に轢かせて殺したりしていくうちに『人間の死』へも強く惹かれるようになっていく…』みたいな感じの展開。


 少年が『子供に教育も受けさせないロクでもない父親』や、母や友達も居ない孤独な環境からいびつな性格になっていき、また、モーテルに逗留した『どこか犯罪臭を漂わせる男性』の影響もあって、やがて狂気に導かれていくような感じの流れで、ストーリー的にもプロット的にも人間ドラマが中心のお話と言う印象。


 少年の心理描写やら家庭環境の描写、キャラクターの掘り下げがどこか淡々としたテイストで描かれており、じわじわと浸食していく『ドライな怖さ』が感じられるような内容で、雰囲気映画としてはなかなかに良い感じ。


 ただ雰囲気映画だけに、どうにもお話の展開が非常に遅くて、テンポの悪い部分があるのは辛いところ。


 尺が120分近くと長めなうえに、特に中盤辺りは大きな事件も起こらないまま淡々と少年の心理やキャラの掘り下げのシーンが続くため、どうしても冗長に感じてしまいます。


 こういう独特の空気感やらも嫌いではないのですが、家庭環境にしても怪しい宿泊客にしても、どちらも妙にアッサリ薄味に描かれていて物足りなさがあったので、個人的にはもうちょっとピリピリとした緊張感の強い内容でも良かったかも?


 ラストの展開やオチは割と好きな感じだったので、もう少し雰囲気映画としての『濃さ』が欲しい作品という印象でしたよ。

 


 総評としましては、そこそこ普通に観れるレベルの『雰囲気映画テイストのサイコサスペンス映画』って感じですね。


 『子供特有の残酷さ』とか『死への憧れ』というプロットに興味があるならば、とりあえすチェックしてみても損は無い一本かもしれません。


 強く推す程では無いですが、雰囲気やらテイストやらは悪くない作品ですので、好みに合いそうであればどうぞ…という感じですかね。

 

映画感想:「TITANE/チタン」(50点/サスペンス)

■■■「TITANE/チタン」■■■
(50点/サスペンス)


 ダンサーのアレクシアは、幼い頃に交通事故に遭った事が原因で頭蓋骨にチタンプレートを埋め込む事となるが、それ以来、自動車に対して異常なまでの執着心と情欲を抱き、同時に危険な感情を抱くようになっていく。


 ある日、衝動に駆られて行きずりの男女を殺害して連続殺人犯になった彼女は、身分と性別を偽って逃亡生活を開始。


 そんな矢先に、10年前に息子が行方不明になり孤独な生活を送る消防隊員のヴァンサンと出会った彼女は、彼の『息子』として引き取られて、彼の元で奇妙な共同生活を始め事となるが…

 


 自動車に異常な愛情を抱く殺人鬼の女性と、孤独な消防士の奇妙な共同生活を描いた、ファンタジー風味のサスペンススリラー映画。


 フランス製の雰囲気映画的なテイストのサスペンス映画なのですが、割と久々に本気で『何やコレ?』という以外の感想が全く浮かんでこない作品です。


 フランス製の雰囲気映画という時点で、雰囲気で観る『良く分からん映画』率が高い印象なのですが、本作はそんなレベルを通り越して『何を言いたいのかガチで意味が分からない作品』という印象。


 サスペンスなので、できればネタバレなしで感想を書きたいのですが、ネタバレしないと何を書いたら良いのか分からないので、今回はネタバレありで感想を書かせていただきますが…


 まあとにかくストーリーの意味が分からないのに加えて、最初から主人公たちのキャラが濃すぎてお話に感情移入しようがないのが困りもの。


 『車に異常に欲情するうえにサイコパスの連続殺人鬼』という主人公のキャラが濃すぎて初っ端から1ミリたりとも気持ちが理解できないうえに、後に主人公をかくまう事になる消防士の男性も『筋肉マニアなうえに妄想に囚われて息子の代わりに素性の知れない女性を引き取る』という無駄なまでの濃さ。

 この2人の共同生活という時点で、もはや特濃すぎて胸やけしそうなレベルなのですが、主人公は『SEXした自動車(?)の子供を身ごもってチタンボディのお腹になってゆく』という超展開で、もはや何を見せられているのか全く意味が分かりません。


 ただストーリーは分からないながらも、雰囲気映画としてはなかなか良く出来ている印象で、やたらとエロティックな『主人公と自動車の関係』も面白いですし、『居なくなった息子に過度に依存する父親』の姿もどこかマニアックで悲しげで良いですし、終盤の『主人公の肉体の変化』も異様なテイストのうえにファンタジックで悪くありません。


 ストーリーは最後まで結局意味が分かりませんでしたが、なにか『代替的な存在に愛を求めて依存してしまう人たち』的なものの暗喩みたいな感じなのかなぁ?


 もしくは何か『元ネタ』みたいなものがあるのでしたら、どなたか教えていただきたいですよ…

 


 総評としましては、雰囲気映画としては悪くないものの『最初から最後まで全く理解の出来ないサスペンス映画』という印象の作品です。


 久々にマジで意味が分からない映画でしたので、『なんか意味が分からない映画を観たい人』やら『独特の世界観とテイストに浸りたい気分な人』にはオススメ出来るかもしれません。


 個人的には、ちょっと付いていけない部分が多すぎて、何と評価して良いのか判然としないような映画でしたよ…

 

映画感想:「ザ・フィクション」(35点/サスペンス)

■■■「ザ・フィクション」■■■
(35点/サスペンス)


 出版社で働く作家志望の女性エイブリーは、隠遁中の尊敬するホラー作家であるケイレブからの依頼で、新作のアイデアとして『恐怖に対する反応を見るための実験』に参加する事となる。


 ケイレブの依頼で人里離れた雪山のロッジに訪れた彼女は、奇妙な契約内容に不安を抱きながらも彼の『実験』へと参画する事となるが、奇妙な質問を切り返されされたり不気味なビデオを繰り返し見せられるうちに、彼女の周りでも異様な現象が起こるようになっていき、徐々に妄想に取り憑かれていく。


 そして、地下室で女性が監禁されているのを目撃した彼女は、どこまでが虚構や妄想でどこからが現実なのかが分からなくなって行くのだった…

 


 ホラー作家の『心理実験』に参加した女性が、妄想に取り憑かれて徐々に正気を失っていく…というサスペンススリラー映画。


 なんとなくS・キングの小説とかをオマージュしたっぽい感じのテイストの作品で、作中で実験を行う作家の男性もキングをモデルとしたキャラっぽいですね。


 ただ、その割にはストーリーとか雰囲気に関してはキングっぽさがあまり感じられないという、ちょっと中途半端な作品という印象。


 お話としては『作家に怪しげな実験をされたり怪しげなビデオを見せられた女性が、徐々に正気を失っていく』みたいな感じの割とオーソドックスな展開なんだけど、全体的になんというか薄味な映画というのが正直な感想です。


 作家の行う実験の内容も地味ですし、怪しげなビデオ(洗脳ビデオ?)のビジュアルもイマイチだし、絵的にもお話的にもちょっと退屈でテンポがあまり良くありません。


 本編には殆ど主人公と作家の2人しか登場しないのですが、2人のキャラの掘り下げもイマイチどちらのキャラからも狂気のようなものが感じられない事もあって、サイコスリラーの割にはいまひとつ迫力不足。


 全体的に、とにかく退屈で冗長な印象ばかりが目に付いてしまいます。


 中盤からはそこそこ盛り上がる展開になっていくのですが、ぶっちゃけ『その程度でそこまで正気を失うか?』ってツッコミを入れたくなるようなヌルい展開のせいで、どうにもリアリティが感じられない話というのが正直な印象。


 終盤も真相に辿り着くまでが無駄にゴチャゴチャしすぎてて、緊迫したシーンというよりはダラダラとしたシーンばかりが続く感じ…


 ラストも『それでいいんか?』みたいな感じの終わり方でしたし、とにかく色んな意味で観ていてスッキリしない映画でしたよ。

 


 総評としましては、どうにも『退屈で盛り上がりに欠けるサイコホラー風味のサスペンススリラー映画』という感じですね。


 S・キングっぽいシチュエーションやらキャラクターは悪くないのですが、どうにもそれを本編に上手く活かしきれていない作品という印象でしたよ。


 特にコレといって推すべきような要素も無いので、よほど気になっているとかでも無ければ普通にスルーしてしまっても問題の無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ハッチング-孵化-」(60点/ファンタジー:結構オススメ)

■■■「ハッチング-孵化-」■■■
(60点/ファンタジー:結構オススメ)


 フィンランドの森に囲まれた閑静な郊外の住宅地に住む12歳の少女ティンヤは、『完璧で幸せな家族』の動画配信を行う母親を喜ばせるために、体操の大会出場を目指して強いストレスを抱えながらも努力を続ける毎日を過ごしていた。


 そんなある夜、ティンヤは森の中で奇妙な卵を発見。
 親を亡くした子供のものだと考えた彼女は、自宅に持ち帰ってベッドで卵を温め事となるが、卵は彼女のストレスに呼応するかのようにみるみる大きくなってゆき、やがて卵の殻を割って『それ』が孵化する事となる。


 卵から産まれた『それ』に『アッリ』と名付けて育てる事にした彼女だったが、アッリは彼女の隠されたストレスや欲望に呼応するかのように、次々と恐ろしいトラブルを引き起こしていき…

 


 ストレスを抱えて暮らす思春期の少女が森の中で奇妙な『卵』を拾ったところ、卵から誕生した『何者か』が彼女のストレスに呼応するかのように様々なトラブルを引き起こしていく…という感じの、北欧製のファンタジーホラー映画。


 北欧製の作品らしく割と『雰囲気映画的』なテイストの強い内容なのですが、単純に雰囲気重視という訳でも無くて、そういう要素を差し引いてもサスペンスホラーとしても良く出来たなかなか怖い作品となっています。


 北欧製のらしく美しい絵作りの作品で独特の映像センスは美しいのですが、絵の美しさに反して内容の方はかなり『ブラックなテイストの強いダークファンタジーという感じの内容。


 母親の理想の『幸せな理想の家族』という承認欲求を満たすために、家族一丸となって『幸せな理想の家族』を演じる『仮面家族』という家庭環境の設定が既に滅茶苦茶にブラックですし、そんな中でストレスを抱えた少女が『拾ってきた卵』を育てたところ、卵から『何者か』が誕生してしまうという設定が既に面白いです。


 お話の流れとしては、『何者か』は果たして実在するのかもしくは彼女の妄想が生み出した存在なのか…的な感じで、サスペンススリラー的に進んでいくのですが、この『何者か』が恐ろしく不気味なんだけど同時に少女の生み出した存在らしい儚げなテイストもかもし出してて良い味を出しています。


 ダークな要素を抜きにしてもサスペンスとしての盛り上げ方もなかなかに秀逸で、怖いシーンはキチンと怖いですし、北欧映画にありがちな妙にスローテンポな部分も無くて見せ場も多めでサクサクと観れる作りなのも好印象。


 自分の事しか考えない身勝手な母親を始めとした、『仮面家族』である主人公の家庭のキャラも良く立っていますし、主人公の唯一の理解者になるのが『母親の浮気相手』という設定もブラックで面白いです。


 終盤の展開も予想外で良い感じですし、色々と含みのある感じのラストの『ハッピーエンド?』って感じのオチも個人的には非常に好みで、予想以上に楽しめた作品でしたよ。


 ちなみに、ここからは少しネタバレになってしまうのですが…

 


 北欧が舞台ですし『チェンジリング(取りかえ子)』の伝承辺りがベースとなっているのかな…という印象は受けたのですが、こういう切り口での描き方(そしてあのオチ)は予想外だったので、ファンタジー的な切り口でも非常に面白かったです。

 


 総評としましては、個性的で独特のテイストながらも『なかなか良く出来たファンタジーホラー映画』って感じの作品ですね。


 北欧映画ですし映像もストーリーもアクが強いのでちょっと人を選ぶ部分がある内容だと思いますが、雰囲気映画ってほど雰囲気に振られている訳でもないので、この手の作品としては割と見やすい部類では無いかと…


 強く推すかと言われると悩ましい所ですが、設定やらが気になるようであれば、とりあえずチェックしておいても損は無い一本だと思います。
 個人的にはなかなかオススメの作品ですよ。

 

映画感想:「アンヒューマン」(55点/モンスター)

■■■「アンヒューマン」■■■
(55点/モンスター)


 他の生徒たちに比べて流行に疎すぎる高校生のエヴァーは、クラスメイトたちと一緒に野外授業に赴く事となる。


 しかし道中の車の事故でバスは崖から転落。
 しかも、その直後にバスは『国家が化学攻撃を受けているため直ぐに非難するように』という奇妙な放送を受信する。


 突然の異常な事態に混乱する彼らだったが、そんな彼らのバスをゾンビが襲撃。
 とっさにバスから逃げ出した彼らは近くの廃墟へと逃げ込むが、ソンビたちの群れは彼らを執念深く追跡して来て…

 


 野外授業に訪れた高校生のグループを謎のゾンビ軍団が襲撃し、生徒たちはなんとかしてソンビの襲撃から生き延びようとするが…という、モンスターパニック映画。


 ホラーファンにはお馴染みのブラムハウスとエピックスという製作会社によって作られた作品で、プロットだけ聞くと割とオーソドックスなゾンビ映画という雰囲気なのですが、どちらかというとゾンビメインのモンスター映画というよりもスクールカーストを題材としたブラックユーモア系のコメディホラー』というテイストの強い作品です。


 お話としては『高校生たちの野外授業に向かうバスが事故を起こし、そこにゾンビが襲撃。難を逃れた生徒たちが近くの廃墟に閉じこもるも、ゾンビが彼らを追跡してきて…』という、まあまあありきたりな展開。


 ブラックユーモア系のコメディらしく、割と下品な描写やら気持ち悪い描写やらが強めで、冒頭から本編が始まるまでの時点でかなりアクが強め。


 主人公が『何の取り柄もない少女』みたいな設定のため、スクールカーストに関する描写も結構強めで、観ていてイラっとさせされる部分もあったりとちょっと好みの別れそうな内容です。


 全体的にお話のテンポが良くて、グロ描写は控え目なもののゾンビの襲撃シーン等のアクションシーンもそこそこ多めですし、観ていて退屈しない構成なのは好印象。


 ただテンポは良いもののお話にいま一つメリハリが無くて、中盤辺りまでがちょっとグダる感があるのは残念なところ…


 また、ここからはちょっとネタバレになるのですが…


 終盤にかけて、ちょっとしたどんでん返し的なネタが仕込まれており、『実は単なるゾンビ映画では無かった』みたいな展開になっていくのですが、そこからの展開が色んな意味でグテグテ最高潮なんですよね。


 割と本気で『これ、マトモにお話が決着できるのかよ?』と思いつつ観てたのですが、グテグテにグテグテを重ねる事で、ラストでメチャクチャ唐突に『良い話』風な展開になるのは、あまりに強引すぎてちょっと笑いました。


 めっちゃ無理がある展開なのですが、ここまで無理矢理に『良い話』でまとめられると、逆に痛快で楽しかったです。(笑)
 (『終わり良ければ総て良し』を素で実践してるような映画(笑))

 


 総評としましては、やや癖が強いものの『そこそこ楽しめるレベルのゾンビものモンスターホラー映画』って感じの作品ですね。


 割とツッコミどころ満載なものの、むしろ『ツッコミどころが楽しい映画』というタイプのB級テイスト溢れる作品なので、そういう系列の作品が好きであればまあまあオススメかも?


 下品なノリも多いですし好みは分かれる内容ですが、そういうのにあまり抵抗が無いようで気になるようであればチェックしておいても良い一本かもしれませんよ。(むしろ、『好きな人はめっちゃ好きそう』な映画でもあるので…)