■■■「ファミリー・ディナー」■■■
(55点/サスペンス)
自分の太った体型にコンプレックスを抱える10代の少女シモーヌは、復活祭の休暇を利用してダイエットの指導を受けるために、管理栄養士で著名な健康食の研究家である叔母のクラウディアの元を訪れる。
叔母の指導に従いダイエットを開始する彼女だったが、指導は予想以上に非常に厳しいもののうえに、彼女に対して敵愾心をむき出しにする従兄弟のフィリップ、叔母の再婚相手でどこか得体のしれないところのある夫のシュテファンと過ごすうちに、徐々に不安な気持ちを募らせていく。
そして復活祭の当日が迫るなか、彼女は叔母一家に隠された恐ろしい秘密を知ることとなるが…
ダイエットのために栄養士である叔母の一家を訪れた少女が、その一家に秘められた恐ろしい『秘密』を知ることとなる…という、オーストリア製のサスペンススリラー映画。
歪んだ形の『家族』の関係を題材としたサイコサスペンス系のスリラー映画なのですが、いかにも欧州系サスペンスという感じの雰囲気映画的なテイストの強い作品です。
お話としては、スリラーというよりは家族ドラマを中心にストーリーが進んでいくような構成で、『ダイエットのために、栄養士である叔母の家族と共に復活祭の前の一週間を過ごす事となった少女が、家族と交流するうちに一家の「歪んだ関係」が明らかになっていき、徐々に不安を募らせていく』みたいな感じのストーリー。
ジワジワと、どこかいびつな『家族』の姿が明らかになっていくという構成はなかなか良くできており、観続けているうちにチリチリと首の後ろを逆なでされているような、何とも言えない不快な気分になっていきます。
不安を描く要素が直球的な緊張感とかではなくて『家族の関係のいびつさ』を少しづつ遠まわしに描いていく感じは、いかにも欧州映画らしいテイストですね。
家族の面々のキャラクターの掘り下げやら、『違和感』の正体へのミスリードも良くできており、サスペンスの構成としては悪くない印象です。
ただ雰囲気は悪くないのですが、欧州映画らしく非常にテンポが遅くて冗長な部分が多いのは気になるところ。
ラストはそこそこ盛り上がるものの、中盤での見せ場となるような部分もあまり無いですし、淡々とした作りのため途中でちょっとダレてしまいます。
オチの落としどころなんかは悪くないものの、終盤の展開もちょっと先が読めてしまうため、あまりドンデン返し感も無いですし、全体的にいま一つ盛り上がりに欠けるんですよね…
もうちょっと緊張感があるなり、盛り上がる部分があるなり、といった構成ならなあ…という感じでしたよ。
あと、途中で狩猟したウサギを解体するシーンがあるので、そういうのが苦手な人はちょっと要注意かも?
総評としましては、雰囲気は悪くないものの『いま一つ盛り上がりに欠けるサイコサスペンス映画』って感じです。
欧州系の雰囲気映画とかが好きならば、そこそこ楽しめる内容ではあると思いますが、強く推すような部分もあまりないですしオススメするには弱い内容かなぁ…
気になっているようであれば観るのを止める程ではないですが、慌てて観るような内容でもないので、急がないのであればどこかのサブスク系のサービスに入るのを待っても良い程度の一本かもしれませんよ…