NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「サムシング・イン・ザ・ダート」(50点/サスペンス)

■■■「サムシング・イン・ザ・ダート」■■■
(50点/サスペンス)


 ロサンゼルス近郊の古いアパートへ越してきたリーヴァイは、引っ越し早々に廊下で奇妙な『水晶の器』のようなものを拾う。


 中庭で隣人のジョンと出会った彼は、会話するうちに意気投合してリーヴァイの自室を訪れる事となるが、前の住人の忘れ物だろうと思い保管していた水晶の器が『妖しい光を放ちながら宙に浮かぶ』という奇妙な現象を目撃する。


 二人は事態に驚愕しながらも、なんとかしてこの現象を利用して一山当てる事が出来ないかと画策。


 謎の現象を調査しつつ撮影する形でドキュメンタリービデオを作成し、それを売り込もうとドキュメンタリーの制作を開始し、この現象に関連すると思われる様々な『奇妙な一致』を発見していくが…

 


 安普請のアパートの一室で『宙に浮かぶ水晶の欠片』という奇妙な現象を目撃した2人の中年男性が、一攫千金を狙ってその現象の謎を追うドキュメンタリー映画を作成する…という、SF風味のサスペンス映画。


 『自宅の側で超次元的な現象が発生して、その謎を調査する』という設定から、なんとなくクトゥルフ神話の「宇宙からの色」のようはコズミックホラー的な話かと思いきや、特にホラー的な要素は無くてSF風味のサスペンスドラマといったテイストの作品ですね。 (でも『超次元的な不可解な現象』という意味では、ちょっとだけコズミックホラー的なテイストも無くはないかも?)


 お話としては『安アパートの一室で「宙に浮く水晶の欠片」という奇妙な現象を目撃したくたびれた中年男性の2人が、人生の一発逆転を狙って現象の調査を開始し、その様子をドキュメンタリービデオとして撮影する』という、いわゆるモキュメンタリーテイストのストーリー。


 SFテイストといってもSF要素はアクマで『風味付け』程度で、メインの要素は『人生に疲れてくたびれた中年男性二人の、依存関係のような友情のような奇妙な関係性』を描いた感じの内容で、人間ドラマの要素の方が強めな印象。


 主人公のうちの一人が『元数学教師』という設定で、『宙に浮く水晶の欠片に秘められた幾何学的な特徴が原因で、何らかの重力異常を起こしているのではないか?』といった感じで謎の現象を調査していくのですが、調査が進むうちに『彼らの住む古いアパートの設計に隠された秘密』やら、『アパート建設当時のLAの都市計画に秘められた謎』やらが判明していく…という流れは謎解きテイストとして面白くて、「ムー」(オカルト雑誌)とかで良くある超常現象とか陰謀論系の話が好きであれば、なかなかに楽しめる印象。


 しかし前述のとおり、基本的には『二人の中年男性の人間ドラマ』の方がメインで、奇妙な現象の解明のための協力関係や依存関係が続いていくうちに、友情にも似た『二人の関係性』が微妙に変化していく様子が丁寧に描かれているといった感じ。


 ただ、この『オッサン二人の人間ドラマ』に割かれている尺がかなり長めで、『奇妙な現象』に対する謎解きがなかなか進まないうえに、2時間弱と映画全体の尺も長いためとにかく観ていてダレてくるのが辛いです。


 特に終盤は辺りは、あまりのダルさに早送りしようかと本気でちょっと悩むレベルでしたよ…


 また、SF要素は味付けで『人間ドラマ』がメインという構成って辺りからなんとなく予想は付くとは思うのですが、『奇妙な現象』に関する謎解きは『なんか分かったような分からないようなオチ』というありがちなパターンなので、そっち方面に期待している場合は肩透かしを食らわされるかも?


 オチに関しては『ちょっと意外性のある展開』で思ったよりも面白かったので、その部分に関しては悪くない感じかなぁ…


 ただ個人的には、この設定ならもうちょっと『トンデモ系の展開』でも良かった気はしますよ。

 


 総評としましては、低予算で作られた『どうにもダルい作りのオッサンの人間ドラマベースのSFサスペンス映画』って感じですね。


 SFっぽいアイデアは悪くないんだけど盛り上がりに欠ける内容ですので、アクマで二人の『主義や生き方の違うオッサン二人の関係性』を描いた人間ドラマがメインで、SF的な部分はオマージュ的なもの程度と捉えておいた方が良い作品でしょう。


 正直あまり推す要素はありませんが、人間ドラマとしてはそこまでツマんない訳でも無いので、『うらぶれた中年男性たちの友情』的なものに興味がある場合はチェックしてみても良い一本かもしれませんよ…