NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「リゾートバイト」(55点/オカルト:一部のファンにはオススメ)

■■■「リゾートバイト」■■■
(55点/オカルト:一部のファンにはオススメ)


 女子大生の桜は、引っ込み思案な性格のせいで春から通い始めた大学にもあまり上手く溶け込めないで、ストレスを貯める日々を送っていた。


 そんな桜の様子を心配した幼馴染の聡は、同じく幼馴染の希美と共に、3人で気分転換を兼ねて離島の旅館で短期のアルバイトを申し込む事となる。


 中年夫婦の経営する旅館で働き始めた彼らは、オフシーズンという事もありリ休暇を兼ねてリゾート地を楽しむが、そんなある日、桜は旅館の女将である真樹子が、毎晩の深夜の2時頃に行き止まりとなっている2階の廊下の奥に、ひっそりと食べ物を持って行っている事に気付く。


 女将の不審な態度に不気味なものを感じた彼らは、好奇心から女将が深夜にその場所で何を行っているのかを探ろうとするが…

 


 リゾート地の旅館の『開かずの間』に踏み入ったバイト学生が、禁断の場所に踏み入ったせいで恐るべき恐怖に晒されることとなる…という、オカルトホラー映画。


 いわゆるネットの都市伝説や実録怪談として有名な、「リゾートバイト」というエピソードを題材としたオカルトホラー映画ですね。


 同じ監督によって同じような題材で作られた「きさらぎ駅」異世界ものホラーと思わせて、主人公が異世界から脱出するRTAに挑戦する』というトンデモ系の作品になっていたのですが、本作も期待を裏切らないレベルの負けず劣らずにトンデモな感じの作品に仕上がっています。


 最近は、実録怪談とか都市伝説を映画化する際には、なんかトンデモ系の展開にするのが流行っているのでしょうか?
 (正直、面白いのでもっとやっていただきたい。(笑))


 お話としては『とある学生バイトの面々が、旅館に隠された「開かずの間」的な秘密の場所を発見するんだけど、その場所に足を踏み入れた事が原因でとんでもない恐怖に巻き込まれていく…』みたいな感じの展開で、ストーリーの『ベースとなる設定』はほぼ原典と同じような感じ。


 ただ映画の中では主人公が女子大生になっていたり、幽霊に追いかけまわされるようなチェイスっぽいシーンが追加されていたり、絵的に見栄えするようにアレンジされているのは悪くない印象です。


 しかし、元々のベースとなっているエピソードは、かなりドロドロとしたグロ系の『気持ちの悪い内容』なのですが、旅館とかも妙に新しい建物でですし、恐怖シーンも湿っぽさやグロっぽさが無くて、全体的に映像が小ギレイすぎて不気味さが薄くなってしまっているのは残念なところかも?


 終盤までは、主人公たちが取り憑かれてしまった『何者か』の存在の謎を追う形でお話が進んでいく感じで、緊迫感を盛り上げる展開としては悪くないのですが、原典と同様の展開すぎるせいで『開かずの間』にまつわる因習とかの解説がやたらと唐突な感があるので、この辺はもうちょっと上手くストーリーに盛り込んで欲しかったです。(まあ、原作が『実録怪談』なので仕方ない部分はありますが…)


 ただ、『開かずの間』にまつわる謎解きまではほぼ原作と同じ展開なのですが、終盤の展開がかなり予想外のとんでもない事に…


 ここからはネタバレになってしまうものの、ネタバレされても本作の面白さが損なわれるようなものではないと思われるので語ってしまいますと、『因習やらに関連する謎の儀式』を題材とした本格的なオカルトストーリーが進んでいたかと思いきや、終盤で『子供たちの魂を奪っていたのは実は八尺様だった(海で溺れたとか関係なかった)』という、原作には全くない驚愕の事実が判明!!


 唐突に登場した『謎の法力坊主と八尺様の法力バトル』みたいなトンデモ展開に突入していきます。(この坊主もどことなく『寺産まれのTさん』とかっぽい…)


 正直、この超展開の前までの部分は『ちょっとテンポが悪くて原作の雰囲気の再現度もイマイチだな…』と思いながら観ていたのですが、『八尺様バトル』に突入してからのテンポの良さとテンションの高さ、バカ映画っぷりはかなりハイレベルなので、お馬鹿系のオカルトホラーが好きな人には、この超展開だけのためにも是非とも観てみて欲しいところ。(笑)


 ただ個人的には、こういうお馬鹿ノリは好きですし原作にはないオチの落としどころなんかも悪くないのでオススメしたい気持ちもあるのですが、原作となる元のストーリーが結構ガチ目のオカルト的なストーリーなので、原作のガチの再現を期待してるようであればちょっと期待外れになるかも…ってのは気になるところかなぁ?

 


 総評としましては、全体的に見ると『やや微妙な出来のオカルトサスペンス映画』というのが正直なところかな?


 普通に『オカルト作品』として観ると、ちょっと盛り上がりに欠ける内容ですし、ホラーとして怖いかと言われると悩ましい部分もありますし、やや冗長さを感じる作品かも…


 ただ、微妙ながらも個人的にはかなり好きな部分もありますし、馬鹿映画やネタ映画としては一見の価値がある作品だと思いますので、そういう方面に興味がある人はチェックしておいても損は無い作品かもしれませんよ。