NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「真・鮫島事件」(50点/オカルト)

■■■「真・鮫島事件」■■■
(50点/オカルト)


 コロナ禍で外出の規制されていた時期、菜奈は高校の頃の部活仲間と6人で毎年恒例の『リモート飲み会』を行う事となる。


 しかし予定の時間になっても、メンバーの一人であるあゆみが参加して来ないことから不審に思っていると、あゆみのアカウントで彼女の恋人らしい男性が会議へと参加。


 彼は『お前たちと一緒に行ったこんな事になってしまった』と『あゆみの死体』と思われる映像を見せた後に、画面の向こう側で何者かに襲われて姿を消してしまう。


 映像を見た彼らは急いで警察に連絡しようとするが、電話が一切繋がらないうえに、部屋からも出られない状態になっている事に気付く。


 パニックに陥った彼らは、『あゆみに何があったのか?』とメンバーを問い詰めたところ、裕貴と鈴とあゆみの3人で『鮫島事件』という『真相に触れたものは必ず死ぬ』と言われるネット怪談の発祥の地とウワサされる廃ホテルに肝試しに訪れた事と、肝試しから帰って来て以降、あゆみの様子がどこかおかしかった事を知らされるが…

 


 『関わったもの全てが死ぬ』とネットで噂される『鮫島事件』という謎の事件を題材とした、シチュエーションホラー系のオカルトサスペンス映画。


 以前にうちのブログでも感想を書いた「きさらぎ駅」「リゾートバイト」の監督である永江二朗監督によるネット怪談シリーズ(?)の新作なのですが、「きさらぎ駅」や「リゾートバイト」がかなり変化球だったので、本作もどんな奇抜な変化球が飛んでくるのかと期待していたのですが…


 『えっ、この監督ってこんな普通のホラー映画も撮るんだ』と逆にビックリしてしまうぐらいに、オーソドックスな感じのオカルトホラー映画になっています。(笑)


 お話としては『学生時代の友達同士で「ネット飲み会」を行っていたところ、仲間の3人が前日に「肝試し」と称して「鮫島事件」に関わる心霊スポットを訪れていた事が判明。その呪いによってネット飲み会の参加メンバーが次々と恐怖に見舞われる事となっていく…』みたいな感じの展開。


 構成的には、「アンフレンデッド」「ズーム/見えない参加者」といった作品と同様に複数人での『ネット通話の画面』を表示しながらリアルタイムにホラーストーリーが展開していくという感じなのですが、前述の2作ほど『ネット通話の画面』に限定してお話が作られている感じでも無くて、どちらかと言えば『マンションの一室を舞台としたシチュエーションホラー』的なテイストの強い作品という印象。


 本作の題材となる『鮫島事件』に関しては、ネット怪談が好きな人であれば知っていると思いますが、『牛の首』と並んで『実体のない都市伝説』と言われており、『とてつもなく恐ろしい』とか『口にしてはならない』とかって言うウワサのみが広がっていて、『実体となる事件や怪異が存在しない』タイプの怪談なんですよね。


 この『実体のない都市伝説』をベースにどのように話を作るんだろうと思っていたのですが、作中では『鮫島事件』の正体は『ネット民によるリンチ殺人事件(とその実況配信)』とされており、月並みな設定ながらも『ネットで口外してはならない事件』となった理由付けを上手く取り入れているのは、なかなかに上手い設定だなという印象。


 他にも山の牧場』やらといった幽霊屋敷探検系のネット怪談っぽいネタも取り入れられた『色んな都市伝説のハイブリッド』的な設定となっており、他のシリーズと同様にその手の怪談が好きな人を色々と楽しませるような作りになっているのは、いつものこの監督の手法という感じです。


 『ネット通話の画面越しに他のメンバーが次々と危機に晒されていく』という展開は、他のネット通話系ホラー作品と同様といった感じですが、小さい画面のため迫力不足な部分はあるものの、助ける事も手出しする事も出来ないもどかしさと、徐々に『自分の番』が迫ってくる恐怖といった感じの盛り上げ方としては悪くありません。


 また、中盤以降の『謎解きパート』的な展開は、なかなかに予想外の演出という感じで、『ホラー系アドベンチャーゲームの謎解き』の実況配信を観ているようなテイストで面白かったです。


 ただ、「鮫島事件」という『全てが謎につつまれた事件』を題材としている割には、いかんせん設定が割と月並みな印象なのと全体的に『いかにも低予算ホラー』って感じで、やや盛り上がりに欠けること、あと最後も『定番の投げっぱなし展開』という感じで面白味に欠けるのは残念なところかなぁ…


 せっかく永江監督の作品なんだから、もっと『トンデモないオチ』を見せて欲しかったですよ。(笑)

 


 総評としましては、低予算で『いま一つ盛り上がりに欠けるネット怪談ものオカルトホラー映画』って感じですね。


 シチュエーションホラー的なオカルト作品としては平均点を付けれるレベルの出来なのですが、「きさらぎ駅」や「リゾートバイト」ほどブッ飛んだ内容でもないですし、「アンフレンデッド」みたいにネット通話にこだわった尖った演出の作品でもないので、やや中途半端な感がある印象です。


 とはいえ、都市伝説系のオカルト作品としては普通に楽しめる内容ではあるので、題材とかが気になるようであればチェックしておいても悪くない一本かもしれませんよ。