■■■「エンプティ・マン」■■■
(60点/オカルト)
その街に住む元警官ジェームズは、一年前に妻子を亡くして未だにショックから立ち直れないでいた。
そんな矢先に、懇意にしていた隣人の娘・アマンダが『エンブティ・マン(無の男)がやらせた』という謎のメッセージを残して行方不明となる事件が発生。
警察は失踪を家出ではないかと判断して調査を打ち切ったことから、彼は独自に事件の調査を開始するが、事件を追ううちに若者の間で『エンブティ・マン』という謎の怪人の都市伝説が囁かれており、『エンブティ・マン』に関わった人々が次々と行方不明になったり亡くなったりしている事を知る。
事件を追ううちに『エンブティ・マン』が『ポンティフェックス研究所』というカルト集団と関係がある事をつきとめた彼は、真相を探るためにカルト集団へのアプローチを試みるが…
隣人の行方不明の謎を追ううちに『エンブティ・マン(無の男)』の都市伝説とカルト教団へと辿りついた男が、『エンブティ・マン』に関わる恐るべき秘密を知る事となる…という、オカルトサスペンス映画。
アメリカのグラフィックノベルを原作としたオカルト系のホラー映画で、公開当初から気にはなっていたものの見逃していたのですが、少し前にネット配信が開始されたという事で遅ればせながら鑑賞してみました。
観る前は、タイトルや雰囲気からしててっきり「キャンディマン」的な怪人系のスラッシャーホラーかと思っていたのですが、お話としてはどちらかというとカルト系のホラーのテイストの強い作品でしたよ。
お話としては、『事故で妻と息子を亡くした元刑事が隣家の娘の行方不明の謎を追う事になるんだけど、事件を追ううちに「エンブティ・マン」という謎の存在とそれに関わるカルト教団の秘密を知る事となる…』みたいな感じの展開。
B級ホラーながらも『20世紀FOX』という大手のブランドで製作されていることもあり、なかなか気合の入った作りの作品となっています。(同社で作られているグラフィックノベル系のシリーズの新作という扱い。)
映像・雰囲気ともにけっこう良く出来ており、不気味さを感じさせる空気感やらカルト集団の異様さを匂わせる演出なんかが、非常に良い味を出しているのは良い感じですね。
お話としては、主人公が『エンブティ・マンとカルト集団、隣家の娘の失踪との関係は?』という秘密を追う形でお話が進んでいく感じで、アクマで『謎解き』がメインのストーリーという印象。
ホラー要素はそこまで強くないものの、主人公を取り巻く環境やらキャラクターの掘り下げもシッカリとしており、ドラマとして普通に楽しめる内容です。
また、『禅』とかの『仏教的な思想』を題材としたカルト集団の描写も面白くて、仏教的な思想も捉え方やら視点によっては『恐怖の対象』として観る事も出来るのだな…という感じの、キリスト教圏らしさを感じさせる独特な世界観も興味深いです。
ただ世界観やら雰囲気やらは非常に良いのですが、とにかく『尺が長い』のが気になるところ。
雰囲気映画としては悪くないのですが、お話の展開が非常にスローテンポで尺が全体で140分近くあり、お話が真相に近づくまでだけで1時間以上かかってしまうのは、流石にちょっとテンポが悪く感じてしまいました。
また、終盤の『カルト集団の正体』っぽい部分に迫ってからの展開は割と盛り上がりるものの、全体的に派手なシーンが少なくて山場に乏しい印象があるのは残念なところかなぁ?
尺も含めて原作に忠実なストーリーや演出になっているのかもしれませんが、映画としてはもうちょっとシンプルにまとめてくれても良かった気がしますよ。
あと、終盤で明かされる『主人公の秘密』っぽいのは悪くなかったのですが、オチはもうちょっとパンチが効いてても良かったかも?
総評としましては、『普通に良く出来たカルト系オカルトホラー映画』って感じの作品ですね。
雰囲気映画としては悪くないですし、カルトものとしても『禅』の概念を扱うという『今まであまり無かった感じの切り口』で、目新しさを感じられたのも良い感じ。
唯一、尺が妙に長めなところは気になりますが、設定やらが気になるのであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。