■■■「トンソン荘事件の記録」■■■
(55点/オカルト)
1992年、釜山の旅館である「トンソン荘」で、アルバイトの男性が恋人を連れ込み、隠しカメラで部屋の様子を撮影しながら殺害するという事件が発生。
犯人の男性は心神耗弱による無罪を主張しつつも、服役中に自殺を遂げてしまう。
その殺人事件の一部始終が撮影されたビデオは、残虐性から当局によって封印された後に行方不明となってしまうが、そのビデオに『奇妙な映像』が映り込んでいると噂を聞いた取材班は独自に調査を開始。
消えたビデオの行方と事件に隠された秘密を追ううちに、恐るべき真相へと近づいて行くのだった…
とあるドキュメンタリー取材班が、かつて釜山の旅館で撮影された『殺人事件の現場』が撮影されたビデオに『謎の映像』が映っているという奇妙なウワサを追ううちに、自分たち自身も恐るべき事態へと巻き込まれていく…という、韓国製のフェイクドキュメンタリー風オカルトサスペンス映画。
お話としては『かつての不可解な殺人事件にまつわる奇妙な噂を耳にした番組スタッフが、その『殺人現場の録画映像』に秘められた『謎』と『呪い』を追ううちに恐るべき真実へと近づいていき、やがて自分たち自身もその『呪い』にとらわれていく』みたいな感じのお話ですね。
一応、『殺人現場の録画映像』が『呪いのビデオ』みたいな扱いになってはいるのですが、むしろ『呪いのビデオ』がお話の中心ではなくて『トンソン荘事件に隠された恐るべき真実の謎を追っていく』みたいな部分がメインの要素となっており、どちらかというとミステリとかサスペンス的な要素が強い作品といった印象です。
基本的には『謎解き』がメインのストーリーといった感じで、主人公である取材班の面々が当時の不可解な事件の謎を追ううちに、次々と新たな『きな臭い事実』や『血なまぐさい事実』が発覚していき、深入りする事によって恐るべき事態へと巻き込まれていってしまう…みたいな感じの展開。
といっても、事件の謎を追うのに地元の霊媒師による儀式やら降霊術やらを行うため、完全にサスペンス中心というではなくてオカルト要素もそこそこ強めな印象。
ただ、『事件を調査するうちに新たな真実が次々と判明していく』という展開は悪くないのですが、謎解き要素が全体的に淡々としておりいま一つ盛り上がりに欠ける印象があるのは気になります。
また、『過去の事件』を追うフェイクドキュメンタリーの割には登場人物が妙に多くて、人間関係が分かりづらくて全体的に妙に難解なストーリーになってしまっているのも気になるところ。
逆に謎解き要素以外の、地元の霊媒師による『降霊の儀式』みたいなシーンは物凄く不気味で良い雰囲気を出しており、土着信仰とかを題材としたオカルトものの『雰囲気映画』としてはなかなか良い味を出しているので、むしろサスペンス要素を控え目にしてそちらを中心に描いた方が良かったんじゃないか…という気がします。
前述のとおり難解なうえに全体的に説明不足で、『どうなるのが正解なのか』の着地点が見えてこないまま話が進むため観ていてスッキリしないんですよね…
ラストの『写真がいっぱいあった祠』の意味も良くわかりませんでしたし、叔父と父親と息子の関係性とかもいま一つ判然としなくて、なんか全体的にモヤっとする作りの作品でしたよ。
総評としましては、『いまひとつ盛り上がりに欠ける低予算系フェイクドキュメンタリー風味のオカルトサスペンス映画』って感じですね。
土着信仰の儀式とか雰囲気映画として悪くない部分もあるのですが、『呪いのビデオ』とか『サスペンス要素』とか詰め込みすぎているせいで、全体的にお話がとっ散らかりすぎててオススメするにはちょっと弱いかな…という印象。
部分的には良いところもありますので、こういったフェイクドキュメンタリー系のホラーとかが好きで気になるようであれば、チェックしてみても損は無い一本かもしれませんよ。