■■■「エクソシスト 信じる者」■■■
(60点/オカルト)
出産の際の事故で妻を亡くしたヴィクターは、男手ひとつで13歳になる娘のアンジェラを育てていた。
そんなある日、アンジェラは親友のキャサリンと一緒に森に出かけるが、そのまま二人して行方不明になるという事件が発生。
二人は三日後に遠く離れた牧場で保護されるが、行方不明となった間の記憶を無くしている事が判明する。
更にその直後から、彼女たちは突然暴れだしたり自傷行為を行うといった異常な行動を取るようになっていくが、病院の検査では原因が知れず困惑することに…
彼女たちが行方不明になる前に、森で『降霊術』を行った事を知ったヴィクターは、異常な現象から『娘たちが悪魔に取りつかれたのではないか』と考えて、悪魔祓いの専門家であるクリス・マクニールに助けを求めて、悪魔祓いを行おうとするが…
2人の少女が悪魔に取り憑かれてしまい、教会の助けを得られないその家族たちが少女を救うためになんとかして悪魔祓いを行おうとする…という、オカルトホラー映画。
ホラーファンにはお馴染みのブラムハウスによる新作で、世界で一番有名な悪魔祓い映画である「エクソシスト」のシリーズの正当な続編に当たる作品です。
「エクソシスト」って割と正統派の悪魔祓い映画として名前が知られている作品ながらも、特に続編以降は『悪』の存在そのものを題材としている、結構難解な世界観や設定のものが多かったりするのですが、本作もシリーズの例に漏れず『割と難解なお話』という印象。
ストーリーとしては、『森の中で降霊術を行った2人の少女が悪魔に取り憑かれてしまい、教会に相談しても取り合ってもらえない両親たちが協力して娘たちの身体から悪魔を追い出そうとする』みたいな感じのお話なのですが、なかなか一筋縄では行かない感じの設定になっているのが面白いところ。
一般的な悪魔祓い映画と違って、本作では教会は『体面ばかり気にする役立たず』で悪魔祓いを行ってくれず(実際、条件とか規則とかが結構厳しくて、簡単には悪魔祓いを引き受けてくれないらしい)、娘たちを救うために主人公たちが独学で『悪魔祓いの方法論』を学びつつ、元シスターやらオカルト学者やらが協力しあって悪魔に立ち向かっていくという設定は、なかなかに意外性があって良い感じです。
『悪魔祓い』を体系的に読み解くに当たって、宗教学的な観点やら『神』と『悪魔』とは果たして何かみたいな観点が語られるのですが、この内容は宗教学とかが好きな自分からしたら面白いものの、全体的にちょっと難解。
そういった部分に割と尺が割かれていることもあって、全体的にテンポが悪くてオカルト描写も控え目で、ちょっと物足りない部分があるのは困りものです。
また『悪』とは何かを読み解こうとする割には、そこまで噛み砕いて語ってくれる訳でも無いので、結局『何なのか良くわからないけど信じる者は救われる』みたいな感じのオチになってしまっているのも、ちょっとモヤっとします。(笑)
あと、終盤の『悪魔祓いパート』は熱くて面白いんですが、そこまでが結構長い事や、登場人物も妙に多くてちょっとキャラクターが把握しにくい事も気になる部分かも?
ラストのオチも微妙にモヤっとする部分がある感じですし、元祖の『悪魔祓い映画』である「エクソシスト」の正当な続編が、一番『オーソドックスじゃない悪魔祓い映画』みたいになってしまっているのは、ある意味で面白い現象かもしれませんね。
総評としましては、なかなか良くできているものの、ちょっと捻りの利いた変化球の『悪魔祓いもの』のオカルトサスペンス映画って感じですね。
系列的には「エクソシスト3」辺りが好きだった人であれば、本作も割と好きなテイストだと思うので、そういうのが好きな人には割とオススメできる一本ではないかと…
やや個性が強い内容ですし、あまり正統派の『悪魔祓い映画』って感じではないので割と好みを選ぶ作品だとは思いますが、設定とか独特の世界観とかが気になるようであれば、チェックしておいても損はない作品だと思いますよ。