■■■「ヴァチカンのエクソシスト」■■■
(75点/オカルト:オススメ)
1987年、スペイン・カスティーリャの『サン・セバスチャン修道院』で、少年が悪魔に取り憑かれたと思われる事件が発生。
悪魔祓いの専門家であるアモルト神父は、教皇からの依頼によって対応のために現地に赴く事となる。
悪魔に取り憑かれた少年と対峙した神父は、悪魔が神父以外に知りえない『秘密』を語ったことから、本物の悪魔憑きであると判断。
更に『恐ろしく強力な悪魔』であると予想された事から、悪魔の力を弱めて少年を救うために『悪魔の正体』とその『目的』を探るべく調査を開始するが、やがて、この修道院がかつて異端審問が行われ、多くの罪のない人々が処刑された場所であると判明し…
ヴァチカンの最強エクソシストである主人公が、かつて凄惨な事件のあった修道院に出現した強力な悪魔と戦いを繰り広げる…という、オカルトサスペンス映画。
『ラッセル・クロウが神父役として主演』した事で話題となったエクソシスト映画で、劇場公開の際に割と評判が良かったので期待しつつ観てみたのですが、確かにこれは非常に良くできた良作という印象。
『悪魔祓い映画の新機軸』と言っても良いような新作オカルトホラー映画でしたよ。
武闘派であるラッセル・クロウが神父役と聞いた時に、以前に別の映画で虎と戦ってたぐらいだし『悪魔も素手で殴り倒して撃退でもするんだろうか?』みたいなネタが良く言われていたのですが、実際の中身の方も『当たらずとも遠からず』と言ったような内容。
主人公は戦争経験者である元兵士(パルチザン)で、悪魔祓いの手法も『悪魔を豚に憑依させてショットガンで撃ち殺す』みたいな、割と武闘派な戦法を使ったりする『優秀だけど型破りなワイルド神父』みたいな設定で非常に魅力的なキャラに仕上がっており、『ファンの需要を滅茶苦茶良く分かってらっしゃる!!』という印象です。
お話としては、『スペインの古い教会で改装工事中に少年が悪魔に取り憑かれて主人公たちが対応に派遣されるんだけど、悪魔を撃退するためにその目的を探るうちに、その場所が異端審問時代に凄惨な歴史を持つ場所だと判明していき…』みたいな感じの展開。
ストーリーの前振りとなる部分も、『主人公(神父)や舞台となる修道院の説明』的なシーンが少しある程度で、特に無駄に尺を取るようなシーンも無くお話が進んでいき、非常にテンポ良くサクサクと観れる作りなのは良いですね。
要所要所で挿入される悪魔祓い(悪魔との対決)のシーンも普通に迫力があってお話のアクセントとなっており、悪魔のパワフルさを感じさせる良い演出となっています。
主人公役のラッセル・クロウが見るからにタフそうなので、『この人だったら何かあってもそうそう死なないだろ』という無駄な安心感があり、悪魔の派手な攻撃に耐えうる肉体を備えているのも良い感じ。
また本作には主人公だけでなく、もう一人のメインキャラとして現地で出会った『新米の若手神父』が登場するのですが、この二人の関係が『ベテランの最強エクソシストと新米の若手神父のバディもの』として描かれており、『バディもの』作品としても楽しめる、一粒で二度三度と美味しい作品に仕上がってるんですよね。
謎解きパートも、テンポが悪くなるほど難解な訳でも無く普通に楽しめる内容ですし、バディ要素も含めたラストの悪魔とのバトル展開も滅茶苦茶熱いですし、全体を通して非常に良くできた作品という印象でしたよ。
ただオカルトホラー映画として観ると微妙な部分もあって、一応は『悪魔祓い』をメインに描いているものの、バトル的なノリに終始しているせいもあってか『怖さ』は殆ど無いという事。
悪魔の『強力さ』は再三に渡って描かれるのですが、『恐ろしさ』という部分は殆ど描かれておらず、ホラー的な要素に期待してると肩透かしを食らってしまう恐れがあるのは気になるところかも?
ノリ的には『次回作も作る気まんまん』みたいな終わり方でしたので、是非ともシリーズ化して『ラッセル・クロウVS悪魔軍団』の戦いを描く新機軸のエクソシスト映画として、続きを制作していって欲しいところですよ。
総評としましては、全体的に完成度の高い『非常に良くできた新機軸のバトル系オカルトサスペンス映画』って感じですね。
『ラッセル・クロウが神父役として主演の悪魔祓いものオカルト映画』って聞いた際に、ファンが期待する要素は概ね満たされているような作品ですので、その設定で興味を持った人は間違いなく観ておいて損はない作品だと言えるでしょう。
(逆に「エクソシスト」みたいな本格ホラーを期待してると肩透かしを食らう恐れはありますが…)
現時点でAmazonプライム会員であれば無料で観れる作品ですので、会員の方で気になる場合は観ておく事を強くオススメしておきたい一本ですよ。