NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「フロム・ディープ・ウォーター」(60点/サスペンス:結構オススメ)

■■■「フロム・ディープ・ウォーター」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)


 かつて海上でのバカンス中にサメに襲われて姉と恋人を失いつつも一人で生き残ったリズは、それがトラウマとなり事件から1年経った今も毎晩のように『サメに襲われる悪夢』に悩まされ、慢性的な睡眠不足へと陥っていた。


 カウンセリングに通って治療をづづける彼女だったが、症状は改善されず、やがて悪夢の中に登場するサメが現実世界でも姿を現すようになり、日中構わず彼女に襲いかかってくるという幻覚まで観るようになっていく。


 事件後に出会った新たな恋人のロベルタは、彼女に寄り添いつつ一緒にトラウマを乗り越えようと努力してくれるものの、姉たちを死なせてしまった罪の意識を拭うことの敵内彼女の症状は更に悪化していき、遂にはサメだけで無く、死んだはずの姉と恋人の霊までもが彼女の前に姿を現すようになっていき…

 


 サメに襲われて大切な人を失いつつも一命を取り留めた女性が、そのトラウマが原因で日常的に『サメの幻覚』を見るようになっていく…という、サメ映画風味のサイコサスペンス映画。


 サメ映画テイストのある低予算のサスペンスなのですが、意外とシッカリと作られていて予想以上に楽しめる内容の作品でしたよ。(多分、ネット配信専用タイトル?)


 お話としては『サメに襲われて姉と恋人を失いつつも自分だけはなんとか生き延びた女性が、そのトラウマから毎夜のようにサメに襲われる悪夢に悩まされ、遂には現実世界でまでサメに襲われる幻覚を観るようになっていく』みたいな感じの内容。


 基本的に『サメ要素』は、悪夢の中で毎夜のように主人公に襲い掛かってくるという感じなので割と何度も襲撃シーンがあるのですが、『トラウマシーンのリプレイ』みたいな感じで同じ場面が使いまわしで繰り返されるため、特に序盤は物足りなさを感じる印象。


 でも、中盤辺りになって『サメ』が現実世界に侵食するようになってきてからは、まるで「ゴーストシャーク」のように、水たまりやらクローゼットやらからサメが飛び出して襲い掛かってきたりと、意外性のあるアクションで割と楽しませてくれます。


 ただ本作のサメ要素は作中のプライオリティとしては割とオマケ程度で、メインの要素はアクマで『サイコサスペンス的な部分』という印象。


 特にお話が盛り上がってくるのは、中盤の『サメに食われた姉の幽霊』が登場するようになった辺りからで、狼男アメリカン」の『友人のゾンビ』のようにゾンビ化した姉や元恋人が主人公の元に現れて、矢鱈と雄弁に語りかけてくるようになるという展開は、なかなかに意外性があって面白いです。


 また最初はハッキリとしなかった、トラウマの原因である『サメ襲撃事件』の全貌が、幽霊たちとの会話の中で徐々に明らかになっていくという構成や、その中で幽霊たちから語られる『意外な要求』という『新たな謎』が出てくるという作りもなかなか上手いです。


 主人公のキャラの掘り下げもシッカリとしており、最初はちょっと煮え切らない態度にイライラさせられるものの、終盤ではキチンと感情移入できるようなキャラになっているのも良い感じ。


 ラストのオチに関しても、ちょっと唐突感はあるものの割と上手い落としどころだと思いますし、全体的に予想以上に良くできた作品って感じでしたよ。

 


 総評としましては、低予算でB級色は強いものの『予想外の展開やギミックを上手く利用した、意外と良作のサイコサスペンス映画』ですね。


 サメ要素やら幽霊要素やら、なかなか変化球的な構成が多くて思った以上に楽しませてくれますし、ややテンポの悪さや見せ場の少なさはあるものの全体的には及第点という印象。


 ただサメ要素に期待していると割と『オマケ程度』で意外とアッサリした扱いですので、その辺は過剰な期待をしないように注意が必要かもしれませんが、設定やらが気になるようであればそこそこオススメ出来るレベルの一本だと思いますよ。