NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「サンクスギビング」(70点/スプラッタ:オススメ)

■■■「サンクスギビング」■■■
(70点/スプラッタ:オススメ)


 感謝祭(サンクスギビング)発祥の地であるマサチューセッツ州プリマスでは、今年の感謝祭に向けての準備で街全体が盛り上がりつつあったが、1年前の感謝祭でのディスカウントスーパーでのセールで、『狂乱した客たちの乱闘』により複数名の死亡事故が発生した事もあり、どこかピリピリとした空気が漂っていた。


 そんな矢先に、街のダイナーで働く女性が何者かによって殺害されて、その死体が晒されるという不気味な事件が発生。
 更に続いてかつてのスーパーの警備員が殺害され、街の創立者である『ジョン・カーヴァー』を名乗る謎の人物の手によって、『感謝祭の食卓に並ぶ来客』に見立てられた死体の写真としてSNSに晒されることとなる。


 被害者の共通点から、警察は『去年の感謝祭の事故に関わった人物』が犯人に狙われているのではないかと予測するが、そんな矢先に『昨年の事故の引き金』となった高校生グループのジェシカたちは、殺人鬼と思われるジョン・カーヴァーを名乗る人物からタグ付けされた事から、自分たちが次のターゲットとして狙われているのではないかと恐怖するが…

 


 感謝祭(サンクスギビング)を目前に控えたアメリカの地方都市で、仮面をつけた正体不明の連続殺人鬼によって凶行が繰り広げられる…という、ゴア要素強めの青春スラッシャーホラー映画。


 「ホステル」とか「グリーンインフェルノとかゴア系ホラー作品でお馴染みの、イーライ・ロス監督による新作スラッシャーホラー映画で、劇場で公開された当初からなかなか評判が良かった本作なのですが、確かにコレは評判に違わず非常に良くできた作品ですね。


 青春スラッシャーホラー映画と言えば、かつては「スクリーム」やら「ラストサマー」といった人気作を多く出しながらも、このところはヒット作に恵まれていない印象があったのですが、これは久々のヒット作というか、イーライ・ロス製の青春スラッシャーホラー映画の新シリーズ』としてシリーズ化を期待してしまうぐらいに、非常に良くできた新作という印象です。


 お話としては、『感謝祭の準備に湧くアメリカの地方都市で「街の創設者の仮面」を付けた謎の殺人鬼によって連続殺人が発生。殺人鬼の目的が「昨年の感謝祭での死亡事故」への復讐てある事が判明し、その事故のきっかけを作った主人公たちの高校生のグループが命を狙われる事となり…』みたいな感じの展開。


 構図としては『謎の連続殺人鬼』VS『高校生の仲良しグループ』といった割とありがちな構図ではあるのですが、そこは流石はイーライ・ロス監督らしく一筋縄ではいかない構成になっており、殺人鬼の登場する前から『感謝祭のセール会場で狂乱した客が殺し合いの乱闘』をはじめてみたりと、お話の導入部分から悪趣味な見せ場が全開のフルスロットル状態で楽しませてくれます。


 イーライ・ロス監督の映画というと、なんとなく『話が動き出すまでの若者のバカ騒ぎパートが無駄に長い』みたいな印象があるのですが、本作では殺人事件が起こる前から見せ場が準備されてて人死にが出まくってくれますし、話が動き出した後も殺人鬼が景気よく犠牲者を殺しまくってくれるので、非常にテンポ良くまったく退屈している暇が無い作りになっているのは良いところ。


 殺人鬼の殺害方法に関しても、殺害シーン毎に『様々なシチュエーションや趣向』が凝らされていますし、残虐描写もかなり強めなのでスプラッタ系の作品が好きな人にもオススメできる内容。
 殺人鬼が『感謝祭』に見立てて、キチンと『テーマを持った殺害方法』を準備している辺りも、イーライ・ロス監督らしい悪趣味さとこだわりが感じられて面白いです。


 また単にゴア描写強めのハイテンションなスラッシャーホラーというだけではなく、「スクリーム」シリーズ等のようにキチンと『サスペンス要素』にも力を入れて作られているのは良いところ。


 殺人鬼の正体を突き止める際のミスリードの仕込み方も上手いですし、中盤からちょっと『意外な展開』に突入していき、先の流れが全く読めなくなるような構成なのも良くできています。


 あと、主人公たちのキャラの掘り下げも割とシッカリしていて良い感じなのですが、序盤の展開で描かれる主人公たちの姿があまりにも『腹の立つアホな若者』なせいで、主人公たちにあまり感情移入できないのは、ちょっと困りものかも?(むしろ、『サッサと殺されろよ』と思いながら気楽に楽しめるという話も…(笑))


 オチの落としどころなんかも上手いですし、続編があってもおかしく無さそうな作りでしたので、是非ともシリーズ化して『青春スラッシャーホラー映画の新潮流』を作り出して欲しいものですよ。

 


 総評としましては、『非常に良くできたスプラッタ系青春スラッシャーホラー映画』って感じですね。


 ジャンル系作品としては、数年に1本ぐらいしか出ないレベルの良作だと思いますので、スプラッタ映画好きやらスラッシャーホラー好きな人であれば、間違いなく観ておいて損は無い一本ではないかと…


 ただ、イーライ・ロス監督の作品らしくグロ要素も強めなうえに悪趣味な内容ですので、「スクリーム」や「ラストサマー」と違って『グロ描写とかに抵抗がある人にはオススメし辛い作品』なので、その辺は要注意かもしれませんよ。