NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「X エックス」(40点/スラッシャー)

■■■「X エックス」■■■
(40点/スラッシャー)


 1979年のテキサス。
 女優のマキシーンと、その恋人でマネージャー兼プロデューサーのウェインは、他の俳優や監督たちと6人で自主製作のポルノ映画の撮影のために人里離れた片田舎にある牧場を訪れる。


 牧場主の老夫婦に挨拶を済ませた彼らは、牧場主たちの監視するような不気味な態度に異様なものを感じつつも無断でポルノ映画の撮影を開始するが、その牧場主たちは実は高齢の連続殺人鬼だったのだった…

 


 1980年頃のテキサスで、殺人夫婦である牧場主の老夫婦の元に訪れた若者たちが恐るべき体験をする事になる…というスラッシャーホラー映画。


 カルトを題材としたサクラメント 死の楽園」のタイ・ウェスト監督の撮った作品という事もあり、どことなくジットリとした感じの独特のテイストが感じられる内容です。


 お話としては『ポルノ映画の俳優と製作スタッフが老夫婦の経営する牧場で映画をゲリラ撮影するんだけど、実はその老夫婦たちが高齢の殺人鬼でスタッフ達が次々に命を狙われていく…』みたいな感じの展開。


 80年頃のアメリカ南部の田舎町が舞台で、泊まりに来た客をワニに食わせるシーンがあってみたりと、シチュエーション的に「悪魔の沼」辺りをリスペクトしてそうな雰囲気を受けるような内容です。


 全体的に湿度の高い『嫌な感じのテイスト』が満載の作品で、80年台のスラッシャーホラー的を思い起こさせるようなノリに加えて、主人公たちがポルノ映画を撮影していたりする辺り、『死と性』といった感じのものが作品のテーマになっている印象。


 容赦なく若者を殺しまくる老夫婦のバイオレンスっぷりはなかなかインパクトがあるのですが、それ以上に『ジジババのラブシーン』の方が色んな意味でキツいという、別の意味で観てて辛い映画だったりします。(笑)


 また、ラスト付近の『殺人鬼の婆さんからの主人公へのセリフ』とかから、作品テーマ性も分かりやすく、映画としての湿度の濃さもあって色々とインパクトは強めの作品ですね。


 ただ、バイオレンスさやスプラッタ描写は思ったよりも強めではあるのですが、いかんせん登場人物が少なくて犠牲者も少ないため、見せ場があまり多くなくてやや物足りなさを感じさせられてしまうのは残念なところ。


 また序盤のポルノ映画の撮影シーンが無駄に長くてお話が動き出すのが遅いため、個人的には観ていて『ポルノシーンはもうええわ』って感じでどうにも冗長さを感じてしまったのは困りもの。


 主人公と老夫婦のキャラをシッカリと掘り下げたかったのかもしれませんが、もうちょっとお話の展開が早くて犠牲者が豊富でも良かった気がします。


 殺人鬼の殺害シーンもグロい割にアッサリしてるので、もうちょっと犠牲者の人数とバリエーションを増やして欲しかったかなぁ…


 あと、個人的な要望としては『裏の沼に住むワニちゃん』は、もうちょっと出番が欲しかったところですよ。(笑)

 


 総評としましては、雰囲気やプロットは悪くないものの『ちょっと物足りなさの残るスラッシャーホラー映画』という感じですね。


 作品のテーマ性やら老夫婦の殺人鬼といった題材、ジトっとした感じのテイスト等と悪くない部分も多いのですが、ちょっとテンポの悪さと冗長さが目に付くのは残念なところ。


 強く推すには弱いですが、本作のプロットやら80年代的なホラーのノリが好きであればチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。