NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「MAKO 死の沈没船」(30点/サスペンス)

■■■「MAKO 死の沈没船」■■■
(30点/サスペンス)


 ドキュメンタリー映画の映画賞の受賞を惜しくも逃したラナは、次の映画コンテストに向けて新作映画の製作を開始する事となる。


 新たな映画の題材がなかなか決まらないなか、新人スタッフであるガラムから30年前に沈没して400人以上の死者を出したという大型客船『セーラムエクスプレス』と、その沈没場所に近づくと『ダイバーがエネルギーを吸い取られたかのように生気を失ってしまう』という奇妙なウワサに興味を持ち、次回の映画の題材にする事となる。


 映画のスタッフたちと地元のダイバーであるムラドを含む9人で、撮影場所となる沈没船の下見のためにダイビングを行った彼女たちだったが、撮影中に突如として巨大なサメが彼らを襲撃し、スタッフの一人を食い殺すという事故が発生。


 とっさに船の中に逃げ込んだ彼らは、その場所が巨大な人食いザメの群れの巣窟となっている事を知るが…

 


 ドキュメンタリー映画の撮影のために曰くつきの沈没船の下見に訪れたスタッフたちが、巨大な人食いザメの群れに襲われるという生物パニック風味のサスペンススリラー映画。


 『エジプト製のサメ映画』という、なかなかに珍しいシチュエーションの映画ですが、実際の中身の方はサメ映画というよりも人間ドラマが中心のサスペンススリラー映画という感じの作品です。


 お話としては、『映画撮影のために曰くつきの沈没船の下見にダイビングに訪れたスタッフたちが、人食いザメの群れに襲われて沈没船の中に閉じ込められてしまう』みたいな感じのストーリー。


 『400人以上の死者を出した曰くつきの沈没船』のプロットやらアイデアは悪くないと思うのですが、正直な感想を言ってしまうと色んな意味で中途半端で作りの良くない作品という印象です。


 まずパッケージとかからして、いかにも『生物パニック映画』のような雰囲気をかもし出している割には、実際の中身の方は人間ドラマが中心となっており、登場人物が妙に多いうえに人間関係が無駄に複雑なのが困りもの。


 群像劇的なノリの作品を作りたかったのかもしれませんが、主人公の映画監督の女性は旦那にギリギリで映画賞を横取りされたみたいな背景があったり、映画のスタッフ同士も人間関係が良好では無くて妙にギスギスしていたり、沈没船の調査を提案した新人や現地のダイバーもちょっと訳ありな感じだったりと、キャラの人間関係の設定が矢鱈とややこしいです。


 そして、そんなややこしい人間関係を描いている割には中盤からのシーンは殆ど水中撮影のシーンとなってしまい、見辛い水中カメラ映像に加えて全員がダイビングスーツとマスクを着用して誰が誰だか判別がつき難くなってしまうため、お話の流れがとにかく分かり辛くなってしまっているんですよね。


 更に『その設定とかエピソードってホントに必要だったか?』とツッコミを入れたくなるような本編の流れに関係の無い要素が多く、どうにも話が散漫で何を描きたいのか釈然としません。


 パニック映画として観ると、水中の映像やら沈没船の雰囲気やらは悪くないのですが、『曰くつきの沈没船』と『人食いザメ』も、いかにも『本作のメイン要素』のように描かれている割には実際にはどっちの要素も薄めで、むしろ『海底の沈没船の中でクルーたちが内輪もめしている』のを延々と見せられているみたいな印象が強くて、危機感や緊張感があまり感じられずに観ていてモヤモヤさせられてしまいましたよ…


 そもそも、映画の撮影のために『スタッフ9人でダイビングする』という設定からして色々と無理がありすぎで、『おまえら全員がスキューバダイビングの資格持ってる経験者なのかよ?』とか『いまどきなら潜るのは最低限の人数で水中ドローンとかでも下見できるだろ?』とか、ツッコミを入れたくなったのは自分だけ?


 オチも『なんのこっちゃ』みたいな終わり方でしたし(スタッフが死にまくってるのに、どうやって映画の完成に漕ぎつけたんだ?)、全体的に何か釈然としない気分の残る映画でしたよ。

 


 総評としましては、どうにもモヤモヤした気持ちになる『微妙な出来のB級生物パニック映画』という感じでした。


 設定とかがゴチャゴチャしすぎててサスペンスとしても微妙ですし、サメの出番も少なくてサメ映画としても微妙なので、ちょっとオススメするには辛い映画という印象です。


 まあでもエジプト製のサメ映画というだけでもレアな作品ではあるので、レアさに惹かれて観てみるのも悪くないかもしれませんが、そうでもなければ普通にスルーしてしまっても問題の無い一本ではないかと…