■■■「海上48hours -悪夢のバカンス-」■■■
(55点/生物パニック)
女子大生であるナットは、大学の春休みを利用して恋人のトムを含む5人のメンバーで、メキシコのビーチへとバカンスに訪れる事となる。
学生らしくお酒を飲んで大騒ぎする彼らだったが、早朝にレンタルの水上バイクを発見して利用しようとしたものの、店屋がまだ開店していなかった事から無断で2台の水上バイクを拝借し、沖へと遊びに出かける事に…
やがて、沖合でチキンレースのような遊びを開始した彼らだったが、操船ミスで2台の水上バイクが衝突。
一台は大破して、もう一台も故障して動かなくなってしまったうえに、仲間の一人が重傷を追って沖へと投げ出されてしまう。
携帯の電波も通じず、故障した水上バイクにつかまった状態でなんとかして救助を待とうとする彼らだったが、その周辺は狂暴な人食いザメであるホホジロザメの棲息地で…
水上バイクの事故で海上で漂流する事になった若者たちが、狂暴なホホジロザメによって脅威に晒される…という、生物パニック系サスペンス映画。
「オープン・ウォーター」のヒットに便乗して一時大量に作られた、いわゆる『海上取り残され系』のサスペンススリラー映画ですね。
タイトルだけ見ると、なんとなくワンシチュエーション系のサスペンススリラー映画っぽい感じですが、主人公たちの遭遇する脅威として『人食いザメの恐怖』がかなり大きく取り上げられており、どちらかというとワンシチュエーションのサバイバル系というよりも生物パニック系の『サメ映画』のテイストの強い作品です。(原題も、そのまんま「SHARK BAIT」ですし…)
お話としては『水上バイクを盗んで沖合の海上へ遊びに出た無軌道な若者たちが、携帯の電波も届かないような海上で事故で遭難してしまい、なんとかして生還しようとする』という、まあ割とお決まりのオーソドックスな展開。
シチュエーションとしてはありがちで特に目新しさや面白味も無い感じの設定ではあるのでが、定期的にサメの襲撃があったり、新たなアクシデントが発生してみたりして、観ていてあまり退屈しないような作りになっているのは悪くない印象。
本作の良い点を挙げるとしたら、『サメの恐怖』がかなり強く描かれているというところ。
主人公たちを狙う人食いザメが異常に執念深くて、執拗に主人公たちを攻撃してきて生存者を一人づつ着実に血祭りにあげていくという展開は、助けの無い海の上という孤立感も相まってなかなかに恐怖を感じさせてくれます。
本当に、ほぼ『サメの恐怖』だけでまるまる映画一本分繋いでいるのは、なかなかに良く作られている印象ですね。
他にも、限られた登場人物とシチュエーションでキャラを掘り下げるために『主人公の彼氏の浮気が発覚する』みたいなネタも仕込まれてて、色々と頑張っているのは認められるのですが、主人公たちのギスギスや対立がそこまでお話を盛り上げる要素にもなっておらず、作品としての面白さにつながっているかと言われると微妙なところ…
また、頑張って定期的に盛り上げるシーンを作っては居るのですが、やはり『何もない海の上』が舞台のワンシチュエーションスリラーとしては限度があり、どうしても間延びしてしまって、いま一つテンポの良くない部分があるのは辛いところ。
あと、タイトルが『海上48hours』となってるせいで、『ああ、48時間は漂流し続けるんだ』というのがネタバレされてしまっており、観ていてちょっと緊張感が薄くなってしまうのはいかがなものかと…(笑)
(本作に限らず、邦題を付ける時はもうちょっと色々と考えてから付けて欲しい。)
とはいえ、ラストの展開なんかは意外と熱くてなかなか悪くない感じでしたので、もう一工夫なにか世界観を広げるような仕掛けがあればなぁ…と感じるような作品でしたよ。
総評としましては、『そこそこ楽しめるレベルの人食いザメもの生物パニック系ホラー映画』って感じですね。
強く推すほどではないですが手堅くまとまった作りで、その手のジャンルが好きであればワンチャン普通に楽しめる作品という印象。
ワンシチュエーション系作品としても生物パニック系作品としても、及第点のレベルに仕上がっている映画ですので、そういうノリが好きな人であればチェックしておいても損は無いかもしれませんよ。