■■■「ジョーズ・バケーション」■■■
(45点/パニック)
死産により子供を失ったジェイリンとカイルの夫婦は、心の傷を癒すためにベトナムへとバカンスに訪れていた。
水上コテージでゆったりとした時間を過ごす彼らだったが、そんな矢先に深夜に巨大な嵐が海岸を直撃。
彼らのコテージは大波で破壊されて、コテージの一室ごと海上へと漂流することとなってしまう。
翌朝、自分たちが陸地から離れた沖合へと流されてしまった事に気づいた彼らは、なんとかして助けを呼ぼうとするが、捜索隊は現れないままに時間だけが経過。
更には、足を負傷したカイルの血の臭いに誘われてサメが集まってきてしまい…
ベトナムの水上コテージでバカンスを過ごす夫婦が、大嵐に巻き込まれてコテージごと海上に漂流することとなってしまう…という、ワンシチュエーション系のディザスターパニック映画。
「ジョーズ・バケーション」なんてタイトルが付いていますが、実際の中身の方はサメ要素はそこまで高くなくて、災害パニック映画に近いタイプの作品ですね。
まあ確かに事故やら遭難やらで『海上に取り残されてしまいました』というタイプの作品は割と多く作られていますが、『コテージごと海上に流されてしまいました』というのはシチュエーションとしては新しいですね。(なんか「RAFT」ってゲームっぽい)
ただシチュエーションとしては新しいですが、映画の内容に目新しさがあるのかと言われると微妙なところ…
基本的には、いわゆる『隔離された環境で救助を待つ』というワンシチュエーション系の内容となっており、この手の作品にありがちですが主人公たちがダラダラと海上を漂流しているだけの時間が長めの印象。
妻の死産のエピソードやらで、キャラの掘り下げやら夫婦間の人間ドラマを描いてはいるのですが、基本的に会話劇が中心となるためどうにも退屈です。
また、『コテージごと海上に流される』という特殊なシチュエーションが本作の個性なのかと思いきや、中盤あたりで助けを呼ぼうとしてコテージを燃やしてしまい、その後は普通に木の板とかに捕まって海上を漂流するだけになってしまうため、本作の最大の個性がアッサリと失われてしまうのはいかがなものかと…
終盤あたりから、サメが本格的に登場してからの展開はそこそこ盛り上がりますし、サメの襲撃シーンも割と迫力があって良い感じなのですが、それまでの展開がダレ気味なのに加えてサメの出番もそこまで多くないせいで、どうにも物足りない印象。
ラストの展開とかはそこそこ悪くなかったですが、もうちょっと見せ場が欲しかったのに加えて、『コテージごと海上に流される』という本作独自のシチュエーションをもうちょっと上手く活かせなかったものかなぁ…というのが正直な感想でしたよ。
総評としましては、『ちょっと地味で盛り上がりに欠けるワンシチュエーション系のディザスターパニック映画』って感じですね。
サメの襲撃シーンとかは悪くないのですが、いかんせん『サメ映画』として観るには出番も少なくて物足りなさが残る印象。
シチュエーションとかに惹かれて観るにしても、そこまでシチュエーションが活かせている内容でもないので、急がないのであればどこかのサブスク系のサービスとかに入ってから観る程度でも良い感じの一本ではないかと思いますよ…