NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「MEN 同じ顔の男たち」(55点/サスペンス)

■■■「MEN 同じ顔の男たち」■■■
(55点/サスペンス)


 夫の自殺の瞬間を目の前で目撃してしまったハーパーは、その心の傷を癒すために都会を離れイギリスの田舎町でしばらく過ごす事となる。


 閑静な片田舎の村のカントリーハウスに逗留する事となった彼女は、大家のジェフリーに挨拶をしてから近所を散策する彼女だったが、森の中で全裸の不気味な男に遭遇。


 男が家の中まで入って来ようとしたため警察に助けを求めたところ、謎の男は拘留される事となるが、その後、村の教会で合う神父や少年、警察官までもの全員がジェフリーと同じ顔をしているという異常な現象が起こっている事に気づくが…

 


 夫の死の瞬間に遭遇し心にトラウマを抱えた女性が、イギリスの寂れた村で異常な現象に遭遇する…という、サイコサスペンス映画。


 「ミッドサマー」とかでお馴染みの製作会社「A24」によって製作された作品で、予告やらパッケージを観た人であればなんとなく想像が付くと思いますが、雰囲気映画系のテイストの強い電波系サスペンス映画みたいなお話です。


 雰囲気映画だけあって『暗喩的な表現』やらが多用された作品という印象で、D・リンチやらクローネンバーグ監督ほどじゃないものの、良く分からない難解で不気味な描写を延々と見せられる映画という感じ。


 難解といってもそこまで極端に訳が分からない内容というほどでもなくて、『夫の死に対する罪の意識』やら『男女の関係』やらがキーになった暗喩的な描写というのは割と理解しやすくて、明確な答えは分からないまでも何となく言わんとしている事は分かるような内容にはなっています。


 そこまで暗喩やテーマを真剣に読み解かなくとも『美しい田舎の自然の風景』と、そこに現れる『同じ顔の男たち』やらフラッシュバックする『夫の死』といった『得体の知れない不安をあおるような描写』の表現は、なかなかに悪くない印象。


 ただ、不条理系のサイコサスペンスとしては悪くないものの、そこまで大きな事件やらも無く、主人公が精神的に追い詰められているような描写も無いため、中盤辺りまでがちょっと退屈な印象なのは残念なところ。


 終盤の『異様な展開のつるべ打ち』はなかなか悪くないのですが、ラストは割と淡々としてるので、その辺は好みの別れるところかなぁ…


 また、タイトルにもなっている『同じ顔の男たち』の顔がそこまで『特徴のある濃い顔』じゃないせいで、みんな同じ顔でもちょっとインパクトが弱くなってしまっている感があるのは気になったところかも?
 (日本人から見たら『外国人の顔が同じように見える』ってのの影響もあるのかもしれませんが、どうせなら「マルコヴィッチの穴」ぐらいインパクトがあれば…(笑))

 


 総評としましては、そこそこ観れるレベルの『独特のテイストの雰囲気映画系のサイコサスペンス映画』って感じですね。


 独特の電波っぽいノリが好きな人であれば、まあまあ楽しめる内容だと思いますので、予告を観て雰囲気とかが気になっているようであればチェックしておいても良いかもしれません。


 強く推す程では無いですが面白いテイストの作品ではあると思いますので、そういう系列の映画が好きであればお好みで…といった感じの一本ではないでしょうか?