NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ホビッツベイ」(50点/モンスター)

■■■「ホビッツベイ」■■■
(50点/モンスター)


 1978年、カリフォルニア州オークランド
 獣医師を目指すジュールズは、夫のベンと幼い娘のレイアとともにペットショップを営んでいた。


 そんなある日、数カ月前に亡くなったベンの母親の遺産を整理していた弁護士から、かつて両親が暮らしていた住居が土地がオレゴン州のホビッツベイという海辺の町に遺産として残されている事を知らされる。


 住居を確認するために家族三人でその場所を訪れた彼らは、そこで素晴らしい景観のビーチと廃墟同然となったコテージを発見。


 風光明媚な立地から、何故この場所が40年近く放置されていたのかと訝しがる彼らだったが、そんな矢先に彼らは地下の貯水タンクから新種と思われる正体不明の両生類の死骸を発見し…

 


 オレゴン州沿岸の田舎町の放置されたコテージを訪れた一家が、正体不明の巨大な両生類の襲撃を受ける…という、モンスターパニック映画。


 アメリカで昨年あたりに作られた『巨大両生類』を題材としたモンスター映画のようなのですが、いま一つ話題にならなかったのも納得というか、なんというか『地味で盛り上がりに欠ける映画』というのが正直な感想の作品です。


 お話としては、『とあるペットショップを営む夫婦が、両親が遺産として残した田舎のコテージの存在を知り遺産整理のために確認に訪れるんだけど、その場所で正体不明の巨大両生類の襲撃を受けて、両親が「なぜこの場所を放棄したのか…」の真実を知る事となる』みたいな感じの展開。


 『風光明媚な田舎の海岸にポツンと建つコテージ』といったロケーションや、『不気味な雰囲気を感じさせる地下の貯水槽』といった雰囲気づくりは割と良く出来ていますし、『何故、両親がこの場所を放棄せざるを得なかったのか』といった部分の謎解きパートと、徐々に明らかになっていく真実という流れなんかは悪くない印象。


 …なのですが、雰囲気の盛り上げ方は確かに悪くないものの、雰囲気づくり以外の部分がモンスター映画としてどうにも微妙な作品なんですよね。


 まず何が微妙って、とにかく『モンスターが画面に出てこない』という事。


 最近のモンスター映画ってCGをメインで使うせいもあってか、割とモンスターが画面に堂々と露出する作品が多いのですが、本作は『80年代のホラー映画かよ』とツッコミたくなるぐらいにモンスターが画面に映りません。


 とにかく物凄く『出し惜しみ感』が強くて、マトモに登場するのも割と終盤になってからですし、登場人物が基本的に家族の3人(あとちょい役で2人)だけなので、襲撃シーンや活躍シーンそのものが少なすぎてどうにも見せ場が少ないです。


 また出現するのも夜の森の中とか地下の洞窟みたいな場所ばかりで、基本的に姿がよく見えないので無駄にストレスが溜まります。


 怪物の水中からの襲撃シーンとかは割と緊張感があって良いのですが、それも『昔のモンスター映画の予算削減しつつ緊張感を出す手法』みたいな映像表現で、どうにも観ていてイライラしてしまいました。


 映像のクオリティとかを見る限りそこまで低予算っぽい雰囲気でも無かったので、もしかしたら『80年代のB級モンスターホラー映画』へのオマージュでも意識して作ったんでしょうか?(でも、『そこはオマージュしなくても良いところだろ』ってのが正直なところ…)


 ちなみにモンスターのデザインに関しては、『巨大両生類』が題材となっている映画では割と定番の『廃棄物13号』(パトレイバー)っぽいデザイン。


 デザインとしては悪くは無いのですが、せっかく巨大両生類を題材にしてる映画なんだから、もうちょっと既存の古代の両生類をモチーフにするとか本作ならではの個性が欲しかったかなぁ?(まあ、それだけ『廃棄物13号』のデザインが秀逸だという事なのかもしれませんが…)


 あと細かい部分ですが、色んな意味で『設定があんまり活かされていない』のも気になるところ。


 舞台が『70年代アメリカ』なのですが、特に70年代である必然性が感じられないですし、『奥さんが生物学の知識がある』みたいな設定も最後までほとんど活かされないまま…


 先述のとおり、モンスターが『両生類』である特徴も特に活かされていないですし、『だからなんやねん?』と言いたくなるような肩透かしの展開と設定の連続なのも地味にストレスが…


 ラストのオチも投げっ放しで盛り上がりに欠けますし、どうにも物足りなさの残る映画でしたよ。

 


 総評としましては、ちょっといま一つな部分が目についてしまう『微妙な出来のB級モンスター映画』って感じですね。


 雰囲気づくりやらストーリーテリングの良さやら悪くない部分もあるのですが、モンスター映画としてみると物足りなさを感じる部分の方が目についてしまい、『もうちょっとどうにかならんかったかなぁ…』というのが正直な感想です。


 そこまで強く推すような要素も無いものの、そこまで壊滅的にツマんない訳でもなくて、物足りないながらも『普通に見れるレベル』の作品ではあるので、予告とかで気になっているようであればチェックしてみても良い一本かもしれませんよ…