■■■「蛇王 キング・オブ・スネーク」■■■
(40点/モンスター)
各地で内戦が続く近代の軍閥時代の中国。
女性軍医の静蘭は、馬少陽の率いる軍閥と共に夜行列車で移動を行っていた。
しかし、彼女の故郷である永安村付近を通りかかった際に、どこからともなく現れた毒蛇の大群と信じられないほどの巨大な『双頭の大蛇』が列車を襲撃。
万事休すのところを、偶然列車に同乗していた蛇捕り師の木生の活躍によって襲撃を逃れることに成功するが、負傷者の治療のために永安村へと向かったところ、村も既に蛇の群れの襲撃によって壊滅状態。
彼らは、軍閥と村人による乱開発の影響で、自然が破壊された事により怒った蛇たちが、人間に対して復讐を開始した事を知るが…
巨大な双頭の大蛇の『蛇王』と毒蛇の群れが村を襲い、村を救うために軍医と蛇捕りの青年が立ち上がる…という、中国製の大蛇ものモンスターホラー映画。
1900年初頭の内乱時代の中国を舞台としたモンスター映画ですが、ノリとしてはやや伝奇ものっぽい雰囲気の漂う作品ですね。
お話としては『毒蛇の群れと双頭の大蛇によって村が襲われた事によって、半壊した村で毒蛇に噛まれた人々を救うために、解毒剤である「蛇腥花」を手に入れるため、村で忌み嫌われていた「蛇捕り」の青年が立ち上がる』みたいな感じの展開で、一応モンスターホラーとは分類していますが、どちらかというと『ジュブナイル冒険もの』に近い内容といった感じ。
本作の特徴としては、とにかく『展開が早くてテンポが速いこと』かな?
開幕10分で特にコレといった説明もないままに、いきなり毒蛇の群れや双頭の大蛇が主人公たちを襲撃してきて、大蛇も出し惜しみが無いうえに『怪獣』みたいなレベルの巨大さで、ビジュアル的には見どころが多いです。
また最初の大蛇の襲撃のあと、主人公たちが解毒剤である希少な花を探すための探索の旅に出発する(「アナコンダ」のオマージュ?)のですが、旅先でも事あるごとに様々な危険生物やら困難が主人公たちを次々と襲うという展開の連発で、とにかく『視聴者を飽きさせないようにしよう』という感じの作りはなかなかに良い感じ。
というか大蛇や毒蛇だけじゃなくて、毒グモや吸血コウモリまで特に理由もなく群れを成して人間に襲い掛かってきて人間を食料にするとか…中国大陸怖すぎだろ!!
ただテンポ良くいろんな要素が詰め込まれているからといって、本作が映画として面白いかと言われると微妙なところ…
とにかく主人公とヒロイン以外のキャラクターが、ひたすらウザいんですよ。
この手の映画で、主人公たちを持ち上げるために脇役が『無能キャラ』として描かれるのは良くある事で、本作でも軍閥のメンバーとかは無能集団みたいに扱われているのですが、無能なうえに性格の悪い役立たずどもばかりでちょっと不快になるレベル。
中国映画って、割とこういった『ウザいキャラ』がコメディ要員として描かれる事が多いのですが、本作はウザいキャラが『主人公以外のほぼ全員』なうえに、キャラ付けが前時代的すぎて観ていて辛くなってしまいましたよ…
またアクションシーンやら怪物の襲撃シーンとかも多い割には、いま一つ見せ方に工夫が無くてどうにも盛り上がりに欠けるんですよね。
色んな生き物に次々と人間を襲わせるなら、もっと暴走して派手で無茶苦茶なノリ(そんな生き物が人間を襲うか?みたいなの)にしても良かった気がします。
ラストの怪物の退治の方法も妙にアッサリしてますし、『全体的な構成』とかは悪くないものの、要所要所の出来やキャラクターが微妙なせいでトータルでイマイチになってしまっている…という、なんとも残念な感じの作品でした。
総評としましては、意外と気合が入って作られてる割には『いま一つ盛り上がりに欠けるモンスターホラー映画』というのが正直な感想です。
中国製のモンスターホラー映画という事で、ジャンル的に気になるのであれば観るのを止める事はないですが、個人的にはそこまでオススメはしないかなぁ?
特撮とかCGとか気合の入っている部分も多くて出来そのものは悪くないのですが、どうにも自分のセンスには合わない感じの作品でしたよ。