■■■「マッド・ナース」■■■
(55点/スラッシャー)
ニューヨークの巨大総合病院であるオール・セインツ病院の最優秀看護師であるアビゲイル・ラッセルは、バーやクラブで知り合った不実なスケベ男たちを罠にかけて殺害する事を趣味とする、連続殺人鬼の一面も持っていた。
バイセクシャルでもあることから、自分の教育担当の新人看護師であるダニーに目をつけたアビーは、ダニーの恋人であるスティーヴとの仲を引き裂くために、彼女に薬を飲ませて無理矢理セックスした写真を送りつけたり、彼女と不仲の義理の父親を殺害したりと様々な策略をめぐらせる。
そんなアビーの異常な態度に疑問を抱いたダニーは、彼女の正体を探るためにアビーの過去を調査したころ、彼女の過去に秘められた恐るべき秘密が明らかになっていき…
殺人の趣味を持つ異常性癖のナースが趣味と欲望を満たすために次々と殺人を繰り返すという、サスペンス風味のスラッシャーホラー映画。
パッケージだけ見たら『何年前のスラッシャー映画だよ』って感じですが、中身の方は懐古趣味みたいな雰囲気ではなくてイマドキのスラッシャーホラーって感じの作品でした。
タイトルの印象から、てっきり残虐シーンがウリのスラッシャーホラーみたいなノリかと思いきや、実際の内容は思った以上にサスペンス要素が強めな感じ…
「マッド・ナース」って言うから、もっと『殺しが趣味で血も涙も無いようなサイコパスキャラ』かと思ってたのですが、どちらかというと『ヒロインを自分に振り向かせるために連続殺人を犯していく』みたいな何か色ボケ的な意味での欲望に忠実なノリで『ちょっと期待してたのと違うなぁ…』という印象。
まあ、このキャラはこのキャラでなかなか面白いキャラ立てだとは思うのですが、サイコサスペンス的な要素が強めなせいもあってちょっと序盤とかの展開が地味なんですよね。
医療系ホラーというと、やはり『無駄に痛そうな残虐描写やグロ描写』に期待してしまう部分があったので、何か少し物足りない感じが…
あと、サイコサスペンス的なテイストを取ってるせいでヒロインの周辺の人間関係が妙に深く描かれているのですが、殆どのキャラが『殺されるために出てきただけ』で本編にあまり関係ない要素ばかりですし、「マッド・ナース」のキャラもちょっと粘着質な部分ばかり目立ってしまってる感じなので、お話はもうちょっと簡略化しても良かったかも?
まあ序盤でちょっと冗長な部分はあるものの、後半は結構テンポも良いですし派手で面白いシーンも多くて、なかなか楽しめましたよ。
惜しむらくは、もうちょっと殺害シーンやらシチュエーションに凝った要素があっても良かったかなぁ?という辺り…
あとあそこまで盛り上げておいて、ラストの中途半端に投げっぱなしな感じのオチは賛否両論ありそうかなぁ?
(個人的には『死んだと思わせておいて実は…』みたいなオチの方が良かったかも?)
総評としましては、若干のテンポの悪さは気になるものの『そこそこ良く出来たスラッシャーホラー映画』って感じの作品でした。
ただ評判が良くて期待していた割には、殺人鬼のキャラもスラッシャーホラーとしての演出もちょっと物足りない部分があったのは残念なところです。
とまれ『オリジナルの新規路線の殺人鬼ものスラッシャー映画』を期待しているのであれば、割と楽しめる内容ではあると思いますので、そういう作品を求めているならチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。