NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷」(60点/スラッシャー)

f:id:uei_nanigashi:20201213005836j:plain

■■■「ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷」■■■
(60点/スラッシャー)


 イリノイ州に住む女子大生のハーパーは、ハロウィンの夜に友人たちと共にパーティに出かけ、パーティ会場で合流した仲間たちとともに、6人で郊外の廃工場を改造して作られたお化け屋敷に訪れることとなる。


 お化け屋敷のルールに従い入り口で携帯電話を預け、様々な仕掛けに怯えつつも中へと進む彼らだったが、イベントステージで道中ではぐれた仲間がステージ上で虐殺される現場を目撃。


 異常な事態に恐怖を感じた彼らはなんとかしてお化け屋敷から脱出しようとするが、そのお化け屋敷は実は殺人鬼たちが若者たちを捕らえて虐殺するために作り出されたもので、怪物のマスクを被った殺人鬼たちが彼らに次々を襲い掛かり…

 


 殺人鬼が若者を殺すために作り出した『最恐のお化け屋敷』に訪れた若者たちが、お化け屋敷に潜む殺人鬼たちの襲撃を受ける…という、お化け屋敷ものスラッシャーホラー映画。


 アメリカではハロウィンの時期に、廃墟等を改造して作られる『趣向を凝らせた期間限定のイベント風お化け屋敷』が人気を呼んでおり、その手のお化け屋敷を題材としたホラー映画が最近は割と作られていたりするのですが、本作もそのうちの一本という感じの作品ですね。


 作品の題材としては割とありがちなネタではあるのですが、アクの強いホラー映画を取ることで有名なイーライ・ロス製作による新作ということで、やや一筋縄ではいかない感じに仕上がっております。


 お話としては、『大学生たちが郊外に作られた廃墟を改造して作られたお化け屋敷に入ったら、実はその場所は本物の殺人鬼が作り出した死の罠の仕掛けられた「殺人お化け屋敷」でした』というような展開で、非常にオーソドックスな感じのプロットなのですが…


 主人公が『過去に父親からDVを受けてて、今もストーカーのDV彼氏に悩まされている』という矢鱈と濃いキャラになっており、その辺の設定がストーリーや演出に組み込まれることで、主人公の抱える心の闇に由来する恐怖やそれを克服する姿を描くことで、いい感じにお話を盛り上げる要素になっているのは良い感じ。


 お化け屋敷の雰囲気やら演出もいい塩梅で趣味が悪くて、割とチープな感じの映像やギミックなのに『チープさ故の恐怖』を感じさせてくれるのはなかなか良く出来ています。


 キャラの設定やら演出やらも含めた、この辺の『悪趣味さ』は流石はイーライ・ロスという感じです。


 お話が核心に迫るまでの展開は結構長めなのですが、このお化け屋敷の雰囲気作りや演出が良い味を出しているので、前振り的なシーンも殆ど退屈せずに楽しめるのは良く出来ています。


 ただ演出やら雰囲気やらは良いのですが、肝心の『殺人鬼との追いかけっこ』が始まってからの展開がややテンポが悪いのは困りもの。


 残虐描写は強めなのですが、全体的に殺害シーンが矢鱈とアッサリしておりちょっと盛り上がりに欠けるのに加えて、殺人鬼の襲撃シーンにスピード感がなくてちょっとダラダラした印象があるせいで少しだけ冗長な印象を受けてしまいましたよ。


 また、殺人鬼が派手なマスク(というかハロウィンの仮装)を着けている割にはキャラが立っているメンバーが少なくて、1~2名を除いて影が薄くなってしまっているのも残念なところ。(『幽霊マスク』の人はキャラが立ってて良かったのですが…)


 あそこまで見た目のインパクトがあるんだから、各殺人鬼はもうちょっと殺害方法やらでキャラを際立たせて欲しかったです。


 でも、ラストのオチの落としどころとかはちょっとブラック気味に捻りが効いてて面白くて、この辺はいかにもイーライ・ロスって感じでしたよ。

 


 総評としましては、やや物足りない部分もあるものの『なかなかキレイにまとまった、良く出来たスラッシャーホラー映画』って感じの作品ですね。


 スラッシャーホラーとしては普通に楽しめる内容で、傑作とはではいかないですが十分に佳作レベルと言って良い完成度のホラー映画という印象でしたよ。


 イーライ・ロスらしい悪趣味さも十分に発揮できている内容なので、氏の作品が好きな人であれば間違いなく観ておいて損はない一本だと思いますよ。