■■■「サスペクト-薄氷の狂気-」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)
ある日、若い女性の遺体がハイウエイを走るトラックの荷台から発見されるという事件が発生。
女性に暴行され監禁されていた形跡があったことから、刑事のマーシャル達は誘拐事件として捜査を開始するが、有力な手掛かりはなく捜査は暗礁に乗り上げてしまう。
そんな矢先に、事件の捜査中に知り合った性犯罪者を激しく憎む元判事のクーパーの協力により、郊外の屋敷に多数の女性を監禁していたサイモンという男性を逮捕する事に成功。
しかしサイモンへの事情聴取を行ったところ、彼は子供のような発言を繰り返すばかりで捜査は一向に進展せず、彼には精神に障害があることが判明。
マーシャル達は彼に共犯者が居るのではないかと疑いを抱くが…
警察が連続女性監禁殺人犯人を逮捕したところ、犯人は精神に障害を持つ男性だと判明、警察は事件に共犯者が居るのではないかと捜査を進めるが…という感じの設定の、サイコサスペンス映画。
サイコスリラー的な要素の強めの謎解き系サスペンス映画ですが、プロファイリング的なネタやら精神障害・多重人格的なネタが練り込まれていたり、主人公が人格に問題のある超仕事人間のエリートで、その周辺のキャラが妙に濃いメンツで固められていたり…といった風に、なんとなくTVシリーズ的な盛りだくさんな要素の組み込まれたサスペンス映画という感じの作品です。
お話のメインの流れとして、オーソドックスな『プロファイリング系の謎解きもの』かと思いきや、犯人を追跡する際に『性犯罪者を激しく憎み私的制裁を加える元判事』が主人公のライバル的に登場しつつ事件の解決に協力してみたり、犯人側に『正体不明の共犯者』が居て更なる事件が発生してみたり…といった具合に、次々と予想外の展開が起こり先の読めないテンポの良い作りになっているのは良い感じ。
また、この手の『ネタ盛り込みすぎ映画』って、設定やらがゴチャゴチャしすぎてグテグテになる事が多いのですが、本作はお話そのものは意外とシンプルで非常に無駄なくまとまっており、意外と見やすい内容になっているのも好印象。
主人公のキャラや主人公に協力する脇役キャラ、犯人役のキャラも割と魅力的に描かれており、キャラの立て方が非常に上手いのも良く出来ています。
謎解き要素に関してはネタバレになるのであまり多くは語れませんが、一部にやや唐突感のある部分もあるもののあまり無理のない展開ですし、意外とシッカリとミステリーしているのも悪くありません。
『こんなに人を殺しまくってて全くバレてないとか、犯人有能すぎ(もりくは警察無能すぎ)じゃない?』とか、『性犯罪者を憎む元判事は良いキャラなのでもっと出番を増やして欲しかったなあ…』とか、若干の不満を感じる部分もありましたが、基本的に良く出来た部分が多くて予想以上に楽しめた作品でしたよ。
総評としましては、やや物足りない部分もあるものの『コンパクトに良くまとまった佳作レベルのサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。
強く推すかと言われると悩むところですが、プロファイリングものとかサイコスリラーものとかが好きであれば、ごく普通に楽しめるレベルのサスペンス映画だと言えるでしょう。
その手の作品が好きで、気になっているようであればチェックしておいても損はない一本だと思いますよ。