■■■「ライブリポート」■■■
(60点/サスペンス)
ある日、警察署長の娘が何者かに誘拐されるという事件が発生。
警察署長の友人である熱血警官のペニーは、事件の手がかりを握る犯人を追跡中に銃撃戦となり犯人を射殺してしまう。
独断の行動をとがめられ3日間の停職処分にされてしまった彼だったが、犯人から送られてきた映像により所長の娘が64分後に処刑されてしまうことが判明。
手がかりをもとに独断で捜査を開始するが、そんな最中、彼の元へとライブ配信サイトの突撃レポーターと名乗るエイヴァという少女が訪れる。
処刑までのタイムリミットの迫るなか、事件の捜査に協力してもらうことでエイヴァの同行を許可したことから、ライブ配信で全世界の視聴者が見守るなかで誘拐犯の追跡劇が開始され…
64分というタイムリミットで処刑される少女を救出するために、事件に関わった警官と突撃リポーターの少女が協力しあって事件の謎を追跡する…という、サスペンススリラー映画。
『ネット配信でリアルタイムで誘拐事件を追跡する』という設定からして、なんとなくPOV形式のネット配信映像を扱った作品のような印象を受けますが、配信映像そのものは特にメインではなくて、単純に『事件のリアルタイムネット配信』というのが題材となっている作品という感じです。
(ただ、原題が「LINE OF DUTY」で、人気ゲームの「CALL OF DUTY」を文字ったもの(作中でもゲームのタイトルが出てくる)であることから、もともとは主観視点映像での映画を想定していたのかも?)
お話としては、『とある正義感の強い警官が警察署長の娘の誘拐犯を射殺してしまった事から停職処分になるも、誘拐された少女を救出するためにライブリポーターの少女と協力しつつ独自に犯人を追跡しつつ事件の謎を追っていく』というような展開。
作中で、誘拐された少女の処刑されるタイムリミットが『64分』と決まっており、タイムリミット内に少女を救出することが目的となるため、とにかくノンストップで非常にスピーディーな展開となっているところが特徴ですね。
単純な『タイムリミット制のサスペンス』の要素に対して『事件の映像をネットでリアルタイムに配信している』という設定が加わったことで更にスピード感が増している印象があり、まさにジェットコースタームービーという感じのハイテンポな内容です。
先の読めないスピーディーな展開は良く出来ていますし、作品の中身の方もサスペンス要素よりもアクション要素が強めの印象で、とにかくテンポが速くて見どころも多く、観ていて『退屈している暇が全くない』という感じの作りになっているのは良い感じ。
熱血警官の主人公のキャラも良く立っており、お話の中に主人公の過去やらのエピソードなんかを絡めて上手い具合にキャラを立てることに成功しているのは良く出来ている印象なのですが、逆に相棒となるレポーターの少女の方は影が薄めなのは残念なところ。
相棒の少女の方には「ジョーカー」でも扱われた『格差社会』や『貧困層と富裕層の社会的断絶』をテーマとして描くためのキャラ付けっぽい設定がされているものの、やや印象が薄くて設定自体が蛇足的な印象も…
また、一応『バディもの』っぽい設定なのですが、レポーターの少女の影がが薄いせいで、バディものとしての印象が弱くなってしまっているのは残念なところです。
あと映画の内容に関しても、スピーディーなアクション映画としては良く出来ているのですが、サスペンス映画としてはちょっと弱い部分があるのは気になるところかなぁ?
作中で明らかにされる『犯人の目的』やら『事件の真相』が、特に捻りもなにもなくて割とたいしたことのない内容で、意外性とかが無さすぎて謎解き要素としてはいま一つ盛り上がりに欠けるんですよね。
ストーリー部分に関しては、特に主人公が犯人と戦っているアクションシーンは無駄に長すぎて、なかなかストーリーが進まないせいで、見せ場の筈なのに逆に冗長でテンポの悪さを感じてしまったのは困りものかも?(笑)
あと『リアルタイムのネット配信』の要素もそこまで効果的に使われている感じじゃなかったのも残念な部分ではありますが、ラストの展開とかはなかなか熱くて面白かったので、そのあたりは上手くまとめた感じで良かったですね。
総評としましては、非常にコンパクトにまとまった『なかなか良く出来たアクション寄りのサスペンススリラー映画』という感じの作品ですね。
とにかく『テンポが速くて退屈しない作りのジェットコースタームービー』になっているので、アクション好きで短気な人にはオススメのサスペンス映画かも?
全体的に良く出来ていますし、あまり細かいことを気にせずサクッと楽しめる内容ですので、気になっているようであればサクッとチェックしておいても損はないような一本だと思いますよ。