（６５点／サスペンス：結構オススメ）
妻と別れて暮らすシングルファーザーのデレクは、ある日、幼い最愛の一人娘であるジョージアを何者かによって惨殺されてしまう。
その半年後、ショックからようやく立ち直りはじめつつも、事件の真相の究明と犯人逮捕に全く進展が無いことから警察に不満を感じていた彼だったが、偶然にも事件の犯人を突き止める事に成功。
怒りに燃える彼は犯人を地下室に監禁して、犠牲者への復讐のために『拷問』によって想像を超える苦痛を味合わせる事を計画するが…
最愛の一人娘を惨殺された父親が、復讐のために捕えた犯人を監禁して激しい拷問を行う…という、ゴア系アイタタ風味のサスペンススリラー映画。
「変態男」とかに続いて、邦題で勝手にシリーズ化した「〇〇男」シリーズの最新作に当たる作品なのかな？
この『勝手にシリーズ化』タイプの作品は地味に良作が埋もれている事が多いのですが、変にシリーズっぽいタイトルを付けられると『前のやつを観てないからいいや』みたいな理由で避けそうになってしまうので、むしろ良作には変にシリーズっぽいタイトルを付けるのは止めていただきたいですよ。
（ちなみに原題は「Daddy's Little Girl」で、タイトルに拷問的な要素は全くありません。）
ただこんなイロモノっぽいタイトルですが、中身の方は意外と良く出来たサスペンススリラー映画という感じの内容だったりします。
お話としては『最愛の一人娘を殺された父親が、偶然にも突き止めた事件の犯人を捕らえて地下室に監禁して、復讐のために激しい拷問を行う』という感じのお話。
あらすじだけで説明すると、単なるグロ中心のゴア系のバイオレンスホラーっぽい印象を受けますが、実際の中身の方は人間ドラマ的な要素が強めの作品です。
とにかく主人公とその周辺のキャラクターの描写が丁寧で、『父親がいかに娘を愛していたか』とか『彼の周りにどのような事情があったか』といった部分が非常にシッカリと描かれています。
そのようにキャラの掘り下げがシッカリしているため、『彼がいかにして復讐に取り憑かれて狂気に陥っていったか』が非常に分かりやすくて、お話に説得力があるのは良い感じですね。
また設定的にも単なる『監禁ものシチュエーションスリラー』みたいな話かと思っていたのですが、サスペンスとしてもなかなか先の読めないパンチの効いた内容で、予想以上に楽しませてくれます。
人間ドラマ的な要素が中心といいつつも、タイトルどおりに『拷問』の要素もシッカリと作られており、主人公が犯人を捕えてからの拷問シーンは割とグロ要素がテンコ盛りという感じ。
当然のごとく『かなり痛そうなシーン』が多めなので、そういうのが苦手な人にはちょっと辛い作品だと思います。（まあ、そんな人がこんなタイトルの映画を借りるとも思えないですが…）
でも実際に一番怖かったのは拷問そのもののシーンよりも、主人公が『犯人を痛めつけるために、ウキウキしながら拷問の事を調べて機材とかの準備をはじめる』シーンの狂気っぷりだったりするんですけど…（笑）
ただ、なかなか面白い映画なのですが、不満点を挙げるとしたらやっぱり『ドラマ要素が濃いせいで全体的にテンポがあまり良くない』という事かなぁ？
ストーリー的に、これぐらいシッカリとキャラを掘り下げないとお話に説得力が出ないというのは分かるのですが、主人公が犯人を捕らえるまでの部分が結構長めなので、どうしてもちょっとダレてしまう部分はあります。
あと拷問シーンは、『死を超える苦痛を与える』とか言ってた割には『ちょっと手ぬるいかも』と感じた部分もあったので、個人的にはもうちょっと描写が激しくても良かったかなぁ？
総評としましては、タイトルとかからして全く期待してなかった割には『意外と良く出来たサスペンススリラー映画』って感じですね。
ちなみに現時点ではネット配信のみのようですが、正直、ネット配信だけで終わらせるにはもったいない内容なので、DVDとかも出る予定はあるのかなぁ？
ただ、ネタ的に『法での裁きの限界』みたいなのを皮肉ったブラックな要素もありますし、ちょうど世間を騒がせてる事件と類似性があったりするので、販売が自粛ムードになっちゃっても仕方ない作品ではあるかも？
ネット配信のみという事でちょっとハードルは高いですが、観る事が可能な環境の人なら気になっているのであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。（ちなみに自分はAmazonビデオの配信で観ました。）
