NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「フィナーレ ‘そいつ’が見えたら、終わり。」(60点/サスペンス)

f:id:uei_nanigashi:20200106010944j:plain

■■■「フィナーレ ‘そいつ’が見えたら、終わり。」■■■
(60点/サスペンス)

 ガソリンスタンドで働く女性であるアグネスとベリンダは、ある日、店内をハンディカメラで撮影しながら来店した、ガラの悪そうな二人組の男性客の訪問を受ける。

 客の態度に不審なものを感じつつも対応をしたベリンダだったが、同僚のアグネスが『後部座席に口にガムテープを貼られた女性が載せられていた』という不気味な事実を報告。

 異常な事態に混乱する彼らの元に、先ほどの不審な二人組の乗った車が再びガソリンスタンドへと接近してきて…
 

 ガソリンスタンドに勤める二人の女性が、奇妙な客の対応を行ったことを切っ掛けに恐ろしい事件へと巻き込まれていくという、デンマーク製のサスペンススリラー映画。

 なんか、某「イット」風のタイトルが付けられていますが、『ピエロ風の衣装をした怪人が登場する』という部分以外には、類似点も接点も無いような作品です。

 お話としては、いわゆる監禁タイプの『巻き込まれ型の理不尽系サスペンススリラー映画』って感じの内容で、『正体不明の何者かによって拉致されてしまった二人の女性が恐るべき恐怖を味わう』みたいな感じのストーリー。

 後半の『監禁シーン』と前半の『事件に至るまでのシーン』が交互に展開していくという構成のため、割と序盤から『理不尽系の監禁スリラー映画』である事は分かるような作りにはなっているのですが、徐々に不気味さを増していく深夜の寂れたガソリンスタンドの演出がなかなか良い味を出しています。

 『ピエロ風の怪人』が登場して理不尽な『殺戮ショー』が繰り広げられていくという後半部分も、いかにも『特に理由のない暴力』という感じでなかなかエグくて怖いですし、監禁ホラーとしては面白い作りで良く出来ている印象。

 ただ、上記のように『時間軸を前後に行ったり来たりする』みたいな構成のため、お話がなかなか核心部分までたどり着かなくて観ていてちょっとモヤっとしてしまいます。

 割と序盤から特に理由のない暴力を描いた『理不尽系ホラー』だという事は何となく予想が付くので、前振り部分はもう少し軽めにして後半の『殺戮ショー』の部分をもっとシッカリと描いて欲しかったような印象かも?

 終盤の展開なんかはそこそこ派手でスピーディで意外性もありますし、芝居がかった個性的な演出と世界観の設定やらも悪くはありません。

 また、理不尽系の作品の割には割とシッカリとオチまで描かれているのも良い感じでしたので、地味なシーンが妙に長くて冗長さを感じてしまったのは残念なところでした。
 なんとなく『予算的に厳しい部分があったのかなぁ…』と理由は察する事ができるのですが、もうひと頑張りして欲しかったところではありますよ。

 あと『ピエロ風の怪人』が登場する映画に、何でもかんでも「イット」っぽい邦題を付けるのは、逆にタイトルが印象に残らなくなって、本作のように『中身が十分に個性的な作品』にとってはマイナス要素にしかならないので、もうちょっと考えて邦題を付けた方が良いんじゃないかなぁ…という気がするのは自分だけ?
 

 総評としましては、なかなか良く出来た『理不尽系のサスペンススリラー映画』という感じの作品ですね。

 やや物足りない部分もあるものの個性的で悪くない要素も多いですし、まあまあ掘り出し物的に楽しめる内容だと思います。

 欧州作品に独特のネチっこいノリも楽しめる作品ですので、そういったノリが好きであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。