殺人ピエロであるアート・ザ・クラウンによるハロウィンの大虐殺を生き延びたシエナとジョナサンの姉弟は、そのトラウマによる悪夢や犠牲者たちの幻覚から立ち直るために、療養施設で心の傷を癒す事となる。
そして事件から5年後。
ようやく施設から出る事ができるまでに回復したシエナは、叔母夫婦の家に引き取られる事となるが、姪と共にクリスマスの準備に賑わう街に出たところ、そこでサンタの仮装をしたアート・ザ・クラウンらしき人影を目撃。
最初は自分のトラウマがもたらした幻覚かと考えたものの、自宅に帰ってから街での虐殺事件のニュースを聞いた彼女は『奴』が復活したと直感的に察し、街の寮で暮らす弟に警告の電話をするが…
*
殺人鬼であるアート・ザ・クラウンによるハロウィンの大虐殺を生き延びたヒロインが、5年後のクリスマスに再び殺人鬼と対峙する事となる…という、スプラッタホラー映画。
殺人ピエロの『アート・ザ・クラウン』を主人公としたスプラッタホラー映画で、『あまりにグロすぎて嘔吐者や失神者が続出した』という事や、あまりにも過激な内容が話題となり初週全米売上No.1になった』という事などで、色んな意味で鳴り物入りのホラー映画でしたが…
まあ『嘔吐者続出』というのも納得のレベルといった感じの、なかなかに強烈なスプラッタ系のゴア映画となっています。
本作の特徴は、殺人ピエロである『アート・ザ・クラウン』の殺害シーンがとにかくテンコ盛りな事。
全編がホラー映画のクセに120分強もあるのですが、そのうちの1/3ぐらいはアートくんが誰かを虐殺しているシーンなんじゃないかというレベルで、殺害シーンの多さ、残虐さ、ネチっこさ等は、全てにおいてなかなかのもの。
女や子供にも容赦なく、毎回趣向を凝らした様々なシチュエーションで殺害を繰り広げてくれるので、もうそれだけで『お腹いっぱい』といった感じです。
また、この殺害シーンでのアートくんのキャラが良く立っており、ひょうきんでコミカルな感じの動きや表情と、容赦のない残虐ファイトのギャップが非常に良い味を出しているんですよね。
しかも、他の殺人鬼と違って『なかなかとどめを刺さずにジワジワとなぶり殺す』みたいなシーンが多くて、『普通にすぐに殺してくれる他の映画の殺人鬼って、なんて優しいんだろう』と感じてしまうようなレベル。(笑)
この『殺すのを純粋に楽しんでいる感』は、「エルム街の悪夢」のフレディやら「チャイルドプレイ」のチャッキーに通じるものがあり、スプラッタホラー界の『新たなカリスマ』と言っても遜色のないキャラではないかと…
また前述のとおり、本作の魅力は『アート・ザ・クラウン』のキャラクターの魅力による部分が大きいのですが、ストーリーも予想以上にシッカリと作られているんですよね。
尺が120分もあるだけあって、主人公のキャラの掘り下げが非常にシッカリとしており、前作から引き続いての『アート・ザ・クラウン』との確執やら宿命といったものが非常に丁寧に描かれていて、ヒロイックな要素なんかもあったりしつつ思った以上に盛り上がってくれます。
ストーリーが面白いので尺の長さも殆ど気にならないですし、ラストバトルの熱さなんかもなかなかのものなので、そういったバトル系のホラーが好きな人にも楽しめる内容ではないかと…
ただ、『ヒロインが続投していて殺人鬼との確執が描かれる』という設定から分かるとおり、ストーリーに関しては前作と繋がっている部分がかなり多くて、ぶっちゃけ『前作を観てないと良く分からんのじゃないか?』というのは気になるところ。
「テリファー」シリーズの「0」と「1」はそこまででもないですが、「テリファー 終わらない惨劇(テリファー2)」とは完全に地続きで繋がったお話となっているので、本作を観ようと考えている人が居たら、必ず先に「テリファー2」を観ておくことをオススメしますよ。
ちなみに、ややネタバレになってしまいますが…
ラストは『次回作に続く気まんまん』みたいな終わり方でしたので、次回作での『アート・ザ・クラウン』くんの活躍にも期待したいところですよ。(笑)
総評としましては、一般的な評価はさておき『スプラッタホラー映画としては数年に1本レベルの良作』と言えるレベルの作品だと思います。
とにかくグロくてエグい作品なので観るとしたらそれなりの覚悟が必要ですが、そういうジャンルが好きな人や、そういうノリに興味がある人であれば観ておいて損は無い一本ではないかと…
まあスプラッタですし気分が悪くなるような人も居るような映画ですので、劇場で観る場合は自己責任で覚悟完了のうえで観る事をオススメしますよ。(笑)