■■■「キラー・サスペクト」■■■
(60点/サスペンス)
ロンドンで大手銀行から7億ポンドもの大金を着服した男が逮捕され、英国犯罪対応庁(BCA)はその捜査を開始する。
容疑者の恋人であるエマがお金の隠し場所を知っているのではないかと考えた当局は彼女の身柄を確保しようとするが、危険を感じたエマは逃亡を図り田舎町で出会った芸術家の老人のロジャーの家へと偽名を使って潜り込むが、老人の不遜で身勝手な態度に不審なものを感じていた。
そんな矢先、事件の捜査が進展しない事から、BCAは『色から音を聞き文字から色を感じ取る』という『共感能力』を持った新人のガブリエルを捜査に投入。
常人には無い視点から事件の手がかりを得るべく、彼に捜査を開始させるが…
消えた大金の行方を知ると思われる行方不明の少女と、その少女を追う『共感能力』を持った捜査官の追跡劇を描いた、サスペンススリラー映画。
設定だけ聞くと、CSIとかみたいな『特殊犯罪捜査官と犯人の追跡劇』を描いたクライムサスペンスっぽいですが、実際の中身の方は予想してたのとちょっとノリが違う感じで、ちょっと独特のテイストを持ったサイコスリラーみたいなお話です。
お話のメインの要素が『行方不明の少女を追う』という部分ではなくて、『逃走中の少女が行く先々で出会った奇妙な住人との厄介ごとに巻き込まれていく』みたいな部分の方で、ミステリーよりもサイコサスペンス的なノリが強い作品といった感じ…
主人公は特殊能力を持った捜査官ではなく『逃走中の少女』の方で、それに対して足取りを追う捜査官がお話にちょっと絡んでいくという展開ですね。
メインの登場人物が、主人公の少女、少女が逃亡先で出会う人々、少女を追う捜査官も含めて何故か全員がサイコパスっぽい変人ばかりで、謎解きもののサスペンスというよりも『変人が変人と出会い、それを変人が追跡するというサイコパスの連鎖型ロードムービー』を見せられてるような印象の映画という方がシックリ来るかも?
ある意味で非常に個性的な設定の作品なので、ミステリーとして先の展開が全く読めないのは面白いですね。
捜査官の特殊能力の『共感能力』もどういう使いかたをされるのかと思いきや、普通の人間なら見逃しそうな手がかりが『色付きで見える』というようなまるでゲームのような演出も面白く、捜査官の飄々(ひょうひょう)とした感じのキャラともマッチしててなかなか良い感じ。
ただ、主人公の世話になる先々の人々がことごとく『殺したくなるようなクソ野郎』というのは、設定としては面白いけどミステリーの展開としてはちょっと無理がありすぎだろ…という気がしたのは自分だけ?
あと、ロードムービー的なノリのお話としては楽しめるものの、サスペンスやミステリーとして見ると割とおおざっぱで色々とツッコミどころが多いので、そっち方面に期待して観ると、ちょっと肩透かしを食らわされそうなのは難点かなぁ…
総評としましては、『なかなか個性的で面白いキャラクターと設定のロードムービー風サスペンス映画』って感じの作品です。
マジメなミステリーが見たいのであればちょっと微妙かもしれませんが、やや風変わりなサスペンスを求めているのであればそこそこ楽しめる映画ではないかと…
個性的な設定やらキャラやらが気になっているのであれば、とりあえずチェックしてみても損は無い一本だと思いますよ。