NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ボーグマン」(60点/サスペンス)

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■■■「ボーグマン」■■■
(60点/サスペンス)

 閑静な高級住宅地に三人の子供と暮らすスケンデル夫妻は、ある日、妻の知りあいと名乗るアントンと言うホームレスの男性の訪問を受ける。

 男の態度を不審に感じた彼らは男を追い返そうとするが、夫が男の態度に激昂し怪我をさせてしまった事から、責任を感じた妻のマリナは彼をこっそりと家に招きいれて、治療と怪我が治るまでの滞在を許す事となる。

 しかし一度家に入り込んだ彼は、子供たちや家族に取り入り、更に仲間を呼び込んで、徐々に家全体を実質的に支配するようになっていき…



 謎の集団『ボーグマン』による家への静かな侵略の恐怖を描いた、欧州製のサイコサスペンス映画。

 家庭への侵入者を描いた作品といっても、いわゆる『ホームインベージョンもの』とは少しジャンルが違ってて、ドラマやマンガとかで時々ある『謎の集団による家庭の乗っ取り(「魔太郎が来る」のヤドカリ一家みたいな話)』を描いた作品ですね。

 心理的な恐怖や強迫観念を題材にした話なので派手さは無いですが、なんというか物凄く不気味で得体の知れない映画という感じの内容です。

 お話としては、『唐突に現れて家庭の中に侵入した一人の男(とその仲間)が家庭を内側から崩壊させていく』という感じのサイコサスペンス映画なのですが、この『ボーグマン』という連中が正体が分からなくてとにかく不気味です。

 全員が外見も物凄く普通だし行動は物凄く淡々としてる割に、自分たちの邪魔になる存在は容赦なく排除したりと目的のためには手段を選ばないみたいな感じなのですが、その割には彼らの『真の目的』が何なのかは全く描かれてなくて行動原理がサッパリ分かりません。

 夢魔のように胸の上に乗って悪夢をみせるシーンや、宇宙人のようにインプラントを連想させるシーンがあったりと、色々と彼らの正体を想像させる手がかりのようなものはあるのですが、それすらも象徴的にしか描かれていないため『理解の出来ない不気味さ』のようなものが際立っている印象ですね。

 途中で挿入されるアングラ芝居やら、不安を誘うような意味の分からないラストの展開も雰囲気映画としては良い味を出していると思います。
 (何かの『象徴』的なイメージなんでしょうけど…)

 ただ不気味な雰囲気は良い感じの映画なのですが、とにかく全体的に淡々としており派手なシーンとかも全く無くて盛り上がる要素はちょっと薄いですね。

 中盤辺りの展開なんかも割とダラダラしてるので、テンポの遅い映画が苦手な人だと途中で眠くなってしまうかも?

 また凄く『不気味』な映画ですが怖さの方はあんまり無いので、物足りないという人も居るかもしれないのは、ちょっと難点かもしれません。


 総評としましては、なかなか良いセンスとテイストを感じさせる『気味の悪いサスペンス映画』って感じの作品ですね。

 欧州の映画らしく雰囲気映画的な側面もあるので、そういう得体のしれない怖さが好きな人にはなかなかオススメですが、逆にそういう内容をハッキリと描かないタイプの映画が苦手な人には向かない映画かも…

 ただ雰囲気映画といっても、芸術性や前衛的なテイストはあまり強く無いですし普通にサスペンスとしても楽しめるレベルなので、訳の分からない気持ち悪さというのが気になっている人ならチェックしておいても損は無いと思いますよ。