(60点/サスペンス)
感受性の高い皮肉屋のジャックは、ある日、疎遠にしていた両親が交通事故にあって父親が亡くなったという知らせを受ける。
葬儀の準備と、父と一緒に車に乗っていた母の見舞いのために故郷に帰る事となった彼は、屋根裏からする奇妙な物音や異様な行動を取る母に不気味なものを感じるが、そんな最中に死んだ父親から自分に当てられたと思われるカセットテープを発見。
カセットテープから『真実を知るために屋根裏に行け』というメッセージを受け取った彼は、そこで家族と自分の過去にまつわる驚くべき秘密を知る事となるのだった…
父親を喪った皮肉屋の男性が、父の残したメッセージから自分と家族の過去にまつわる驚くべき秘密を知る事になる…というオカルト風味のサスペンスホラー映画。
タイトルの雰囲気からして『恐怖ノ黒電話』とかの一連のシリーズを意識した作品(といっても実際の作品自体には何の繋がりも無いですけど)になっているのかな?…という感じですが、シリーズの他作品と同様になかなか良質なサスペンス映画となっています。
お話としては、『父親が事故で亡くなって葬式等のために帰郷した若者が、そこで家族や自分の過去に隠された恐るべき秘密を知る事になっていく…』みたいなお話。
ちょっとだけオカルトっぽいテイストが漂っていますが、内容的にはサイコサスペンスの方が近い感じかな?
主人公が父を喪ったショックや自分と家族の過去に秘められた秘密を知る事によって、徐々に精神的に追い詰められていくといったサイコスリラー的な展開です。
ただ中身に関していうと、ノリとしては『色々な意味でキツい映画』というのが正直なところ。
まず、主人公の理屈っぽくて皮肉屋な感じの性格がどうにも好きになれなくてキツい。
主人公が『精神的に追い詰められていく様子』を描いている作品なのですが、追い詰められる前から変な行動が多すぎて、正直にいって観ててちょっとイライラしましたよ。
隣に暮らすゲイの隣人も物凄く不気味ですし、母親に関しては奇矯な性格を通り越してはっきりいって恐怖を感じるレベルの変人っぷり。
まあ、主人公の周辺の『異常な環境』は狙って表現された演出なので、気持ち悪く感じて当然なのですが、『精神的に追い詰められていく怖さ』というよりも『この環境はちょっと勘弁してくれ』って感じのリアル寄りの不気味さなので、なかなかに精神をゴリゴリと削られるようなものがありましたよ。
とにかく不気味で気持ちの悪い映画という感じです。
独特のテイストがインパクトのある本作ですが、サスペンスとしてもそこそこ良く出来ています。
サスペンス故にあまり内容には触れる事ができませんが、主人公と家族に関する謎の提示やらその謎解きも割とシッカリと作られている印象。
オチに関してはある程度は先が読めてしまうものの、そこそこ捻りが効いてて良い感じではあります。
ただ提示された謎に対して投げっぱなしの部分も多くて、ちょっとネタバレになってしまいますが、『主人公の双子の兄弟の話はいったい何だったのか』とか『ゲイの隣人は主人公の妄想だったのか』とか(他にも性同一性障害の話とか諸々…)、自分には最後まで良く分からない部分が多すぎでしたよ。
ちょっと『想像とか考察で補える範囲』を超えてしまっている感じなので、その辺はもうちょっとフォローがあっても良かったんじゃ無いかなぁ?
総評としましては、色々とツッコミどころはあるものの『そこそこ良く出来たサイコサスペンス映画』って感じの作品です。
異様な雰囲気の『気持の悪さ』を満喫できるような内容ですので、そういうノリを楽しみたいのであればそこそこオススメできる一本という感じでしょう。
予告とかで気になっているのであれば、普通にチェックしてみても損は無い映画だと思いますよ。