NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スペル(2020年版)」(60点/オカルト:結構オススメ)

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■■■「スペル(2020年版)」■■■
(60点/オカルト:結構オススメ)


 幼少期に虐待を受けた弁護士の黒人男性・マーキスは、ある日、父の死の知らせを受けて葬式へと参列するために妻と二人の子供と共に実家へと帰省することとなる。


 しかし自家用セスナでの移動の途中で、セスナは嵐に巻き込まれて墜落。
 目を覚ました彼は、自分が足に酷い傷を追ったうえにブードゥー魔術と使う不気味な老女とその家族によって助けられた事を知る。


 家族の身を案じる彼は、老女たちに一緒にいた筈の家族の事を聞くがその答えは要領を得ず、徐々に老女たちの行動に不信感を募らせていくが…

 


 飛行機事故にあったせいで『不気味な魔術を使う老女』に軟禁されることとなってしまった男性が、なんとかして彼女らの元から脱出しようとする…という、オカルト風味のサスペンススリラー映画。


 タイトルだけ聞くと、サム・ライミ監督の同名のオカルトホラー映画を思い出しますが、『ブードゥーの呪い』という共通点はあるものの、内容的には特に関係のない作品です。(というかタイトルが完全に一緒なので、ちょっと紛らわしい?)


 お話としては『とある男性が飛行機事故にあって意識を失い民家のベッドで目を覚ますんだけど、その家の主の老女はいかにもヤバそうなブードゥー教の魔術師で、「自分や家族も命を狙われるのではないか?」と不安を抱くようになっていき…』みたいな感じの展開。


 ストーリー的にはいわゆる『監禁ものホラー映画』という感じの内容で、特にお話の前半はサスペンス要素が強めの印象。


 『謎の儀式を繰り広げる住人達』『目的不明の老女の言動』という周囲人間の不気味な行動を目の当りにするうちに疑心暗鬼を強めていく…


 みたいな感じの展開なのですが、『果たして本当に老女は悪意を持って主人公を陥れようとしているのか、それとも主人公の妄想なのか?』といった感じの監禁ものサイコスリラー的なお約束気味のノリではあるものの、ブードゥー教の異様な雰囲気もあいまってなかなかに良い味を出しています。


 また、魔術師の老女の不気味さやら粘着質な感じのキャラとかも良い味を出していますし、住民たちの『いかにもアングラな原始宗教の信者』って感じのノリもなかなか怖くて、思った以上に良く出来ている印象。


 ここからはややネタバレになるのですが、序盤の静かなサイコサスペンス的なテイストに反して、後半は割と『予想の斜め上を行くようなパワフルな展開』なのも良い感じ。


 中盤までのスローペースで雰囲気映画的な印象に反して、非常にテンポ良くサクサクと楽しめるノリになっているのは、ギャップを楽しめるという意味でも良い意味で予想を裏切られましたよ。


 ネタバレを避けるためにあまり詳しくは書きませんが、特に終盤の『過剰なまでの残虐ファイト的な展開』は、なかなかに痛快でカタルシスもあって面白かったです。


 難を上げるとしたら、序盤がちょっと地味で盛り上がりに欠ける感があるのと、主人公の過去のトラウマ(父のDV)とかが、長く尺を取った割にはあんまり物語に活かされてなかった辺りかなぁ?(あそこまで尺を割くなら、もうちょっとお話の核心に関係するようなノリでも良かった気がしました。)


 とまれ、特に期待していなかったのですが、なんというか『一粒で二度美味しい』的なノリの作品という感じで思ったよりも楽しめた作品でしたよ。

 


 総評としましては、『なかなか良く出来た佳作レベルのオカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 強くオススメとはでは行かないものの、『監禁もののサスペンス映画』とか『原始宗教ネタのオカルト映画』とかが好きであれば割と刺さる部分のある作品だと思います。


 あまり話題になってなかった作品の割には予想以上に面白くて怖い内容でしたので、気になるようであれば普通にオススメの一本ですよ。