
■■■「ブレス」■■■
(40点/サスペンス)
2039年。
地球では環境変化により地球上の植物が消え去り、地上の酸素が殆ど無くなり人々は酸素マスク無しでは生き延びる事ができない環境となっていた。
マヤとその娘のゾラは、科学者である夫のダリウスが地球の気候変動を予測して作った酸素発生装置のあるシェルターで、夫とその父と共に暮らしていたが、ある日、ダリウスは事故で命を落とした父親の埋葬にため家を出たきり行方不明となってしまう。
それから5カ月後。
ダリウスの帰りを待つ二人のもとに、ダリウスの旧友であると名乗る二人の男女が訪問。
彼らは、かつてダリウスと共に酸素発生装置の研究をしていたが、酸素発生装置が故障してしまったために、彼らに力を貸して欲しいと申し出るが、2人の態度の不審なものを感じたマヤは彼らの主張を拒否し…
環境変化により植物が絶滅し地上の酸素が殆どなくなってしまった世界で暮らす親子が、怪しげな人物の訪問を受け…という感じの設定の、SFサスペンス映画。
『酸素が無くなってマスク無し生き延びる事が出来なくなった未来の地球』を舞台とした作品なのですが…
この手のSFっぽい設定の作品では設定に最低限の科学考証が無いと、とたんに『嘘くさい話』になってしまうのですが、そういう観点で言うと『どうにも嘘くさくて微妙な内容』としか言いようが無い作品という印象です。
主人公たちは『元科学者で酸素発生装置のあるシェルターで生きながらえつつ、植物の研究をしながら環境の改善を図っている』みたいな設定なのですが、実際に光合成を行う植物を研究するのであれば成長の早くて酸素の生成量の多い『藻類(植物性プランクトン)』や『地衣類』を研究していないのはおかしい感じですし、『土壌に問題がある』という設定ならとりあえず水耕栽培で安定的に植物を育てた方が良い気がします。
また、そもそも本当に『地球上の酸素が無くなった』のであれば『人間以外の生物』もほぼ絶滅しているという事になるので、よしんば酸素が回復しても明るい未来は全く想像できないんじゃないかという気が…
作中で登場する『酸素発生装置』も、単純に水を電気分解(O2とHが発生)するだけの装置っぽくて、修理のために高度なエンジニアリング技術を求めるようなものでも無さそうですし、舞台設定が2039年という現在から13~4年しか経ってない設定の割に、街が文明崩壊の100年後ぐらいの荒廃っぷりなのもおかしいですし、とにかく設定に関してツッコミどころが多すぎ。
とまあ設定に関するツッコミどころはさておいても、お話そのものが面白ければそれで良いのですが、お話自体もあんまり面白くないのが困りものなんですよね。
お話としては『父の旧友と主張して訪れた訪問者の態度がどうにもおかしい、果たして彼らの真の目的とは…』みたいな感じで、サスペンステイストでお話が進んでいくのですが、とにかく主人公も訪問者も『人の話を聞かなさ過ぎ』で観ていてイライラさせられます。
特に訪問者の一人は『仲間と自分の命がかかっている状況』を全く理解していないような頭のネジのブッ飛び方で『なんでこんな奴を交渉の場に連れてきたんだよ?』と正気を疑うレベル。(まあ、頭のおかしな2人が独断でやってきただけって話なのかもしれませんが…)
主人公たちにしても、訪問者の態度が怪しいにせよ『今まで10年以上暮らしてきたシェルターがある』のは間違いないんだから、『もっとちゃんと話を聞いてやれよ』と思いますし、訪問者側も『自分と仲間の命がかかっている状況なんだからもっと譲歩しろよ』としか言いようが無いような態度ですし、サスペンス仕立てにするために無理矢理お話をこじれさせている感が強く感じられて、どうにもモヤモヤしてしまうのは困りもの。
主人公や訪問者も含めて『誰一人として好きになれないタイプのキャラ』なのが、とにかく観ていてキツかったです。
また、中盤で『主人公の夫の失踪』に関して『意外な真相』が明らかになるのですが、ぶっちゃけ『その要素ってホントに必要だった?』みたいな内容ですし、どうにも盛り上がりに欠けて楽しくない作品でしたよ。
というか、最初に主人公たちのシェルターに訪問するメンバーに『もっと交渉が上手く出来る人たち』を選出しておけば、何の問題も無く平和的に解決したのでは?…ってツッコミを入れたくなったのは自分だけですかね?
総評としましては、いま一つ盛り上がりに欠ける『微妙な出来のSFサスペンス映画』って感じですね。
SFとしてもサスペンスとしても、観ていてモヤモヤする部分が多すぎる内容ですので、設定とかに興味を惹かれたとしても正直なところオススメするには微妙な作品という印象です。
設定のツッコミどころとかあまり細かい事を考えずに片手間で観る程度であれば、まあまあ楽しめる内容かもしれませんので、そういうのが気にならないようであれば変わり種のSFサスペンスとして観てみるのもアリかもしれませんよ…