NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ビースト」(50点/生物パニック)

■■■「ビースト」■■■
(50点/生物パニック)


 黒人の医師であるネイトは、病死した妻の弔いと傷心を癒すために二人の娘たちと共に、妻の故郷で出会いの場所でもある南アフリカの自然保護区を訪れる。


 そこで旧友で保護区の管理官であるマーティンと合流した彼は、娘らと共に彼の仕事とアフリカの自然を観てまわるが、そんな矢先にライオンによって壊滅させられたと思しき小さな集落を発見。


 異常な事態を察知した彼らは、集落の生存者を探して救助を行おうとするが、それは密猟者によって群れの全てを殺された怒れる巨大な雄ライオンの仕業で、彼ら自身もライオンの襲撃を受けて故障した車の中に閉じ込められて、救援を呼ぶ手段も無いままに孤立してしまうのだった…

 


 アフリカに旅行に訪れた父娘が、人間への復讐に燃える狂暴なライオンによって車に閉じ込められて危機に陥ってしまう…という、サバイバル系の生物パニック映画。


 あらすじだけ聞くと、なんとなく「クジョー」のような『狂暴なライオンに閉じ込められた車の中』が舞台のワンシチュエーション系のスリラー映画のような印象を受けますが、実際には車の中が舞台なのは序盤だけで、舞台の転換も結構あって割と普通のアフリカが舞台のサバイバル作品ものっぽい内容です。


 お話としては、『医師の親子が復讐心に燃える執念深いライオンに追いかけまわされるんだけど、仲間を救おうとしたり密猟者に遭遇してピンチに陥ったりしつつも、なんとかして危機を乗り越えようとする』みたいな感じの展開。


 基本的には『ライオンに追い回される親子』の遭遇する危機がメインとなっているのですが、この親子が『母親の死』に関して確執を持っており『家族のドラマ』的なテイストも強めといった感じの内容。


 『家族の死を顧みなかった父親』である主人公『家族を殺されて復讐に燃えるライオン』の姿が対照的に描かれる事で、人間ドラマ的な要素を掘り下げている印象です。


 …とまあ作品の狙いや表現したい方向性は分かるのですが、それが本作の中で上手く機能しているかと言われると微妙なところなのが困りもの。


 メインの登場人物である主人公と娘の二人も掘り下げがイマイチで、主人公が妻の死に対してどれぐらい責任を感じているのかも釈然としませんし、危機を乗り越えて娘との絆を取り戻すみたいな部分に関しても『そこまで信頼が築かれたか?』と聞かれると、いまひとつピンと来ないレベルなんですよね。


 ライオンに関しても『矢鱈と執念深い』という以外はキャラがあまり立っていないですし、『群れの仲間を殺された悲哀』のようなものも特に描かれておらずに印象が薄め。

 ぶっちゃけ、『主人公もライオンももうちょっと魅力的に描かれてればなぁ…』と思う部分が多いです。


 ライオンの襲撃シーンも『CGの完成度が非常に高くてリアル指向』なのは良い感じなのですが、リアルにこだわっているのは良いものの『危機感を煽るような演出』があまりないせいで正直言ってどうにも迫力不足。


 もっと派手な演出があっても良かったんじゃないかなぁ…というのが正直な感想です。


 ラストのライオンの撃退の仕方も妙にアッサリしてますし、全体的に盛り上げるためのもう一工夫が欲しい感じの作品でしたよ。

 


 総評としましては、映像の完成度とかは高いのですが『どうにも物足りなさの残る生物パニック映画』というのが正直なところ。


 予告とかを観て『パワフルな迫力のある猛獣映画』を期待している場合は、ちょっと肩透かしを喰らわされる恐れがあるので、その辺りは注意が必要かも?


 まあ、物足りなさはあるものの悪くないレベルの完成度ではあるので、そういったジャンルが好きであれば、とりあえずチェックしておいても良いレベルの作品かもしれません。