NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「トジコメ」(45点/サスペンス)

■■■「トジコメ」■■■
(45点/サスペンス)


 2人の幼い子供を持つジェシカは、薬物依存症でDV夫であるロブと決別すべく、祖母の残してくれた家から引っ越しの準備をしていた。


 そんな彼女の元へ、夫のロブが同居人のサミーを伴って来訪。
 自分を捨てて逃げようとするジェシカに激昂した彼は、彼女をドアが壊れて内側からは開ける事が出来ない貯蔵庫に閉じ込めてしまう。


 幼い娘たちと離れ離れにされた彼女は、どうにか倉庫から脱出できないかと試行錯誤するが、そんな彼女の元に夫の同居人のサミーのみが再び訪問。


 サミーが小児性愛者(ペドフィリア)の犯罪者だという噂を聞いていた彼女は、なんとかして娘たちを彼から守ろうと画策するが…

 


 DV夫によって内側からは開ける事が出来ない倉庫に閉じ込められ幼い娘たちと離れ離れにされてしまった女性が、子供たちを守るためになんとかして倉庫からの脱出を図る…という、サスペンススリラー映画。


 「アオラレ」等に続く、カタカナ四文字系スリラー映画の最新作…って、実際にそんなジャンルがあるのかは不明ですが、なんとなくそういった方向性を意識した新作という感じのタイトルですね。


 ちなみに現代は「SHUT IN」(閉じ込める)というタイトルなので、ネタではなく割と英語タイトルに忠実な邦題だったりします。


 お話としては、『DV夫によって倉庫に閉じ込められた女性が、幼い娘と赤ちゃんを守るためになんとかして倉庫から脱出しようとする』という基本的にはそれだけの、いわゆるワンシチュエーション系のスリラー映画という感じ。


 流石に『倉庫に閉じ込められただけ』では危機感が無さすぎるので、古びた建物と寒気のせいで赤ちゃんの身が心配だったり、ペドフィリアで犯罪者の夫の友人が訪ねてきたり…といった風に、危機的状況を作りだすような作りにはなっています。


 ただぶっちゃけて言ってしまうと、危機感が演出されてはいるものの『どうにもダルい映画』という感想を抱いてしまうような内容というのが正直なところ。


 主人公が閉じ込められてから本格的にお話が動き出すまでの尺が妙に長くて、それまでは『倉庫に閉じ込められた主人公が自分語りをしつつダラダラと過ごしているだけ』みたいなシーンが続くため、観ていても差し迫った緊張感が感じられ無くてどうにも冗長。


 『薬物中毒から立ち直った主人公が、なんとかして更生して新たな人生の道を歩み出すまで』みたいなのがメインテーマとなっているため、お話の構成としては正しいのでしょうが、ただでさえ『狭い倉庫の中』が舞台で絵的な変化の少ないワンシチュエーションスリラー映画である事を考えると、もうちょっとテンポの良さや緊張感が無いと観ていて厳しいです。


 またペドフィリアの友人』も、そこまで悪い事をしていない割には矢鱈と酷い目にあわされて、正直なところちょっと気の毒に感じてしまいますし、むしろ『子供たちを守るため』とはいえ、割ととんでもない事を平気で仕出かす主人公の方がちょっと恐怖を感じるレベルなのは、スリラー映画としていかがなものかと…


 ただ、ラスト付近までは割とダラダラした展開が続きつつも終盤付近は結構盛り上がりますし、オチの落とし方もなかなかキレイでテーマ性も分かりやすいですので、まあ要所をキチンと押さえているという意味ではその辺は悪くなかったかなぁ…という感じでしょうか?

 


 総評としましては、『いまひとつテンポが悪く盛り上がりに欠けるワンシチュエーションスリラー映画』という感じの作品ですね。


 アイデアとしては悪くないと思うのですが、もうちょっと見せ方なりストーリーなりに工夫をして、緊張感やら恐怖感を演出できていればなぁ?


 ストーリーやらシチュエーションやらが気になるようであれば、観てみてもそこまで悪くない映画だとは思いますが、個人的には『オススメするにはちょっと弱い作品かな…』というのが正直な感想でしたよ。