NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シャーキュラ 吸血鮫」(30点/モンスター)

■■■「シャーキュラ 吸血鮫」■■■
(30点/モンスター)


 数百年前、村人たちによって海へと追い詰められて心臓にナイフを突きさされたドラキュラ伯爵は、海に落下してホオジロザメに食われそうになったところで、ホオジロザメと契約して彼に自分の力を分け与える事で生き延びることに成功する。


 そして現在、アーカムと言う海辺の田舎町に出稼ぎにやってきたアーサーとジョンは、町の支配者であるコンスタンティンと名乗る人物の元で働くこととなる。


 しかし、『村人との交流の禁止』や『夜間外出禁止』という奇妙なルールや、夜になると砂浜に集まって謎の儀式を行う住人達に不信感を抱くようになる。


 更に海で『目が赤く光る巨大なサメ』を目撃したうえに、町で知り合ったミーナという女性から『町からすぐに脱出するように』という警告を受けるが…

 


 瀕死の重傷を負ったところを『ホオジロザメと契約』する事で生き延びたドラキュラ伯爵の支配する町へと訪れた二人の男性が、吸血鬼と吸血鮫との恐怖にさらされる…というモンスターホラー映画。


 Z級のクソモンスター映画を乱発する事でお馴染みのマーク・ポロニア監督による新作ですが、今回は吸血鬼とサメが合体した『シャーキュラ』を題材としたお話のようです。


 以前に、サメとフランケンシュタインが合体した「シャーケンシュタイン(旧タイトル:フランケンジョーズ)」という映画を撮っていた同氏なので、ある意味で自然な流れと言えるかもしれませんし、この調子で行くと次回は狼男と合体した「シャークルフ」辺りが撮られる可能性があるという事でしょうか?


 今回は『サメと吸血鬼』の合体という事ですが、人食いザメに噛まれたら大概の人は吸血鬼だろうがなんだろうが関係なく死ぬので、シチュエーション敵に『あまり意味が無いんじゃ…』とか思いながら観てみたのですが、意外にもシッカリと設定が活かされたストーリーになっていて、逆に驚かされましたよ。(笑)


 お話としては『殺されかけてサメに食われそうになったドラキュラ伯爵が、サメと契約する事で力を共有して生き延びるんだけど、ドラキュラ伯爵は「吸血ザメ(シャーキュラ)」に忠誠を誓う奴隷のような存在になってしまっており…』とかっていう、なかなか個性的な設定。


 奇抜な設定だけあってか割と本気で先の展開が全く読めないようなお話になっており、破天荒なストーリーという部分では予想以上に楽しませてくれます。


 ただ先が予想出来ないというだけで、お話そのものにグテグテな部分は多いですし、映像や演出が相変わらずとんでもなくお粗末で酷い出来なのは通常運転という感じでご愛敬。


 主人公たちが泊まる事になる宿屋がどうみても普通の民家(というかスタッフの関係者の家?)だったり、ドラキュラ伯爵が『村の支配者』という設定の割には教団員が3人ぐらいしか居なかったりと、設定と不釣り合いなショボさが笑わせてくれます。


 シャーキュラのCG(というか単なるハメ込み合成?)の出来も相変わらず酷く、同じポロニア監督の「シャーケンシュタイン」や「ランドシャーク」に比べても低レベルで、殆どのシーンが『2~3枚の写真を使いまわして映像に重ねてるだけ』という体たらく。


 また、ドラキュラ伯爵は割とキャラが立っていて悪くないものの、タイトルにもなっているシャーキュラの出番が物凄い少ないのは困りもの。
 『たまに海から上陸してきて生贄にささげられた人間を食べる』程度しか出番が無くて、あまりにも存在感がなくて影が薄すぎます。


 せっかく面白い設定なんだから、もうちょっと個性を活かして活躍するシーンを見せて欲しかったかなぁ…


 オチとかもちょっとアッサリし過ぎで物足りないですし、プロットそのものが割と面白かっただけに、色々と余計に残念な気持ちになる作品でしたよ。


 あと、どうでもいいけど『砂浜でひたすらファイヤーダンスを踊っているお姉ちゃん』は、最後まで正体が明かされませんでしたがいったい何者だったんでしょうか?(笑)

 


 総評としましては、ポロニア監督らしい『相変わらず酷い出来の超低予算Z級モンスター映画』って感じの作品です。


 それでも、マーク・ポロニア監督の作品の中ではまだ『観れるレベル』ではあるのですが、逆にダメさ加減が減ってしまってバカ映画好きの人にオススメし難くなってしまっているのは難点かなぁ?


 まあ、クソ映画やネタ映画が好きな人であれば割と楽しめる作品にはなっていますので、そういう方向で気になっているのであればチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。